以前、女子大生に「香菜子さんってぇ~、50人も60人も経験ありそう♪」と言われたことがある。なんの経験かは知らんが、なんにしても50人も60人もの経験はない。

ところが先日、Yahoo!の占いで「あなたが一生で縁がある異性は?」というのをやってみたら、結果が「50人」と出た。……そうか、あの女子大生は占い師だったのか。それにしても、この50人という数字、どう考えても実になりそうにない。というのは、私は「話の上手くできない人」が好きだからだ。つまり大抵の恋愛はあまりうまくいくことがないのである。

こよなく話し合いができて、おしゃべりしてお腹がいっぱいになれる相手とは、「非常によい友達」がいい。ずっと仲良くしたいし、わからないことがあまりないので、ドキドキしないのだ。一方で、なんか上手く話が通じない相手となると、負けず嫌いの魂が花開くのか、もっと喋ってみたい、知ってほしいという欲求が湧き起こり、もうドキドキなのである。

しかしこれは極端だとしても、基本的に恋愛は「謎があるから盛り上がる」のだ。同棲した男女が、恋愛から家族愛に変わってセックスが遠のくなんてのはよくある話。だから女は、「いつまでもキレイでいたい」なんて言って、結婚後何年も夫にすっぴんを見せないなどという偉業を達成できるのだ。これならまだまだ「すっぴん」という謎があるから、恋愛も続くことでしょう。

そして今回取り上げるこの話は、一言で言うと「双子の兄が妹に欲情してる話」である。『罪に濡れた二人』で、なーんだ実の姉弟ネタもOKかと、攻めの姿勢に入った小学館がお送りする、血縁者欲情物語である。もー、この兄さんがすごい。どうやったら生まれたときから一緒に育った妹を、こうも異性の対象として見られるのか疑問でいっぱいだが(だって謎がひとつもないのに)、ともあれ身内に欲情するなんて、これはもう両親の育て方が悪かったとしか言いようがない。

が、そうはならないのが少女漫画のすごいところ。兄が妹に欲情するのは「そんな倫理も吹っ飛ばすほど妹がかわいらしいから」のようである。しかも、兄は非常にお勉強ができる優等生だが、妹はバカである。兄妹ならまだしも双子にもかかわらず、この学力差はどうしたものか。ますます親の教育方針に疑問だ(大抵、子供の学力というのは、親が与える環境によって決まるのだから)。

そうして欲情した兄さんは、妹にあれこれとサービスをしてくれる。常々思うのだけれど、ティーンズラブ系の漫画って、どうして男子中学生やら男子高校生が、こうもテクニシャンなのだろう。最近の若者は情報通だから、そんな若いうちからいろいろご存じなんでしょうか。男子の若者なんて自分自身が爆発間際であろうに、とにかく女子へのサービスのみでご満足らしいのだ。どうにも少女漫画の手にかかると、男子はエロにもかかわらず去勢男子となるようだ。

少女漫画の基本である恋愛模様。だが、それで話を作るには、どうしても障害が必要だ。この場合は「血のつながった双子であること」が最大の障害である。兄妹の恋というのは、ある意味便利だ。だって自宅でできるから。「誰かにバレたら大変♪」なんていうスリルが簡単に味わえるのである。まあ、男性向け漫画でいうと、試合で接戦だとか、強敵からスーパーな技を食らっちゃうとことか、そういう感じ。大丈夫なのはわかってるけど、一応ハラハラ、みたいな。

そういえば女性向けエロ漫画では、学校でーとかオフィスでーとか、多いこと多いこと。みんな、そういうことはプライベートな場所でやれよ、不衛生な。まあ、だからといって自宅で双子がイチャイチャするのは、どうかと思うけどさ。
<つづく>