年会費無料で旅行傷害保険を付帯したクレジットカードは少なくないが、そのほとんどは所定の旅行代金を当該カードで支払った場合にのみ保険が適用される「利用付帯」と呼ばれるもの。今回は持っているだけで保険適用の対象となる「自動付帯」で、なおかつ年会費無料のカードを紹介する。

■横浜インビテーションカード

「横浜インビテーションカード」

「横浜インビテーションカード」が自動付帯する海外旅行傷害保険は、傷害死亡・後遺障害時に最高2,000万円を補償。傷害・疾病治療では最高200万円、誤って他人を怪我させたり他人の物を壊したりした際の賠償責任に対しては最高2,000万円、携行品損害は年間最高20万円、救援者費用は年間最高200万円の補償が受けられる。

さらに、所定の旅行代金を同カードで支払えば、国内旅行傷害保険も適用される。傷害死亡・後遺障害は最高1,000万円、入院は1日につき5,000円、通院は同3,000円、入院が伴う手術は最高20万円を補償。家族カードも3枚まで無料で発行可能となっている。

会員限定の優待サービス「J’sコンシェル」を利用できることも、大きな特徴のひとつ。全国の宿泊・レジャー施設をはじめ、映画鑑賞券やレンタカーの割引、健康・介護・育児に関する24時間年中無休の無料相談ダイヤルの利用など、優待を受けられる施設・サービスは23万件以上。ぜひ手元に置いておきたいカードだ。

■JCB EIT

「JCB EIT」

「JCB EIT」

「JCB EIT」は海外旅行傷害保険を自動付帯。補償内容は傷害死亡・後遺障害で最高2,000万円、傷害・疾病治療では最高100万円、賠償責任に対しては最高2,000万円。携行品損害は携行品1つにつき最高10万円で、1旅行につき最高20万円、年間では最高100万円。救援者費用も年間最高100万円となっている。

6種類のなかからカードのデザインを選べることも特徴で、生計を同一にする一親等以内には家族カードも発行可能(18歳未満および高校生は不可)。リボ払い専用のカードだが、初回手数料は無料で、1回あたりの支払額は5,000円から限度額の範囲内であれば、1,000円単位で自由に設定可能となっている。

また、ポイント還元率も高く、月間利用合計金額1,000円ごとに2ポイント(=10円相当)が貯まる。年間利用金額に応じて、次年度のポイント付与率がアップする制度もあり、前年の集計期間中に50万円以上利用なら1,000円につき2.1ポイント、100万円以上利用なら同2.2ポイント(いずれも小数点以下切り捨て)。つまり、最高で1.1%還元となる。

■エポスカード

エポスカード

「エポスカード」が自動付帯する海外旅行傷害保険は、傷害死亡・後遺障害時こそ最高500万円の補償だが、傷害治療では最高200万円、疾病治療では最高270万円を補償。海外で体調を崩しがちな人には、安心度が高いカードだ。なお、賠償責任は最高2,000万円、携行品損害は年間最高20万円(携行品1つにつき最高10万円)、救援者費用は年間最高100万円となっている。

優待サービスも充実しており、年に4回開催される「マルコとマルオの7日間」の期間中は、マルイでの買物が10%オフ。さらに、飲食店やレジャー施設をはじめとする全国約7,000店で、割引や特典が利用できることも特徴。さまざまな企業やキャラクターと提携したカードも発行されている。

エポスカード

なお、利用状況に応じて「エポスゴールドカード」のインビテーションが届く場合があり、インビテーションを通じてゴールドを発行した場合は、通常5,000円の年会費が永年無料となる(通常の申し込みでも年間50万円以上利用すれば、次年度から永年無料)。ゴールドでは保険の内容も傷害死亡・後遺障害時は最高1,000万円、傷害・疾病治療では最高300万円とグレードアップ。それ以外にもボーナスポイントや空港ラウンジの無料利用といった特典も受けられる。

年会費無料で旅行傷害保険が自動付帯したカードの補償内容 ※傷害死亡・後遺障害・傷害治療・手術は1事故、疾病治療は1疾病、携行品損害・救援者費用は年間(保険期間)、入院・通院は1日あたりの最高額で、 ( )内は利用付帯時の金額

現在、手元に旅行傷害保険を付帯したカードがない人は、どれか1枚でも持っておくことをオススメする。もちろん、上記3枚とも保有しても構わないが、傷害死亡・後遺障害での保険金は、保有カードのなかでの最高金額が限度となり、各カードの保険金額に応じて按分される。それ以外の保険金については、各カードで合算されるが、実際の損害額が上限となる。細かい保険の適用条件はカードにより異なるので、完璧に把握することは難しいかもしれないが、一度は約款に目を通して、ある程度は把握しておこう。

次回は異なる年会費無料のカードを組み合わせて、さらに補償範囲を広げるテクニックを紹介する。

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月7日発売の『最強クレジットカードガイド2016 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。

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