【コラム】

OS X ハッキング!

209 iPhoneにApple TV…… MacではないOS Xについて今考えられることは?

    海上忍  [2007/01/11]

    あけましておめでとうございます。読者の皆様は、よい正月をお過ごしになられましたか? 私はといえば、お屠蘇気分で今年の設備投資計画(実体は単なる物品購入計画)を練っていました。しかし、今年はLeopardのリリースという一大イベントが。過酷なスケジュールに対応できるよう、まずは体力の増強を図りたいと思います。

    さて、今回は新年早々発表された「Apple TV」と「iPhone」について。前者は無線LANを利用したSTBライクなマルチメディアプレイヤー、後者はiPodとしての機能を兼ね備えたスマートフォン。どちらもAppleらしさが漂う製品だ。しかし当コラム的に興味を引かれるのは、「OS X」なるオペレーションシステム。いまだ触れる機会に恵まれないが、基調講演の内容とスペック表から読み取れる事実をもとに、その実像の一端を推測してみたい。

    Apple TVとiPhoneから「OS X」を読み取る

    どの携帯電話より5年は進んでいる、との触れ込みのもと紹介された「iPhone」。理由の1つとして挙げられたのが、PCの分野で洗練を重ねたMac OS Xの採用だ。Macintoshシリーズではないためか「Mac」の冠は外されているが、Apple TVとiPhoneの両方に採用されている。詳細は不明だが、デバイスの用途からしてMac OS Xの機能限定版と考えて間違いないはずだ。

    ここで注目すべきが、iPhoneのシステムにOS Xを採用したと述べた直後に使用されたスライド。「X」ロゴの周囲に10の言葉があしらわれた一見変哲のないものだが、そこに「Cocoa」と「Core animation」が使われていることに意味がある。

    WWDC 2005でIntelプラットフォームへの移行計画を発表したときにも垣間見せた、Appleの入念な開発体制を思い出してほしい。

    今回のiPhoneでも、「Revolutionary UI」の調査と開発に数年を費やしたことを明らかにしている。CocoaとCore animationという(NeXT由来の)Objective-Cベースの技術が中核に据えられているということは、Intel Macのときと同様、機能縮小版OS Xの投入は周到に準備されたものと考えるのが妥当だろう。

    言葉といえば、社名から「コンピュータ」を外したことも見逃せない。これまでのAppleはよくも悪くも「Mac」の会社で、個人ユーザをターゲットに据えたハード/ソフトの開発を主業務としていたが、iPodとiTunes Storeのヒットを契機に大きく変わった。もはやAppleはデジタル家電メーカーであり、MacintoshもMac OS Xも品揃えの1つになったと理解すべきなのだろう。今にして思えば、Avadis Tevanian氏の退社もその予兆だったような気がするが……

    「Apple TV」を推理する

    最初に発表されたApple TVは、操作にApple Remoteを使うなど、一見してFront Row風のユーザインタフェースが特徴。ベースとなる技術は、対応するビデオ/オーディオコーデックの種類から判断すると、QuickTime APIに相当する機能が実装されていると思われる。QuickTimeは旧Mac OS発祥の技術だが、QuickTime 7以降ではQuickTime Kitの登場により、Cocoa環境でも利用しやすくなった。あくまで推測だが、Apple TVのメディアプレイヤーとしての機能は、このQuickTime Kitによるものだろう。

    Apple TVのソフトの実体はCocoa+QTKitか?

    謎が多い「iPhone」

    CPUは謎のベールに包まれているが、IntelでもPowerPCでもないのでは……?

    大きさからついNewtonを思い出してしまうが、今度のiPhoneはコンセプトがまるで異なる。iPodと携帯電話、そしてインターネットアプライアンスとしての機能に特化した、エンターテインメント指向のデバイスだ。

    Apple TVと同じくシステムにはOS Xを採用、「Multi-touch」と名付けられた新しいタッチスクリーン式インタフェースを装備するなど、個々の機能はともかく全体としては今までにない製品となっている。

    そのiPhoneだが、搭載されるCPUに関して言及がなかった。Apple TVは「Intel processor」を搭載することが明らかにされているが、iPhoneに関してはOS Xベースであること以外不明だ。北米での発売は6月と、出荷までに仕様が見直される可能性もあってのことだろう。

    一方でうがった見方ができないこともない。OS Xの開発プラットフォームがXcodeだとすると、素直に考えればCPUはIntelかPowerPC。しかし携帯電話としての機能を兼ねる以上、バッテリの保ちに対する要求はiPodよりシビアなはずで、いずれにしても厳しそう。Safariと同じHTMLエンジン(WebKit)を使うNokiaのスマートフォン「E61」を見ると、206MHzのARM9 CPUとのことだが…… Mach-Oは複数のアーキテクチャに同時対応できるだけに、IntelでもPowerPCでもないCPUの採用という線が濃厚だ。

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