カセットテープで英語学習していた時代も

豪華なカセットテープ英語教材の時代

ボクが学生時代のころ、英語教材といえば、セールスマンの人たちが、豪華なケースにはいったカセットテープを販売するという時代だった。

当時は訪問販売が多く、百科事典から、LLラジオカセットレコーダー(自分の声も教材に録音できるラジカセ)までも英語教材として多く販売されていた。

そのころのセールストークは、「1日たったコーヒー1杯(当時は200円くらい)で、英語が習得できます」。つまり月間6,000円、2年のローンで約15万円。それでもよく売れていたようだ。

しかし、単調な教材なので、買ったはいいけど、継続が難しい。ボクも知人が買った(買わされた?)教材を破格の価格で下取りして始めてみたものの、豪華なアタッシュケースに入った教材を出し入れするだけでも面倒くさかった(笑)。すぐに飽きてしまってさらに破格の値段で知人に売った…。

ほかに英語教材といえば、NHKのラジオ「基礎英語」や「100万人の英語」などをラジカセで録音するか、購入するというパターンが主だった。

実際に「生」の英語を聞く機会といえば、現在のインターネット世代とは雲泥の差。選択肢は、映画館の洋画くらいしかなかった。もしくは、米軍基地向けのFEN(現:AFN])をノイズばかりの中で聞くことだった。

しかし、現在はどうだろうか……ありとあらゆる教材に囲まれ、何をどこからどうやって手をつけていいのかわからなくなるほど選択肢が無尽蔵にある。

NHKワールドで日本のニュースを英語で知ろう!

一番手軽な教材は何だろう?

ボクが今、一番見たり聞いたりする機会が多いのが、NHKの海外向けに放送している「NHK World」だ。

ウェブだけでなく、iPhoneやiPad Androidなどのアプリもあるので、ぜひ一度試してみてほしい。

すきま時間だけで、ニュースを動画で知ることができて便利だ!

英語で聞いたNHK Worldのニュースの意味がまったく理解できなくても、一向にかまわない。その日の日本語のニュースをウェブや夜のテレビでも確認することができるからだ。 NHK WORLDを見続けるうちに、わからなかった部分も、なんとなく予測することができるようになってくる。

「Prime Minister Yoshihiko Noda says…」とくれば、「野田総理は今日何を発言したんだろう?」というように英語に対して条件反射できる。

その後に 難しそうな単語がズラズラと続いたとしても、テレビやウェブのニュースも日本の状況が勝手に耳に入ってくるので理解しやすい。

「Democratic party」が民主党で 「Liberal Democratic Party」が自民党。

そもそも、「Party」の語源はラテン語の「PATIE(分ける)」から派生している。ほかに「apartment(アパート)」や「part time job(パート)」「participation(参加者)」「portion(分け前)」「particular(特別の)」「proportion(比例)」とラテン語の語源がわかると英単語の本来の持つ意味がわかる。

また、NHKのテレビのニュースのほとんどが、副音声は英語でも放送されているので、副音声にしておくのもいいだろう。日本のニュースを英語で聞くのは、タイムリーであればあるほど、ニュースにも英語の知識のどちらにも役に立てる。

ただ、テレビはダラダラと見がちなので、時間が来たら自動的にスイッチが入り、自動的に切れるというタイマー機能を活用するのもありだろう。

最近は、テレビで、せっかくの副音声で楽しめる映画がなくなったので聞く機会がなくなったことが残念で仕方がない。

これだけ語学の需要があるのだから、日本の地上波でもグローバルな番組構成は必要だろう。総務省あたりも各テレビ局に英語番組の制作を電波割り当ての条件にするなどそろそろ行ったほうが今後の日本のタメになるかもしれない。

この方法は、英語と同時に日本のニュースを知ることができるので一石二鳥だ。ちなみに、一石二鳥は、「kill two birds with one stone.(一つの石で二羽の鳥を殺す)」という17世紀のイギリスのことわざ。

VOAでアメリカの声に耳を傾ける

英語放送だと、英語のネイティブの人たち以外を意識しているVOA(ボイスオブアメリカがいいだろう。ポッドキャストなどでダウンロードも可能だ。

名前の通りまさに「アメリカの声」だ。日本で話題になっているニュースなども世界、いやアメリカという国からとってみれば、全く話題になっていない事などが多々ある。

良くも悪くも、国際メディアとしてのニュースの取り上げ方の違いを感じるようになる。当然、世界的な情勢の勉強にもなるが、そちらに興味がないとつまらなく感じるかもしれない。

また、比較的簡単な言葉をゆっくりとしゃべっているので、ニュースのヒアリング教材としてチャレンジしてみるのはいいだろう。

どうしても日本人は完ぺきを求めたがるが、理解の程度は「だいたい」でもいいのだ。

やり続ける人と、全くやらない人とでは雲泥の差がある。誰もが、生まれた瞬間から話すことなんてデキない。10数年かけてようやく言語を習得している。

目標は英語ネイティブな5歳児の子供だと思う。

5歳の子供は自分の本質的な欲求はすべて会話や喜怒哀楽で表現できる。また不完全ながらも相手の伝達を理解しようとする。

そこにあなたの人生経験や覚えた単語が加われば最低限のコミュニケーションは可能だ。

後は、「聞く」「話す」の経験と共に「語彙(ごい)」を深めていく作業だけだ。

映画の字幕は半分隠して、推測視聴してみよう!

さらにオススメなのが「hulu」だ。最近では、AppleTVでも「hulu」がサービスに加わり、さらにテレビでも楽しめるようになった。

何よりも英語学習に良いのは、映画でもあるが、毎日2時間も映画を視聴する時間を確保するのは難しい。しかし、huluならば45分単位で視聴できる海外テレビドラマがふんだんにある。

サスペンス、アクション、ラブ・ロマンスとありとあらゆるテレビ映画が45分単位で13話分(1シーズン約3カ月分)が用意されている。

この45分というのがいい時間だ。

映画の2時間では長いが、1時間番組からコマーシャル分を抜き取った、ノンストップの45分間が、映画で「英語耳」を育てるいい時間となることだろう。

これなら毎日でも楽しみながら継続して視聴できる。それで月額980円ポッキリで見放題だ!

それを「ポール神田式」では、ティッシュケースや、アマゾンの空箱で字幕の真ん中を半分くらい隠してしまうのだ。前半と後半が見えることがポイント!

テレビ画面の字幕をティッシュケースで隠し、前半と後半だけを見て、真ん中の意味を推測する。「正体●●●てるぞ」「見ろ●●●体だ」

この状態は、自分の頭の中に革命的な変化を及ぼすだろう。視覚は普段の字幕を見ながら視聴しているのだが、真ん中だけが「???」なので、推測機能が活発に動きはじめる。

字幕で半分程度はわかるものの、見えない部分は、音声部分から聞き取ろうと、急激に、脳と耳は動き出すからだ。

不思議なもので、字幕に頼っていると、いつまでたっても「英語耳」にはならなかった。しかし、字幕が半分見えないだけで、あっという間に「耳」は聞き取ろうと努力をはじめてくれる。

すべての字幕を見えないようにしてしまうと、まったく意味がわからず持続できない。あくまでも、番組内容を理解できる程度に隠すというのがポイントだ。モチベーションの持続が一番重要だ。

同じ番組を「字幕あり」「字幕半分」「字幕全部隠し」と繰り返して見るという方法もあるが、この情報過多の時代に同じ番組を3回見るよりも、新鮮な番組を見続けながら、楽しんで覚えたほうがいいだろう。

たとえ、テレビ映画の作品本来のテイストが楽しめなかったとしても、英語を学習しながらもなんとなく視聴できたのだからラッキーと思えばいいのではないだろうか?

レンタルビデオで借りていると、そんな視聴はもったいないが、huluで月額980円見放題だと、たくさん見て学べたほうがお得だ。

根性や試練ほどモチベーションを失いやすいものはない。得てして人間は怠惰な動物だ。試験や資格でない場合はさらにだ。

むしろ、あこがれのスターがいれば、その人の話している言葉をダイレクトに理解できるようになりたいなどのほうが純粋なモチベーションにつながるだろう。

もちろん大好きなDVDなども、字幕の真ん中を隠して見るだけで新たな発見があるだろう。

DVDなら英語のサブタイトルで英語を視聴する方法もある。その際でも【英語字幕の半分隠し】と同様の効果がでてくる。

そのうち、字幕があっても字幕を見ない癖がついてくる。すると映画館でも字幕を追いかけるだけでなく、演技にも集中して見ることができるようになる。新しい洋画の視聴にもつながる。

通常の個人英会話レッスンだと30分で5,000円するが、映画館で見る映画は、1800円で約2時間。英語のレッスンをプロのハリウッドの役者から一方的に(笑)受けていると思えば、1/10の理解でも安いものと思える。

また、この連載ではポール神田式の語学習得方法を惜しみなく公開していきたい!

ではまた来週!

文/Paul toshiaki kanda 神田敏晶

■著書プロフィール

神田敏晶
KandaNewsNettwork,Inc. 代表取締役
ビデオジャーナリスト / ソーシャルメディアコンサルタント

神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピューター雑誌の編集とDTP普及に携わる。その後、 マルチメディアコンテンツの企画制作・販売を経て、1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。ビデオカメラ一台で、世界のIT企業や展示会取材に東奔西走中。

1999年に米国シリコンバレーに進出、SNSをテーマにしたBAR YouTubeをテーマにした飲食事業を手がけ、2007年参議院議員選挙東京選挙区無所属で出馬を経験。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部で非常勤講師を兼任後、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などをおこなう。