Apple Storeで新ワイヤレスキーボードの出荷予定日をチェックすることが、最近の日課です。待てど暮らせど「4-6週」のままですが、ある日突然「24時間以内」に変わるのではないか、と。そうなれば買いに走ろうかな、と。それにしてもこの端正な横顔、物欲をそそりますね。

さて、今回はiPod touchの日本語入力……と行きたいところだが、出荷前で不可能なため"iPod touchライクな日本語入力"について。実際にOS Xで試せるプログラムを元に、iPod touchの日本語入力が持つ特性に迫ってみよう。

iPod touchのココに期待

先日発表された「iPod touch」は、正式なアナウンスこそないものの、ファームウェアに採用されているシステムはOS Xのはず。WebブラウザのSafariなど、搭載されたソフトウェアの多くがiPhoneと同じことがその理由だ。証拠としては心許ないが、OS Xを採用しているiPhoneとの共通項の多さを考えれば、逆にOS Xベースでないことを証明することのほうが難しいだろう。

このiPod touch、前述したとおり日本語入力機能を備えている。スケジュールの入力が不能など利用できる場面は限定されているが、Safariでは支障なく利用できるため、.MacやGmailなどのWebメールでの活用が期待されている。Appleの思惑はともかくとして、IEEE 802.11b/g対応でWebブラウザを搭載、かつ日本語入力が可能というデバイスにあれこれ期待してしまうのは無理からぬことだ。

しかも、その日本語入力機能がおもしろい。開発にあたったAppleの増井氏(御本人のTwitterでの発言を確認しました)は、Palm OSなどで多くのユーザに支持された日本語入力システム「POBox」の作者であり、iPod touchの日本語入力機能もPOBoxを彷彿とさせる特徴を備えている。もちろん著作権的にはまったく別物 -- ちなみにPOBoxはSONYの登録商標 -- なのだろうが、同じ開発者から生み出された機能だからか、そこに共通の遺伝子を感じてしまうのだ。

そのキーワードが、「予測変換」。前方一致検索とも呼ばれるこの入力方式は、入力した文字に応じて文脈や履歴から適切な単語を推測、変換候補として表示してくれる。少ないキータッチで効率よく日本語を入力できることから、現在では多くの携帯電話にも採用実績を持つ。前掲のPOBoxが、Sony Ericsson製携帯電話に採用されていることをご存知の向きも多いはずだ。

PRIMEでiPod touchの源流を垣間見る

予測変換機能はOS Xでも珍しいものではなく、いまやATOK(推測候補モード)とEGBRIDGEのいずれも対応している。テイストはPOBoxとだいぶ異なるが、目的の語句の先頭数文字を入力すると適切な変換候補が現れる点は共通だ。

よりPOBoxに近い予測変換機能を試したければ、POBoxの後継に位置付けられる日本語入力システム「PRIME」を使うという手もある。PRIMEはかな漢字変換サーバであり、別途入力用クライアントソフトが必要だが、OS Xユーザは「MacUIM」というAquaベースのフリーウェアを利用できる。しかも、MacUIMにはPRIMEやAnthyなど複数の変換エンジンを収録したバイナリパッケージが用意されているので、導入も簡単。機能の概要については、当コラム第88回を参照していただきたい。

MacUIM+PRIMEの予測変換機能でiPod touchを先取り!?

具体的な導入方法だが、Tigerの場合は有志ユーザが公開しているユニバーサルバイナリ対応のバイナリパッケージを利用すればOK。インストール後にログインし直し、システム環境設定に追加された「MacUIM」ペインの「一般」タブで変換エンジンに「prime(ja)」を指定すると、準備は完了だ。あとは他の入力システム同様、入力メニューを操作するなどしてON / OFFを切り替えればいい。

MacUIMペインの「一般」タブで変換エンジンに「prime(ja)」を選択

「uim」タブではキーバインドの変更が可能

iPod touchとの比較だが、MacUIM+PRIMEの場合はインライン入力かつ変換候補リストは縦表示と、インタフェースはかなり異なる。しかし、1文字タイプしただけで変換候補がパッと表示される予測変換機能の使い勝手はPOBoxを彷彿とさせるもので、ATOKやEGBRIDGEのそれとは異なる。iPod touchの購入予定とは関係なしに、試してみるのもまた一興だろう。