MacではないマックでiPhoneをテストしました

まもなくWWDC 2009がスタートしますが、基調講演のメインスピーカーはPhil Schiller上級副社長とのことです。毎回姿をお見かけするので違和感はないのですが、やはり聞きたかったのはJobs CEOの「One more thing」。ひょっとして、その言葉に導かれて彼が登場する、というシナリオだったりして。

さて、今回はVPN編の第3回。『第320回 VPNサーバでMac、iPhone、自宅LANを徹底活用(1)』、『第321回 VPNサーバでMac、iPhone、自宅LANを徹底活用(2) - 「iPhoneのひかり電話端末化」』に続き、実際に屋外で通話に使用したときの様子をお伝えしよう。

Macではないマックでテストしました

繰り返しになるが、「SipPhone on iPhoneを利用した通話はWi-Fiに限定されるため、場所を選ぶ。第321回で紹介した、ソフトバンクテレコムの「BBモバイルポイント 公衆無線LANし放題プラン」で利用できるAPは全国約4,000カ所、主要駅や空港が網羅されているため、テストにはちょうどいい。

ただし、駅や空港は通話品質を試すには不適当。筆者は十数年におよぶヘッドフォン漬けの日々 (プログレをBGMに原稿を書いているのだ) で難聴気味ということもあり、騒がしい場所ではほとんど相手の声を聞き取れない。BBモバイルポイントの場合、マクドナルドでも利用できるが、店内で通話するのはマナーとしていかがなものか、ということがある。

そこで閃いた (というほどのことではないが)。マクドナルドの一部店舗にはテラス席があるので、そこで周囲に他の客がいないとき通話すれば迷惑にならないはず。筆者が住む横浜で該当店舗は……と探したところ、我発見せり、アウトレットモールに隣接する横浜ベイサイドマリーナプラザ店を。よく晴れた土曜日の午後、車に妻子を載せ首都高湾岸線を急ぐことにした。

テスト場所に選んだのは、横浜ベイサイドマリーナにあるマクドナルドのお店

横浜ベイサイドマリーナプラザ店には、この季節にちょうどいいテラス席があります

通話開始までの道のり

店には30分ほどで到着。Wi-Fi対応店舗ということは事前に確認していたので、我々2人には飲み物、娘にはお約束のハッピーセットを注文したあと、テラス席を確保した。さっそく無線LAN機能を有効にすると「mobilepoint」というSSIDが検出され、接続完了だ。

ここでVPNのスイッチをONにして、SipPhone on iPhoneを起動……したいところだが、小さな落とし穴が。前回紹介したとおり「公衆無線LANし放題」プロファイルをインストールしておけば、Eメール (i) のIDとパスワードを入力する必要はないものの、Safariを起動 (正確にはプロセスが常駐しているので「アクティブ化」) しなければ認証が完了しないのだ。だから手順としては、「設定」で無線LANを有効化 → Safariをアクティブ化 → 「設定」に戻りVPNを有効化 → SipPhone on iPhoneを起動、ということになる。多少面倒な作業になるが、やむをえまい。

いちどSafariを起動しなければならないのが面倒だ

これで準備完了、あとはSipPhone on iPhoneを起動すればOK

高音がピリピリ

VPN接続完了後にSipPhone on iPhoneを起動すると、自宅のひかり電話ルータ (RT-S330SE) により子機として認証され、通話が可能になる。あとは特に設定など必要なし、自宅のひかり電話の子機として (通話相手に通知される番号も当然ひかり電話のもの) 通話が可能になる。

試しに、少し離れたところにいる妻の携帯電話 (au) へ、テラス席にいる筆者のSipPhone on iPhoneから電話をかけてみた。通話は特に問題なし、声はとてもクリアに聞こえた。ただしコーデックのクセなのか、高音が若干割れたようなピリピリ響く印象で、少々気に障る。妻も同じ印象を受けたようで、これであなたと3分以上話すのはイヤだ (夫婦仲は良好なので念のため) とのこと。SipPhone on iPhoneで使用するコーデックは「Auto」に設定しているので、これを変えて最適な設定を探る必要がありそうだ。ちなみに、実験の数日後、東京ビッグサイト近くのマクドナルド有明パークビル店から自宅へ内線をかけてみたが、やはり高音がピリピリと聞こえた。

携帯電話と通話中の様子。ニュアンスをお伝えるのは難しいが、ちょっとピリピリ聞こえます

SipPhone on iPhoneのコーデック設定画面

歩きながらの通話も試してみた。もちろん、無線LANなので問題ないが、感度が低下したときどうなるかを確認したかったのだ。結果だが、メニューバーに表示されたアンテナがレベル2つまでは問題なし、レベル1になるとときどき音声が聞こえなくなることがあった。SipPhone on iPhoneが使う音声コーデック (G711 uLaw) は、64kbpsの帯域があれば足りるはずなので、歩きながら通話するときはレベル2以上を保つよう心がければよさそうだ。

それにしても、無線LANが使える環境であれば自宅のひかり電話子機として使えてしまうこの環境、かなりありがたい。出張先のホテルから自宅に電話するとか、便利に使える場面はいろいろあることだろう。ただし、高音がそんな状態なので、ピリピリした相手と3分間以上話すときは要注意かもしれない。