先日、海水浴から帰宅すると、書斎のMacから騒音が。内蔵ファンがフル回転していたのです。なにかの拍子にスリープから目覚め、Bluetoothデバイスとの相性の悪さでCPU消費率が100%になる現象はときどき起きていましたが……今回ばかりは出掛けた場所が悪かったのかも。ご想像どおり、千葉県は九十九里浜、房総半島です。

さて、今回は「Front Row」について。Apple Remoteが標準装備ではなくなった今、日に日に存在感が薄れていることは否めないが、プラグインを導入して機能を拡張するという選択肢もある。散らかった机の上で行方不明になりがちなApple Remoteを探しだし、ぜひトライしていただきたい。

AppleTVとFront Row

OS Xに付属の「Front Row」は、Apple Remoteを利用して操作することを前提に設計されている。キーボードも利用できるが ([Command]+[ESC]キーで起動)、簡略化されたユーザインタフェースはApple Remoteを使ってこそといえる。

そのFront Row + Apple Remoteを独立させたものが「AppleTV」のFinderだ。Appleから両者が同一という趣旨の公式発言はないが、Front Rowのアプリケーションとしての基本仕様と操作性はほぼ同じ。YouTube視聴機能の有無など機能差はあるものの、開発リソースの多くは共通しているのではなかろうか。

Front Rowはバンドル内部にプラグインを追加すれば機能を拡張できる

Front Rowは、プラグインを追加することで機能を拡張できる。保存場所はFront Row (/System/Library/CoreServices/Front Row.app) の内部にあるPlugInsディレクトリ (Front Row.app/Contents/PlugIns)、ここに拡張子「.frappliance」のバンドルをコピーすればOK。AppleTVも、保存場所は異なるがしくみは同じだ。

公式にはシステム内部へアプローチする方法が提供されていないAppleTVだが、こちらも所定のディレクトリへプラグインをコピーすれば機能を拡張できる。Apple TVの場合、保存場所はFinder内部 (/System/Library/CoreServices/Finder.app/Contents/PlugIns) に変更されてはいるが、Front Row用プラグインをそのまま利用できることもあるのだ。

実際、Front Row用プラグインをApple TVにインストールする手順が具体的に示されているサイト(注:7月30日時点では、アクセスできない状態となっている)もある。AppleTV.frameworkなどOS Xにないプライベートフレームワークに依存する機能はともかく、AppleTVとFront Rowは開発リソースの大半を共有できるという意味で、高い互換性があるといって差し支えないだろう。今ひとつマイナーな印象のあるAppleTV / Front Rowだが、Apple TVには「BackRow」という非公式なプラグイン開発キット「BackRow Developers' Kit」が存在することもあり、なかなかどうして、今後も開発コミュニティはそれなりの賑わいをみせるのではと考えている。

Front Rowの世界を拡げるプラグインたち

デフォルトの状態では、"Apple Remoteから操作できるフルスクリーン対応のメディアプレイヤー"以上の魅力を見出しにくいFront Rowだが、プラグインを追加すると話は変わる。ここでは、Leopardに収録のバージョン (v2.1.7) で動作確認を行ったプラグインを、いくつか紹介してみよう。

「Front Row Shutdown」

Apple Remoteからシステム終了が可能になる「Front Row Shutdown」

Front Row Shutdown」は、Front Rowの拡張性を知るには最適なプラグインだ。まずはパッケージをダウンロードし、画面の指示に従いインストールしてほしい。その後Front Rowを起動すれば、画面下部に「システム終了」メニューが現れるはず。Apple Remoteからシステムを終了できる、すなわち音楽やビデオを楽しんだあと (ビデオレコーダーを使う感覚で) そのまま電源オフ、という家電ライクな処理がFront Rowで可能になるのだ。

Front Rowのプラグインは、前述したとおりFront Rowバンドル内部の「PlugIns」ディレクトリへコピーすれば動作する。ただし、/System/Library以下の領域は一般ユーザの書き込みが禁止されているうえ、いちどFront Rowを終了させなければ認識されないため、次に示すようにsudoでプラグインをコピーしてからkillallコマンドでプロセス終了、という手順を踏まなければならない。

$ cd /System/Library/CoreServices/Front\ Row.app/Contents/PlugIns
$ sudo cp -R ~/Desktop/FrontBoxee.frappliance .
Password:
$ killall Front\ Row

ここで例示している「FrontBoxee」は、メディアファイルのみならずYouTubeなどのオンラインサービスも視聴可能なアプリケーション「Boxee」(ソフトは無料だが要アカウント登録)にブリッジする機能を提供する。OS X版のBoxee自体、Apple Remoteでの操作に対応するなど十分単独動作に耐えられるが、Front Rowから起動できる点がうれしい。AppleTVのようにFront RowでもYouTubeを楽しめればなあ、と考えているユーザにはお勧めだ。

Front RowからBoxeeを起動できるプラグイン「FrontBoxee」

ソフトキーボードに対応しているので、検索もApple Remoteで足りてしまう