占いを読むのが好きだ。ちなみに今月の私(射手座)のラブ運は、「趣味のサークルや仕事場で恋が始まる予感」だそうな……。そういう場所に異性がいたら、始まるかもね恋……射手座じゃなくても。「池袋でナンパされて恋に発展!」とか具体的に言われたら、なんか占いっぽい気がするけどな。かと思えば、次なる私の結婚のチャンスは、2012年なんだそうで……地デジの後かよ……。

人が金を出して買うのは、「満足」だ。腹が減っているときには飲食店で金を払い、メシ食って満足。合コンの予定がある女は、金を出して服を買って、納得いくお洒落ができて満足。そして、占いに金を払う場合は、言って欲しいことを言ってもらって満足である。地デジ後の結婚などと言われて、たいそう不満な私は出費に噴飯だし、占い師の方も私の年齢を知っていたら、おそらくもっと心優しいことを言ったはずである。

女が占いを好きな理由は、「わからないことが不安だから、知りたい」ためだ。占いの項目を読むと、「あなたの天職」「気になる彼は、あなたのことをどう思ってる?」「彼の本性」など、わかった気になったら楽そうなものばかりだ。

『ときめきトゥナイト』では、伝説かと思ってたのに実は勘違いで、単なる読み間違った占いのせいで、真壁くんは命を狙われていた(ちなみに「伝説かと思ってたら勘違いだった」というネタは、冬森雪湖の『ストロベリーキスキス』にもある。みんな、もうちょっと落ち着いてものを考えようぜ)。自分のへたれな占いのせいで、ものすごいトラブルになったんだから、魔女のばばあも謝罪のひとつも述べ、責任のひとつも取ったらどうかと思うのだが、依然偉そうなので、魔界のモラルというのはわからない。

そしてその後、真壁くんと蘭世は、実は2000年前のラブラブカップルの生まれ変わりだということがわかる。そのうえ、歴史は繰り返すのだとか。つまり、蘭世の片思いで始まったこの話だが、実は真壁くんと蘭世は結ばれる運命にあったのだというのだ。

「生まれ変わり」というのは、『僕の地球を守って』で、熱狂的なファンが生まれたように、ある種の人間にとっては絶好の萌えだ。親を含めた自分の環境を全部すっ飛ばして、ほかの何者かになれるのが「生まれ変わり」なのだから、自己否定のひとつといってもいい。『ときめきトゥナイト』の場合は、生まれ変わり説により、「もー真壁くんと蘭世は、くっつくしかないのよ」というお墨付きを与えた。「あ、だけど、それじゃあ話が終わっちゃうから、ストーリーを盛り上げるために『悲劇だった』ってことにしとくねー」というわけで、2000年前の2人は、悲しい感じの末路を迎えたようだ。

「運命だ」ってのも、なかなかヲトメ萌えのはずだ。もうほかに迷わなくてもいいし、浮気の心配もない。だって運命だから。占いで「相性バッチリ」と言われるのと意味は同じだ。ちなみに、私は過去に何人かの男から「運命の出会いだ」と言われたことがあるが、あれは、女の運命好きにあやかって男が媚びたのか、それとも男も運命好きなのか、どっちなんでしょうね。まあ、ひとつ言えるのは、その運命の出会いをした男たちとは全員縁が切れてるってことだ。ずいぶん刹那的な運命もあったもんだ。

しかし、ボン・ジョヴィの『Born to be my baby』で、「(2人が結ばれることは)神様が決めたことなんだよ」みたいなことを言ってるし、「お前は俺のものになる運命だ」とか強気で言われたら、「そうですか、運命なら仕方がないのでお好きになさってメロメロ」となりそうだ。

つまり、「運命の出会い」というと、出会ったのは過去の話なのだから、それに名前をつけてみただけだが、未来のことを「運命だ」と言われると、わからなかったことがわかる占い効果が生まれて、説得力(?)がある。男性諸君、運命を口にするときには、ぜひ効果的にどうぞ。
<『ときめきトゥナイト』編 FIN>