MicrosoftのMac製品開発チーム「Mac BU」が、人員を増強するとのことです (公式ブログの6月19日付投稿を参照)。チーム発足から11年、最大級の採用プロジェクトとなるそうな。すわニュープロダクトか? と思いきや、「Mac BUに参加すべき10の理由」という項目に「Three words: Mac. Office. Microsoft. ‘Nuff said」とあるということは……次のOfficeに向けて動き出したと見るべきでしょうか。頼もしい話です。

さて、今回はSnow Leopard関連ネタは一休み、目先を変えて実用的なキーマッピングツール「Keyremap4MacBook」を紹介することにしたい。

Emacs使いの密かな悩み

自宅で作業するときは、もっぱら「新Apple Wireless Keyboard」を利用している筆者。MacBookで慣れた"ぴゅう太" (歳がバレますな) 的キートップはともかく、あるときは膝に載せ、またあるときは片手で持ち、自在に使えるところが好ましい。ただし筆者が購入したのはUS配列、[A]キーの横に[caps lock]キーが配置されている。これまで何度もグチっているとおり、Emacsを使う人間にこの並び順はありえず、いきおいキーマップを変更することになる。

OS X 10.4 / Tiger以降では、それら修飾キーの変更はシステム環境設定の「キーボードとマウス」を利用できる。Pantherまでは、「uControl」というサードパーティー製品のツールに頼らざるを得なかったが、いまやシステム標準の機能で「caps lock問題」に対応できるのだ。

だが、しかし。ExposeやSpacesなどデスクトップ全体の操作性に影響するツールが増えたわりには、キーコンビネーションのカスタマイズ性が低い。修飾キーの変更がかんたんにできるようにはなったものの、それを超える勢いで機能が増えている。一方では、アプリケーションごとにIMEのON / OFFを切り替える機能が、ひっそりと姿を消した。痒いところに手が届かない、それがLeopardには多いような気がする。もう少しカスタマイズ性が高ければ、Wireless Keyboardもより使いやすくなるのになあ、と。

Keyremap4MacBookでできること

そんなとき発見したツールが、高山氏作の「Keyremap4MacBook」。Tiger以降のシステムに対応、MacBook / MacBook Pro / iMac / Mac miniでの動作が確認されている、キーコンビネーションを自在にカスタマイズできるキーリマッパーだ。

インストールすると追加される「Keyremap4MacBook」ペイン。キーリピート値も設定できます

Keyremap4MacBookには大きく2通りのカスタマイズ法があり、1つはソースコードの改変、もう1つはシステム環境設定に追加される「Keyremap4MacBook」ペインを使った変更。前者の方法はWebサイトを参照いただくとして (キーコードを調べればかなりマニアックな設定も可能)、ここでは誰もが取り組みやすい後者の方法を紹介することにしよう。

なお、Keyremap4MacBookは、同種のユーティリティ「DoubleCommand」や、親指シフト入力用の「Tesla」など、他のキーリマッパーと共存できない。あらかじめこれらソフトをアンインストールしてから、Keyremap4MacBookのインストールを試みてほしい。

Micrsoft WordでEmacsのキーコンビネーションが!?

その使い方だが、基本的にはシステム環境設定に追加される同名のペインを利用する。「Remap Command_L Key」や「Remap Control_L Key」のように、主要なキーごとに設定が用意されているので、目的のチェックボックスを有効にすればOK。設定はただちに有効となり、再ログインなどの手間もない(インストール直後のみ再起動)。

日本のユーザ向けの設定は、「For Japanese」カテゴリにまとめられている。「カナ/かな」や「英数」といったキーをカスタマイズしたい場合、ここを探してみよう。たとえば、[SPACE]キー右横の[カナ/かな]キーに右クリックを割り当てたければ、「For Japanese」→「Remap KANA Key」にある「KANA to RoghtClick」を有効にすればOK。これで、アプリケーションの別を問わず、あらゆる状況下で「カナ/かな」キーが右クリックの代わりとなる。

「英数」などの日本語キー用の設定は「For Japanese」を見るべし

個人的におススメしたいのが「Emacs Mode」。「C-v」(1ページぶん下方へスクロール)や「C-y」(ヤンク、ペーストに相当) など、使い慣れたキーコンビネーションがいろいろなアプリケーションで利用可能になるのはうれしいもの。本家Emacsに比べれば数は限られるが、チェックボックスを有効にするだけでWord 2008でもC-vやC-yできてしまう手軽さはKeyremap4MacBookならではといえる。特に、UNIX系OSを経てOS Xに漂着したご同輩にお勧めしたいツールだ。

NSTextView未使用のアプリでもEmacsライクなキーバインドが使えるように