【コラム】

OS X ハッキング!

170 今敢えて選ぶ「GNUstep」(1)

    海上忍  [2006/03/16]

    先日紹介したIntel iMac用Linuxカーネルとeliloを配布しているWebサイトですが、BAMBIOSなるブートローダを開発中とのこと。現在のところその概念図を見ることしかできませんが、これが完成した暁には、"素のWindows XP"をIntel Macにインストールできるかも。この情報は、引き続きフォローする予定です。

    さて、今回は「GNUstep」について。先日、Intel Macで利用するLinuxディストリビューションを物色していたとき、ふとGNUstepのLive-CD(ベースはLinux)の存在を思い出し、最新の開発状況を調べたところ、予想以上に面白い展開になっていることを発見。これはキャッチアップせねばということで、2回にわたりGNUstep関連の話題をお届けしたいと思う。

    What's GNUstep?

    GNUstepは、NEXTSTEP/OPENSTEP互換API群のフリーな実装であり、オブジェクト指向のフレームワークと開発用ツールキットの集合体だ。その歴史は意外に古く、OPENSTEP API(Foundation Framework/Application Kit)の仕様が公開された1994年にまで遡る。結局は後から登場したCocoaがOPENSTEP APIの正統な後継となったが、GNUstepも今なお開発が続けられている。

    ちなみに、AppleがNeXT Softwareを買収した後のOPENSTEPは「Yellow Box」に名称が変更され、Mac OS X Server(1.x系列、Rhapsody)版とWindows版の公開を経て、最終的には現在のCocoaという名前に落ち着いた。名前と育ての親こそ違えども、CocoaとGNUstepはどちらも"現在を生きるOPENSTEP APIの末裔"なのだ。

    GNUstep最大の特徴は、出自を同じくするCocoaとの互換性の高さだ。開発言語にはObjective-Cを使用、Interface Builder風の機能を持つ「Gorm」などオープンソースのグラフィカルな開発環境も提供されるため、Mac OS Xとソース互換のアプリケーション開発にも利用できる。それがLinuxやWindowsなどMac以外のプラットフォーム(もちろんGNUstepが動作する環境)で実行可能な点が、GNUstepの面白さといえるだろう。

    一般ユーザの視点では、古き良きNEXTSTEP/OPENSTEPのインタフェースを味わえる、という魅力もある。実際には、ウインドウマネージャの「WindowMaker」やファイルマネージャの「GWorkspace」など、NEXTSTEP/OPENSTEPのインタフェースを模したアプリケーションの集合体だが、互換環境を実現するという共通目的があるためか、操作性には一体感がある。高価で手が出なかったNEXTSTEP/OPENSTEPを今こそ我が手中に、という捉え方もアリなはずだ。

    GNUstepへのファーストステップ

    そのGNUstepを試す方法は、LinuxやWindowsにインストールすることがオーソドックスな方法だが、GNUstepの環境込みの形で配布されているLive-CDをPCで起動したほうが簡単だ。Mac OS Xの場合、スピードは犠牲になるが、エミュレータのQEMUを使えば手っ取り早く試せる。QEMUのGUI版「Q.app」を使えば、設定も簡単だ。最新のビルド(Latest UNSTABLE Build:Q-0.8.0d788.dmg)はユニバーサルバイナリの形で配布されているので、Intel/PowerPCを問わず利用できる。

    GNUstepの起動は、Q.appを使えば面倒なことは一切なし。CD-ROMドライブとしてLive-CDのISOファイルを指定し、それをブートデバイスに指定する程度でセットアップは完了、起動から数分待てばGNUstepのGUI(正確にはWindowMakerやGWorkspace)が現れる。実行速度は速いとはいえず、基本的なOpenGLの描画性能を測るツール「glxgears」の結果はIntel iMac 17"が385.0fps、PowerPC G5 2.0GHz Dualが233.8fps(Intel iMac版QEMUのほうが体感速度も上!)と、かろうじて使えるレベルだが、GNUstepを味見するには十分だろう。

    と、ここで紙幅が尽きたので、続きは次回。現在進行中の新しい関連プロジェクトなど、GNUstepの最新情報を整理してお伝えする予定だ。

    GNUstepのLive-CDを起動しているところ。ディストリビューションにはdebianベースのMORPHIXが利用されている

    NEXTSTEP/OPENSTEPを彷彿とさせるのは外観だけにあらず

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