【コラム】

OS X ハッキング!

84 Qt/Macを試す(1)

    海上忍  [2004/03/22]

    先週末、ファンレスの状態で酷使し続けたことがマズかったのだろうか、G4 Cubeで使っていたビデオカード(RADEON)が昇天した。慌てて他のカードに交換していると、何の偶然かテレビから訃報が聞こえてきた……。さよならするのはツラいけど、時間だよ。仕方がない。長さん、そしてRADEON、これまで長い間ありがとう。

    気を取り直して本題へ。今回は、ノルウェイで設立されたTrollTech社の製品「Qt/Mac」を取りあげてみよう。Qt/Macの最初のリリースは2001年10月とだいぶ前の話になるが、昨年6月にGPL版が追加されるなど、着々と進歩を遂げているのだ。

    What's Qt?

    よくわからない読者のために説明しておくと、Qtとは「ちょっとファンシーな外観のウィジェット(GUIの部品)を揃えたライブラリ」で、LinuxなどのPC-UNIXを中心に普及している。統合デスクトップ環境「KDE」を見たことがあるだろうか?あのGUIを提供しているのが、Qtなのだ。また、X Window Systemが動作するUNIX系OSのみならずWindowsなど多くのプラットフォームがサポートされているため、可搬性の高いプログラムを開発できることも特徴と言える。

    Qt/Macは、Qtの最新バージョンであるv3.3.1のMac OS X移植版という位置付けだが、他のUNIX系OS向けのQt(Qt/X11)とは異なり、X Window Systemに依存しない。かなり語弊はあるが、X11.appを使わずにKDE用のアプリケーションをAquaで動かすためのライブラリ、と考えればわかりやすいかもしれない。

    なお、TrollTech社はQt/Macの普及に本腰を入れているようで、Qt/Macを利用したアプリケーションのコンテストを開催するとのこと。オリジナルまたは移植したフリーウェアと商用ソフトの計3部門があり、総合優勝者にはPowerMac G5が、各部門の優勝者には40GBのiPodがプレゼントされるという特典付きだ。締め切りは5月7日と余裕があるので、腕に覚えのある方は試してみてもいいだろう。

    Qt/Macのインストール

    Qt/Macはソースコードの形式で配布されているため、インストールには開発環境が必要だ。また、/Developer/qtへのインストールが前提となるなど一般ユーザでは何かと面倒が多いので、管理者権限を持つユーザとして作業に臨んでほしい。ソースコードのダウンロードとコンパイルの手順は以下のとおり。「Enjoy! - the Trolltech team」とメッセージが現れれば、作業は完了だ。

    $ curl -O ftp://ftp.trolltech.com/qt/source/qt-mac-free-3.3.1.tar.gz
    $ tar xzf qt-mac-free-3.3.1.tar.gz
    $ mv qt-mac-free-3.3.1 qt
    $ mv qt /Developer

     

    $ vi ~/.bash_profile
    (以下の行をシェルの初期化ファイルに追加)
    QTDIR=/Developer/qt
    PATH=$QTDIR/bin:$PATH
    MANPATH=$QTDIR/doc/man:$MANPATH
    DYLD_LIBRARY_PATH=$QTDIR/lib:$DYLD_LIBRARY_PATH
    export QTDIR PATH MANPATH DYLD_LIBRARY_PATH

     

    $ . ~/.bash_profile
    $ cd $QTDIR
    $ ./configure -thread -fast
    (最初にライセンスがGPLであることの確認が行われる)
    Do you accept the terms of the license? yes ←ライセンスに同意するならyesと答える
    $ make

    まずはデモプログラムを試す

    Qt/Macを入れればKDE用アプリが動く、といったニュアンスで先ほどは書いたが、現実にはQt単独で動くアプリケーションは少なく、KDEに含まれるライブラリを必要とするアプリケーションが大部分だ。オフィススイートのKOffice然り、WebブラウザのKonqueror然り、KDEなしでは動作しない。

    そこで、KDEを構成するパッケージのうち必要最低限のものをインストールすることになるが、その前にQt/Macではどのようにソースコードをコンパイルすればいいか知っておいたほうがいい。/Developer/qt/examplesには多数のデモプログラムが置かれているので、そのうちデジタル時計を表示する「dclock」を試してみよう。Qt/Macが正常にインストールされていれば、カレントディレクトリに「dclock.app」が作成されたはずだ。

    $ cd /Developer/qt/examples/dclock
    $ make distclean
    $ qmake -macx dclock.pro
    $ make

    と、ここで紙幅が尽きたので、「qmake」の用法などQt/Macに付属するユーティリティの使い方については、次回説明することにしたい。

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