FileMakerから美味しそうなアプリケーションが出ました! その名も「Bento」。奇をてらった名前ではなく、旧Mac OS時代に推進され後に放棄された「OpenDoc」のファイルフォーマットに由来しているようですね。そういえば、筆者もCyberDogを一時期使っていましたっけ……BeOSを動かすために購入したUmax製のMac互換機で。

「辞書」はこう使え!!

まずは、Leopard版Dictionary.appの機能の紹介から始めたい。Tigerの頃は目もくれなかったユーザは少なくないはずだが、以下の文に目を通せばその考えも変わることだろう。

最大の変更点は、他のアプリケーションと連携する方法が増えたこと。メニューバーから起動したSpotlightフィールドに探したい語句を入力すれば、「定義」という項目にその語句を説明する文章の一部が表示される。そこにマウスカーソルを重ねるか、[return]キーを押してDictionary.appを起動すれば、文章全体が表示されるという仕組みだ。

Spotlightから検索できるのはうれしい

ここで「某日本語IMEにも辞書が付属しているじゃん」と早合点することなかれ。確かにSpotlightではキーボードを叩いたが、Dictionary.appの場合必ずしも語句を入力する必要はない。一部のCocoaアプリに限定されるものの、意味を調べたい語句の上にマウスカーソルを移動し、[Command]+[Control]+[d]キーを押せばOK。それだけの操作で、Dictionary.appに登録された辞書から語句の意味を検索できるのだ。

Safariに表示されている語句にマウスカーソルを重ね、ショートカットキーを押すことでも検索可能

この柔軟な検索方法があるからこそ、小学館とのライセンス契約によりバンドルが可能になった「大辞泉」や「プログレッシブ英和辞典」などの辞書コンテンツが生きてくる。そこへ日々掲載内容が充実されるWikipediaまでサポートされるとなれば、ブラボー、ハラショー、惜しみない賛辞の言葉が湧き出てこようというもの。さらにはDashboardまで付いてくるという面倒見のよさ。日本語環境で日々を過ごすLeopardユーザにとって、実はDictionary.appこそがもっとも注目すべき新機能なのではないだろうか?

"俺流"辞典を試作しました

開発環境をインストールしてしばらく後、/Developer/Extrasに「Dictionary Development Kit」なるディレクトリを発見。そのサブディレクトリ「project_templates」を開くと……どうやら、オリジナルの辞典を作成する目的に使えるらしい。そこで早速、"俺流"辞典の制作(そんな大それたものじゃあございやせんが)に取りかかることにした。

まず参考にしたのは、/Developer/Extras/Dictionary Development Kit/documents以下にあるドキュメント。「Dictionary Development Kit.rtf」には、project_template以下にある「MyDictionary.xml」に語句説明を加えればいいことや、文字エンコーディング形式にはUTF-8を使用すべきことなど、辞典制作の基本ルールが記述されていた。

具体的な手順だが、紙幅の都合によりだいぶ大まかなものにさせていただいたが、以下のとおり作業するだけで"とりあえず使える"辞典が完成する。まずはトライしていただきたい。

1. project_templatesディレクトリ全体を適当な領域へコピーする。

2. コピーしたproject_templatesディレクトリに、「MyDictionary.xml」という名前で辞典ファイルを作成する。<d:entry id="****">~</d:entry>で1つの語句を構成し、その中に索引化する文字列(<d:index>~</d:index>)、見出しに使う文字列(用法はHTMLのHタグと同じ)、語句の説明文(<p>~</p>)を記述する。保存時には、文字エンコーディング形式に「UTF-8」を指定すること。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<d:dictionary xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xmlns:d="http://www.apple.com/DTDs/DictionaryService-1.0.rng" localizable="true">

<d:entry id="Banco Del Mutuo Soccorso">
    <d:index><d:index_value>バンコ</d:index_value><d:index_title>バンコ</d:index_title></d:index>
    <h1>バンコ</h1>
    <p>イタリアで1970年代に活躍したプログレッシブ・ロック・バンド。ノツェンツィ兄弟のペンによる“これぞイタリア”的なニギニギしいメロディに、巨漢ボーカリスト・ジャコモの哀愁的かつ繊細な歌唱が加わり、えもいわれぬ音空間を作り出した。</p>
</d:entry>

……
……

3. project_templatesディレクトリ内の「MyInfo.plist」をProperty List Editorで開き、Root→CFBundleNameの値を辞典名とする文字列に変更、その後上書き保存する。

4. project_templatesディレクトリ内のMakefileにある「DICT_NAME」行を、辞典名とする文字列に変更する。保存時には、文字エンコーディング形式に「UTF-8」を指定すること。

5. Terminalを起動し、project_templatesにカレントディレクトリを移す。

6. makemake installを実行したあと、Dictionary.appを起動する。自作の辞典が不要になった場合は、~/Library/Dictionariesに作成された「****.dictionary」ディレクトリ全体を削除する。

語句は前方一致で検索される

Spotlightからも検索できる俺流辞書のできあがり(完成度はイマイチだが……)