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さて、今回は「FAX」について。FAXモデムがMacの標準装備パーツから外れて久しいが、総務省統計局による「平成16年全国消費実態調査 主要耐久消費財に関する結果速報(要約)」によれば、世帯普及率は51.1%。5年ごとに実施されるこの調査、今年新しいデータに更新されるが、急減するとは考えにくい。これはFAXが現役の機器であり、Macで使いたいという潜在的ニーズが存在することにほかならない。とはいえ、FAXモデムを購入するのもいまさら……というわけで、当コラムの趣旨から若干外れるが、「OS XでFAXを使う」ことについて考えてみたい。

現状を確認する

FAXは、イメージとして読み取った書面を一定の規約(コーデック)に基づき符号化、そのデータを電話回線など通信網を経由して他の機器に送り、受信側でその信号を復号化してイメージとして再現する、一連の装置およびソフトウェアを指す。ITU-Tにより解像度や変調方式が異なる複数の規格が用意されているが、ここ日本では「G3」が大半を占める。

いわゆるFAXモデムは、モデムとしての機能に加えG3規格対応のFAX送受信機能を装備。OSやアプリケーションから受け取ったデータを符号化して送信、あるいは受信したデータを復号化して(一般的には画像ファイルの形で)保存する役割を果たす。かつてMacは、多くの機種にFAXモデムが内蔵されていたが、ブロードバンドの普及に伴い電話回線経由でインターネットに接続するユーザが減少、一斉に取り払われてしまった。

現行のMacで直接FAXを扱おうとすると、FAX機能を備えたプリンタ(いわゆる複合機)か外付けのFAXモデムを購入することになる。接続方法はUSBやBluetoothなどさまざまだが、ドライバが用意されてさえいえば、システム環境設定の「プリントとFAX」ペインに印刷可能なデバイスとして認識され、プリンタに印刷する要領でFAXを送信できる。

FAXモデムさえあれば、このようにいつでも送受信できるのだが……(画面はMac OS X 10.4)

現在も現役の数少ないFAXモデム「Apple USBモデム」

USB接続の「Apple USBモデム」は、Macをサポートする数少ないFAXモデムだ。このデバイスを用意しておけば、自宅やオフィスにいるときには電話機からちょいとモジュラーケーブルを差し替え、印刷先にApple USBモデムを指定すれば送信完了。受信時には、Macを起動しておかなければならないものの、放っておけば指定したフォルダへPDFとして保存される。いまや顧みられない機能になりつつあるが、OS XにはFAXサーバ機能が内蔵されているのだ。

代替案を比較検討する

このG3 FAXを、他の方法で処理することを考えてみよう。

BIGLOBEの「FAX配信サービス」。送信するだけなら、この方法がベストかも

まずは送信から。企業が提供するFAX送信サービスを使う手がある。たとえば、BIGLOBEの「FAX配信サービス」は、メールに文書(TEXT / PDF / Word / PowerPoint)を添付し所定のアドレスへ送信すれば、A4用紙1枚あたり42円(国内)でFAXできる(利用可能サイズはA4のみ)。コンテンツコースであれば月額基本料無料、FAXを送信したぶんの料金しか請求されない。FAX受信を考慮しなくていいのならば、ブラウザさえ使えればOK(ファイルを操作できないiPhoneでは使えないが)という、この方法がベストだろう。

受信する必要があるのならば、「D-FAX」がお勧めだ。2,625円の新規登録手数料が必要だが(以前筆者が申し込んだときは無料だった)、020から始まる番号が割り当てられ、その番号宛に届いたメールはセンターのサーバにスプール、あらかじめ登録しておいたアドレス宛にFAXのイメージが添付ファイルとして届く、というしくみ。A4用紙1ページあたり50円前後(利用可能サイズはA3とA4)よりという料金は、送信者側が負担するので、ランニングコストは発生しない。しかし、送信に対応しない点は少々厳しい。

移動中の利用を考慮しなくていいのならば、複合機がベストかもしれない。アナログ回線を引き続き利用するか、NTT東西のひかり電話に移行すれば、長年使い慣れたFAX番号を捨てずに済むという他にないメリットもある(ひかり電話には、D-FAXと似た「FAXお知らせサービス」というオプションもある)。

あるいは、日本HPの複合機「HP Officejet Pro 8500 Wireless All-in-One」、またSHARPの「UX-MF 70/80」シリーズのように、着信したFAXをメールに添付して自動転送する機能を備えた機種もある。前述のFAX配信サービスと組み合わせれば、外出先からのFAXにも対応可能だ。

実は壮大な前フリでした

しかし、上記の方法どれもが一長一短だ。メールに添付する方式では、対応する文書フォーマットが限定されているうえ、1枚あたりの単価が高いためランニングコストが嵩んでしまう。D-FAXの場合、送信機能がないうえ、3カ月間利用がないと自動的に解約されてしまう(1,000円/年のオプションを払えば回避可)デメリットがある。複合機は、費用対効果を考えた結果そこまでしなくても、という話になりかねない。

PPTPサーバ内蔵のルータ「BUFFALO BHR-4RV」。次回はこのデバイスを料理する

いろいろ考えた筆者。VPNで自宅LANにアクセスする、というソリューション(笑)を閃いた。NTT東日本の「ひかり電話」を利用しているので、レンタル中のルータ「RT-S300SE」のVPN(PPTP)パススルー機能を利用し、自宅のPPTPサーバにアクセスしようというわけだ。OS X Leopard クライアント版にはVPNサーバがない(Server版にはある)ことも理由だが、なにより常時稼働型のサーバが欲しかった。そこで適当な製品を物色したところ、発見したのが「BUFFALO BHR-4RV」。直販価格1万円アンダーで購入できるこのPPTPサーバ内蔵ルータを導入すれば、OS XやiPhone(!)などのVPNクライアントから自宅LANに接続できてしまう、という寸法。

この方法であれば、古いFAXモデムで空いているMacをFAXサーバ化すれば済んでしまう。なにより、FAX以外のメリットが大きく、iPhoneをSIP端末として使えばあんなことやこんなことも……というわけで、壮大な前フリとなってしまったが、次回はいよいよVPNサーバの立ちあげと参りたい。