【コラム】

OS X ハッキング!

175 在りし日を Haikuで試す 仮想かな ~Intel Macの仮想化環境

    海上忍  [2006/04/20]

    Appleの第2四半期の決算が出ましたね。売上高は前年同期比34%増ということで、相変わらず好調なのですが、注目すべきは売上高に占めるiPodの比率(約39%)かと。クリスマスシーズンならばともかく、年が明けてのことですからね。このままiPodの勢いが続けば、Apple Computerという社名が変わったりして。

    さて、今回はIntel Macの仮想化環境について。Boot CampとIntel Mac用新ファームウェアの登場も相当なインパクトがあったが、時を前後してベータ版が公開されたParallels Workstationのほうが、Mac OS Xに慣れきった身にはうれしいはず。それでは、BeOS後継の「Haiku」を紹介しつつ、Intel Macと仮想化ソフトについて検討してみよう。

    そもそも仮想化とは

    近頃話題の"仮想化"とは、1台のホストコンピュータを複数の仮想コンピュータに論理的に分割、それぞれ別個に動作させる仕組みのこと。並列実行可能な細かく区切られた処理空間を持てるため、メインフレームのような高い処理能力を備えたマシンの資源を有効に活用できる。ほかにも、同一のデバイスを備えた多数のマシンが必要な開発環境など、仮想化の技術が重宝される場面は多い。仮想化ソフトが介在するぶん、ネイティブで動作させるより速度的には不利だが、IntelやAMDなどCPUメーカーも仮想化技術に注力するなど、今後のコンピューティングを語るうえで必須のキーワードとなっている。

    その仮想化ソフトだが、Intel Mac用にリリースされた「Parallels Workstation」は要注目だ。Intelの仮想化技術「VT-x」に対応、最新ベータ版ではフルスクリーン表示も可能になるなど、リリースを重ねるごとに実機に近い機能を実現している。USBやFireWireは未実装、描画が遅い、など解決されるべき課題は多いが、WindowsやLinuxに数歩出遅れていたMacの仮想環境も、いよいよ普及期に入ったと見ていいだろう。

    此道や行く人なしに飽きをくれ

    筆者個人が仮想環境に期待しているのは、実機にインストールするのが面倒なOSの実行環境としての役割だ。なかでもBeOSおよびその後継版であるZetaは、デバイスドライバの少なさからハードウェアを選り好みする傾向が強く、機種選定に苦労する。パフォーマンスは犠牲になるものの、仮想化ソフトを利用すればインストールは簡単。バージョンアップ/新規インストールもVMを別途作成すればOK、途中で飽きなければだが、Daily Snapshotを追いかけて日々システムをアップデートすることも容易だ。

    今回取りあげるのは、BeOSから派生した「Haiku」。カーネルにはBeの元エンジニアTravis Geiselbrecht氏が開発するNEWOS、ファイルブラウザにはOpenTrackerを採用するなどオープンソースを活用、BeOS 5.x系とのソース/バイナリ互換環境を目指す、という壮大なプロジェクトなのだ。BeOSの(正統な)後継であるZetaとは協力関係にあり、グラフィックドライバなど具体的な開発対象も決定している。Zetaの開発元が危機的状況にあるだけに、Haikuの存在は心強い。

    Haikuのインストールイメージは、こちらのWebサイトで配布されている。RAWとVMwareの2種類のHDDイメージが用意されているので、とりあえず両方ともダウンロードしておこう。なお、VMXファイル(VMwareの設定ファイル)の入手も忘れずに。

    分け入っても分け入っても仮想マシン

    HaikuをIntel Macで動かす方法だが、前述したParallels Workstation(2.1 Beta4)では起動できない(前掲のRAWイメージをQ.appに内包されているqemu-imgコマンドでHDDファイルに変換したものを使用)。Zeta 1.1のLive-CDとXBEOXも同様、アイコンパレードの最後でカーネルパニックが発生してしまうのだ。カーネルデバッガで確認したところ、起動の第二ステージでBFSパーティションを/bootにマウントできずに終了してしまうらしく、Haikuでも原因は同じと考えられる。

    一方、エミュレータのQEMUは難なくHaikuを起動できる。今回のテーマである仮想化とは手法が異なるため、詳細は省略するが、Intel iMac 17"で試したかぎりは実用的な速度で動作した。また、OS Xの名を看板に掲げる当コラムでは邪道だが、Windows XP用の仮想ソフトVMwareを使うという手もある。Parallelsのオンラインフォーラムに掲載されていた情報によれば、BeOSが正式サポートされるのはV3.0以降とのことなので、待てない場合にはこの方法もアリだろう。

    Parallels Workstation 2.1 Beta4でHaikuの最新版スナップショットを起動したところ。ブートデバイスのマウントに失敗、カーネルデバッガに落ちてしまう

    Windows XP on Intel iMac 17”上で仮想ソフト「VMware Player」を起動し、Haikuの最新スナップショットでブートしたところ。体感速度の面では特に不満なし

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