【コラム】

OS X ハッキング!

116 フリーなオフィススイートについて考える(1)

    海上忍  [2004/12/06]

    Appleが米国証券取引委員会へ提出した年次報告書によれば、ついに売上高の比率でノート型機(PowerBook、iBook) がデスクトップ型機(PowerMac/Xserve、iMac/eMac)を超えた模様。iPodも前年度比279%増と絶好調、iMacとiBookの売上高を軽く上回っている。個人的にはiTunes Music Storeで売上増に貢献したいのだけれど…… 次年度はいかに?

    さて、今回はOS Xで動作するフリーなオフィススイートについて考えてみたい。某オフィススイートを利用している読者も多いこととは思うが、いまや機能的にはそれほど見劣りしないレベルに達している。今回はそのうちワープロを中心に話を進めてみよう。

    フリーなオフィススイートの現状

    これまでMacで使えるオフィススイートは、事実上Microsoft OfficeとAppleWorksの2つ以外に選択肢がなかった。Mac OS Xの時代に入ってからは、Sun MicrosystemsのStarOfficeをベースとした「OpenOffice.org」やKDEに含まれる「KOffice」などのオープンソース系も利用可能となったが、X Window System(X11.app)を必要とするため、Aquaのユーザインターフェイスとは見た目も操作性も馴染まないという"ギャップ"がある。

    なにより、使い慣れた日本語IMEを利用できないことは普及の妨げとなっている。X11.appを利用する場合、kinput2またはXIMプロトコルに対応したインプットメソッドが必要となるため、ことえりやATOKといったOS Xネイティブの日本語IMEは使えない(X11 for Mac OS Xを導入すれば「ことえり」のみ利用可能)。導入までの敷居の高さはともかくとして、手に馴染んだ日本語IMEで入力作業できないと聞けば食指が止まるのはやむを得ないだろう。

    Mac OS Xには「NeoOffice/J」というオフィススイートもある。OpenOffice.orgのGUIをJavaで再実装したもので、X Window Systemに依存せず動作するため、前述した日本語IMEの問題をクリア。GUIがJava(Swing)という点と起動に時間がかかる点を除けば、かなり使える。巷で高評価を獲得しているOpenOffice.org(v1.1.2)との機能差はほとんどないため、OpenOffice.orgの日本語入力に不満を感じるのならばこちらを選ぶべきだ。

    なお、Aquaで動作するOpenOffice.org(以下、Aqua版)の開発はすでに始まっている。Aqua版が登場すれば(少なくとも現在より)普及が進むことが期待できるものの、こちらの情報によるかぎり、来年以降のこととなりそう。

    Aquaにこだわるなら「Abiword」

    統合ソフトにこだわらなければ、単機能のソフトを使うという手もある。たとえば、オープンソースのワープロソフト「Abiword」はAquaへの移植が進んでおり、日本語などマルチバイト文字も扱える。Wordやリッチテキストのインポートも可能なので、まずは以下のサイトからバイナリを入手していただきたい。マウントしたディスクイメージからドラッグするだけでインストールは完了だ。

    起動してみると、メニューが英語で表示されたはず。現在のバージョン(v2.2.0) では国際化機能がうまく機能しないため、~/.MacOSX/environment.plistで環境変数LANGに「ja_JP.UTF-8」を定義するか、以下の手順で起動してみよう。これで、かなり使いやすくなるはずだ。

    $ export LANG=ja_JP.UTF-8
    $ open /Applications/Abiword.app

    問題点だが、残念ながら少なくない。日本語をインライン入力できない、入力した文字を消すとゴミが残ることがある、Wordファイルをインポートしても読めないことが多い、頻繁にクラッシュする…… と書いてしまうと散々に聞こえてしまうかもしれないが、なかなかどうして、アプリケーションとしてのサイズが小さいなど見るべき点も多い。現状では動作しないプラグイン機能(プラグインの追加により機能拡張が可能)など、解決されるべき課題は多いが、今後が楽しみなアプリケーションだ。

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