好きな男性のタイプは? と聞いて、「優しい人」と答える女は、石を投げれば当たるほどたくさんいそうだ。どうでもいい話だけど、「石を投げれば日大に当たる」と言うが、昔、なぜか勘違いして「振り向けば日大」だと思っていた。「振り向けば奴がいる」的なイメージですな。

さて、優しい人。優しい男とは、どんな男なのか。一言で「優しい」と言っても、実は非常に難しい。例えば、出会い系なんかの自己PRに「優しい」とか自分で書いている人を見かけると、空気読めなそうだなあと思ってしまう。それって、自分で「イケメンです」って言うのと同じくらい勇気のある発言だと思うけど、どうだろう。

試しに誰か、「僕はイケメンで優しいです」とか書いてみてくれないかな。女はイケメンで優しい男が大好きなはずなので、爆発的な人気を呼ぶはずだ。逆に、全然モテなかったら、女はイケメンも優しい男も好きではない、ということになるのか。もちろんそんなことはないのが、よのなかの難しいところである。

つまり、イケメンかどうか、優しいかどうかを判断するのは自分であって、他人がどう思おうが、わりとどうでもいいからである。一方で『ライン』に出てくる邦彦は、めちゃくちゃ優しそうだ。何しろ、「邦彦ってどの子?」と聞くと、「あのラブラドールみたいなコ」と説明されるくらいだ。ラブラドールは優しそうだ。働き者っぽくもある。

もー『ライン』は、年下彼氏と働く女とのアマアマスイートなお話で、疲れた心に染み渡る。ではこれから、邦彦の「優しさ」連続攻撃を見てみよう。

  • ものすごくセンスのよい帽子を作成できる
  • 彫金やってて、リツコへ極めてオリジナルでパーソナルなリングを作ってくれる
  • お洒落なカフェでバイトしてるからか、料理も上手
  • 訪問時に花束とワインを持ってきてくれる
  • 忙しく働くリツコのために、くつろげる夏の家(猫付き)を用意してくれる
  • その夏の家にはリツコの好きな花と飲食を用意してくれる
  • 汚してしまったマフラーで、クマのぬいぐるみを作ってくれる
  • 高価な素材でカワユいバッグを作成してくれる

「優しい」っていうのは、雰囲気と心遣いと、両方の意味があるんだな。おまけに漫画の1/3は、二人のスイート・トークで占められている。二人寝室でゴロゴロしながら、今日あったこと、今考えてること、将来のこと、いろんな話をする。女はお喋りして理解し合うのが大好きなので、この手のスイート・トークシーンにもだえる読者は多そうだ。

もひとつおまけに、邦彦はリツコのいないところでもラブラブをアピール。「リツコさん以外どうでもいい」とか言ってみたり、そりゃまあ一途なわけだ。ちなみに、こういう「オレ一途アピール」は、本人には行動で、本人のいないところではお口でするとホンモノっぽくてよい。本人に口で言うのって、悪い気はしないだろうけど、行動が伴っていなければ単に嘘つき野郎なわけだし、本人のいないところでわざわざそういうことを言うのは、自ら浮気御法度を強いていて信頼できそうな感じだからである。

さて、話は戻って、上記に挙げた邦彦の攻撃をもっと簡単にまとめると、要は家事のできる男である。つまり『オトメン』なのだ。優しい≒家事ができる、であるようだ。そういえば、男が「優しい女性」とかを思い浮かべるとき、やっぱり家事を挙げる人は多そうだ。「オトメン」っていう言葉ができたのは最近だけれど、潜在的なオトメン嗜好の女は、結構前からいたということになる。ブームを作るのって、ネーミングが大事なのね。

というわけで、自己PRに「優しいです」と書くよりは「オトメンです」と書いたほうが、謙虚さがにじみ出ていて、響く女は多そうだ。ぜひお試しあれ。
<『ライン』編 FIN>