【コラム】

OS X ハッキング!

173 衝撃! Mac OS X+XPのデュアル環境を「Boot Camp」

    海上忍  [2006/04/06]

    いや、まさかとは思いましたが。出ちゃいましたよ、Boot Camp。Intel MacにWindows XPを"仕込む"ことの先陣は他に奪われたものの、それからわずかの間にPublic Betaといえどこれだけシッカリしたものを出してくるのだから、以前から着々と準備を進めていたわけか…… 昨今のAppleの勢い、恐るべし。

    というわけで、今回はその「Boot Camp」について。Windows XPのインストールからドライバの導入方法、そのパフォーマンスなどについて、ショートレビューの体裁で進めてみたいと思う。

    対象はSP2以降、アップグレード版は不可

    Boot Campは、いわゆるIntel MacにWindows XPを導入するための支援ツールだ。パーティションの分割とブートローダのインストールに加え、Intel Mac用のドライバを収録したCD-ROMを作成する機能を持つアプリケーション、と言い換えればわかりやすいだろうか。Intel Macに最新のシステムとファームウェアを導入し、HDDに10GB以上の空き領域と1枚の記録型CD(DVDも可)、そしてWindows XPを用意すれば、Apple純正の機能でIntel MacがOS XとWindowsのデュアルブートマシンに変貌するのだ。

    そのとき注意しなければならないのが、用意するWindows XPの種類。Boot Campに付属する文書には、「Boot Campアシスタントは、正式に使用許諾を得たService Pack 2適用済みのMicrosoft Windows XP Home EditionまたはProfessional(このソフトウェアパッケージには含まれていません)をIntelベースのMacintoshコンピュータにインストールするためのお手伝いをいたします」(原文から一部抜粋)と明記されている。

    さらに文書には、SP2が適用された単一ディスクのフルインストール型Windows XP CDを必要とし、アップグレード版やSP2以前のバージョンは使用できない旨が書かれているため、Professioanlならば3万円台後半、Home Editionならば2万円台後半の小売りパッケージ(通常版)を用意しなければならない。それなりの出費は覚悟しておいたほうがいいだろう。

    Boot Campには、OSの再インストールなしにパーティションを作成する機能が用意されている

    XPのインストール後、Boot Campで作成した「Macintosh Drivers CD」をセットすると、このようなウィザードが始まる

    Macintosh Drivers CDにはグラフィックドライバも含まれるので、描画も高速(機種はMac mini/Solo)

    残念、Zetaはアイコンパレードで打ち止め

    この先、Windows XPのインストールと動作状況について書くつもりだったのだが、特に問題なくインストールは完了、ドライバの追加インストールでグラフィックチップやサウンドチップも認識され、ごく一般的なPCとして利用できるようになった、と勝手ながら端折らせていただく。それは何故か? Windows XPより面白いことが見つかったからだ。

    ふと思い立ちKNOPPIX(いわずと知れたLive-CDタイプのLinuxディストリビューション)でのブートを試みたところ、あっけないほど簡単に起動できた。内容とは無関係にディスクラベル名が「Windows」と表示されるものの、スタートアップマネージャ上ではブート可能なデバイスとして認識され、自由に選択することもできた。GNUSTEPのLive-CD(こちらもベースはLinux)はGRUBの箇所でフリーズしてしまったものの、CD-ROMからプロセスが起動されたことは確認している。

    この2つのLinuxディストリビューションは、EFIではなくBIOSを搭載したシステムを対象としている。つまり、今回のファームウェアのアップデートには、CSM(Compatibility Support Module)と覚しき実装が含まれているようなのだ。ということは、Intel Mac/Boot Campが対応するOSは、Windows XP SP2 Professional/Home Editionの決め打ちではない可能性もある。KNOPPIXが動作したように、ひょっとするとFreeBSDやSolarisが動いてしまうかもしれない(ちなみに、Zeta LiveCD v1.1はアイコンパレードの途中でフリーズ)。今回の発表では"Windows XPインストーラ"的なBoot Campの機能に注目が集まっているが、むしろ注目すべきはBIOSに依存するプログラムの利用に道を開いた新ファームウェアの公開だろう。

    168回で紹介したKNOPPIX日本語版は、セットするだけで起動に成功(機種はMac mini/Solo)

    ZetaのLive-CDを試したところ、起動開始後しばらくしたアイコンパレードでフリーズ(機種はMac mini/Solo)

    ともあれ、Mac OS Xの地位を揺るがしかねないデュアルブートという"諸刃の剣"を、Apple自らがこれほど早期に提示したことは、正直言って驚きだ。WindowsのアプリケーションをOS Xで実行するには、WindowsとAPI互換の「Wine」、あるいは仮想化ソフトの導入という方法があっただけに、今回の決断がベストであったかどうかには疑問が残るものの、来るべきLeopardに向けたホットな話題が加わったことは確かだろう。

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