みなさま、はじめまして。今年も、猛暑の夏が過ぎ去ろうとしています。この季節は特に、時の流れの早さを実感するものですね。そういえば「Web 2.0」なんて言葉も、最近はあまり耳にしなくなりました。動きのあるリッチなWebサイトや、Webサイト間の連携も当たり前になり、わざわざキーワードを持ち出して語る必要もなくなったということでしょう。世の中、どんどん便利になっていきます。

急速に進化するWebについてなにか技術的なことを語ろうとすれば、やはり昨今のLightWeight言語(LL : Light Weight Language)の進歩は、避けて通れない話題です。Perl、Ruby、Python、そしてPHPといった新しいプログラミング言語の台頭は、間違いなくWebを高度化する原動力のひとつと言えるでしょう。これらの言語は、習得が容易で低コスト短納期の開発を可能にしたことはもちろん、「Ruby on Rails」をはじめとするWebアプリケーションフレームワークの整備が進んだこと、言語処理系自体の性能が向上したことで、今や大規模で社会的に重要なシステムにも、十分対応できるものになっています。

また、これらのLLをとりまく周辺の環境も、日々大きく変化しています。データベース、Webサーバ、HAクラスタといったミドルウェアや、統合開発環境、バージョン管理システム、バグトラッキングシステムといった開発ツールも、どんどん便利で高性能になってきています。「iPhone」や「Google Chrome」などの登場により、Webをブラウズするユーザ側のスタイルも、今後ますます多様になっていくでしょう。

成熟したPHPの世界を現場目線で紹介

さて、前置きが長くなりましたが、あらためて自己紹介。本連載は、私鶴田と、弊社qnoteのスタッフによるリレー形式でお送りします。弊社は、オープンソースソフトウェアによるシステムインテグレーションを中心に活動しており、LLの中でも特にPHPにフォーカスしたシステム開発を得意としています。

群雄割拠のLL界の中でも、PHPは特に開発者・利用者の多いポピュラーな言語であり、Webアプリケーション開発の世界ではもう十分に普及・浸透していると言えます。プログラミング言語に「ライフサイクル」があるとすれば、PHPは急速な成長期を過ぎて、成熟期に入ったあたりに位置しているのかもしれません。おそらく今後、「バージョンアップによって100倍高速に!」といったセンセーショナルな話題が出てくることは、PHPに関してはまず期待できないでしょう。

そして、本連載で我々が皆さんにお伝えしたいと思っているのも、そういう派手なトピックスではありません。大きな技術革新を報じる煌びやかなニュースには、当然筆者も心躍らされます。でも、その大きな技術革新も、裏返せば、小さな小さなちょっとした工夫の積み重ねによってもたらされたものだったりします。そして、我々が生きるシステム開発の現場では、そういった小さな工夫こそが、実はとても大切だったりするものです。

そこで本連載では、その時々に応じたPHP周辺のトピックスを取り上げ、実際にプログラミングに携わる現場の目線から、思うことを語ってみたいと思っています。「PHP周辺」ですから、ときにはMySQLやPostgreSQLといったデータベースや、PHPのフレームワーク、開発ツールなどもとりあげます。さらに余裕があれば、他のLLやAjax、Adobe AIRといったWebの技術全般にも視野を拡げて、実際に検証を行うことも含めて、いろいろなことを試していきたいと考えています。

我々も楽しみながら執筆していきますので、是非みなさんもご一緒に、PHPとその周辺の世界を楽しんでください。