いや~、胸がキューってなるのって、いいですなあ。最近、久々にキューってなって、毎日楽しく暮らしております。電話かけて通じないとドンヨリ落ち込みフテ寝、かかってくると飛び上がって携帯にかじりつき、切った後はドーピング状態で仕事もバリバリ。うすら馬鹿状態である。

が、まあ恋する女なんぞ、そんなものでしょう。楽しいよ、なんか新陳代謝が活発な感じがして。オススメです。で、ふと思い出した男女の電話感。たまに「こっちからかけるばっかりじゃなくて、あなたのほうからも電話してよ!」と怒る女の話を聞く。男からすると「どっちがかけたって同じじゃん」らしいが、これ、全然違うぞ。

「電話がかかってくる」ということは、彼が「私のことを思い浮かべ」「私と話したいと思い」「電話をかける動作をした」ということで、私のことを考えている時間が、少なくとも何分かあったという予測がつくのが女にとっては嬉しいのである。男という、物事にキックオフするよりは、あれこれいろんなことに気が向きがちな生き物が、「私を想ってくれている」、その証なのよ、着信って。

蓮くんももちろん、この法則に則って行動する。仁菜子の携帯ストラップを壊してしまい、その謝罪として、蓮くんはキラッキラ蝶々のストラップを購入して渡す。これを見て仁菜子は「これ買うの恥ずかしくなかったのかな」「どれにしようか迷ったのかな」「わざわざお店に行って買ったのかな」と萌え連想が大爆発する。例え、そのストラップが自分の好みに合わないものであっても、「私を想ってくれた時間」が見えると、それはもう宝物なのである。女が、男から花束だのアクセサリーだのもらって嬉しいのは、こんな心理なのである。ちなみにそれがいくら買いにくいとは言ってもパンツとかになっちゃうと萌えにくいので要注意ですが。

以上を踏まえ、「男が私を想ってくれる気持ち」を女は何で量るか。「(できれば自分を殺して)私に費やしてくれる時間」である。だから女は、ヲトメなプレゼントが嬉しいし、着信に大喜びなのである。決してセックスじゃないので間違わないように。会う度に何となくやってたら、ブツブツ文句言われてしまった男の話をたまに聞くぞ。

蓮くんは、こうしたヲトメのツボをビシビシ押してくる。「俺はお前を想ってるよ」という攻撃を、次々と発動する。呼んですぐにやってくるのもその証。彼女の小さな態度を見逃さず、すかさずフォロー。これも「俺はお前をよく見てるからネ」という愛情アピールなのである。男は女に比べて圧倒的に感情を読み取るのがへたくそな生き物らしい(生物学的にそうなんだってさ)が、蓮くんはそういう意味では超人的である。高校生なのにねえ。

そしてもうひとつ。男が相手の感情を読み取るのを苦手とするように、多くの人が苦手なのが「責任を取る」ということだ。一方で、恋愛が理不尽なところは、「気が変わったんだもん」と言えば、なんとなく仕方がない感じがすることだ。例えば自分から告白したから、自分から別れを言い出してはいけない、という法則はない。口には出さなくても振られたときに、「お前が告ってきたからOKしたのに、そりゃねーだろ!」と大暴れしたかった経験のある人もいるだろう。

蓮くんは、そんな理不尽なことは、もちろんしません。気持ちが冷めかかった彼女に対しても、男らしく責任をしっかり取ります。呼び出されれば駆けつけ、「俺がついてるから」と言い、「(予定は)合わせられるほうが合わせればいいんだから」と言う。そして気持ちが離れていることにうっすら彼女が気づいてしまうと、「不安にさせてる場合じゃねーだろ……」と落ち込む。初志貫徹、責任感満点男なのだ。これなら結婚相手として理想の男性です。離婚の心配ゼロ。

どうですか男性諸君、あなたの彼女の好みが「蓮くんのような人だ」と言われたら? 「俺にトリプルアクセルを飛べと言うのか!」っていうくらい、無茶な要求でしょう。だって、男が不得手とすることをあれこれやれやれ言ってんだから。でもまあ、大抵の女は、ある程度年を取ったら、「あれはトリプルアクセルだったか」と理解する(はず)なので、少し大目に見てあげてくださいな。
<『ストロボ・エッジ』編 FIN>