【コラム】

俺のロボット

18 アスリートカップへの道(6) - 初期設定のポイント

    大塚実  [2008/01/26]

    ハードウェア的には前回までで完成である。あとはモーションを入れて動かすだけだが、その前に、最初にやっておくべき設定について、いくつか補足説明をしておきたい。

    ジャイロセンサー

    ジャイロセンサーで姿勢を制御するには、HeartToHeart3のアナログボタンで、「リアルタイムミキシング」の値を変更する必要がある。この設定は目的(競技など)に応じて変更してもいいが、慣れるまでは京商が公開しているサンプル値を使用するといいだろう。

    ピッチ軸(前後方向)の設定値

    ロール軸(左右方向)の設定値

    また電源投入時に自動実行されるスタートアップモーションの中で、筆者はジャイロの校正も行うようにしている。データ(スタートアップ.RCB)を添付するので、参考にしてもらいたい。このモーションでは、ゆっくりホームポジションに移行してから、AD1とAD2を校正している。腕が小さく動いたら校正完了だ。

    以下のリンクからスタートアップ.RCBをダウンロードしてください
    01.zip - スタートアップ.RCBの圧縮ファイル(zip形式:1.05KB)

    加速度センサー

    加速度センサーは重力の向きを検出できるので、これを利用して、自分が仰向けなのかうつ伏せなのかを判断することができる。転倒時、仰向けからは仰向け用のモーション、うつ伏せからはうつ伏せ用のモーションで起き上がる必要があるが、競技中には慌てて間違えることも多い。モーション中に条件分岐を仕込んでおけば、こういった間違いを回避することができるのだ。

    動画
    仰向けからの起き上がり
    うつ伏せからの起き上がり

    ちなみに筆者のサッカー用モーション(起き上がり.RCB)では、仰向け・うつ伏せをそれぞれ判断した後で、そのどちらでもなければ(つまり起立した状態であれば)少ししゃがんだ姿勢をとるようになっている。こうすると同じボタンで、転倒時には向きを判断して起き上がり、立っているときにはしゃがんで踏ん張ることができる。

    以下のリンクから起き上がり.RCBをダウンロードしてください
    02.zip - 起き上がり.RCBの圧縮ファイル(zip形式:1.05KB)

    筆者のサッカー用起き上がりモーション。京商のサンプルモーションを応用している

    基本姿勢の変更

    先ほどの起き上がりモーションで、「しゃがんでどうするの?」と思う人もいるかもしれないが、敵味方が入り乱れているときには結構有効な手なのだ。体格に勝る相手が突っ込んできても、倒れずにかなり耐えることができる。同じ理由で、筆者は待機時の姿勢を少し低くするようにしている。これには特別な設定はなく、全てのモーションデータで、最後のPOSオブジェクトをその姿勢にするだけでオーケーだ。

    筆者の基本姿勢。じつはこの姿勢、京商のサンプルモーションからそのまま持ってきただけだったりする

    このときのMANOI君の実際の姿勢。あまり最初と変わらない気もするが、まぁ棒立ちよりはマシだろう

    サーボの特性変更

    MANOIのサーボモーター「KRS-4024S HV」では、モーション再生中に動作特性を切り替えることが可能だ。変更可能な内部設定は「ストレッチ」(5段階)と「スピード」(3段階)だが、ここで注目するのはストレッチ(保持力)のほう(スピードは基本的に最速設定でいい)。この設定がサーボ内部に3セット保存されており、モーション内のPOSオブジェクトからそのうちの1つを指定することができる。

    4024Sでは、これらのパラメータを設定することが可能。ストレッチとスピードはモーション中で変更できる

    ちなみに換装した4013で設定できる項目はこちら。ご覧のように設定項目が増えている

    この設定値、デフォルトでは3セット全てに同一値が入っているが、筆者はKHR-2HVのときに「SET1が中間値、SET2がソフト、SET3がハード」と設定していたので、MANOIでも同様にした。これを、例えば歩行モーションでは、負荷の小さい上半身のサーボはSET2にして、負荷の大きい下半身はSET3にする、というような使い方をしている。同じモーションデータを使っていても、この内部設定が異なると動作が変わってくることもあるので注意したい。

    筆者のMANOI君の設定。CH11 / 12 / 17 / 18は4013なので表示されていないが、設定は同様だ

    HeartToHeart3の便利機能

    HeartToHeart3でモーションを作るとき、ここで紹介する「LINK」機能を使うと便利だ。これは複数のサーボに対して一括した処理を行える機能で、例えば腰を低くしたいときには、足の付け根、膝、足首の各サーボの角度をそれぞれ変える必要があるが、この機能を使えばボタン1つでこれを一気に行うことができる。

    設定方法についてはマニュアルを参照してほしいが、このようにすれば簡単にしゃがんだ姿勢を作れる

    この設定では、ボタンを押すごとに足を前後に開いていく。歩行モーションをいじるときなどに便利だ

    これは上半身の前傾/後傾の操作。シンプルだがよく使う

    似ているが、こちらは足首で前傾/後傾を変えている

    HeartToHeart3を使っているうちに、このようによく行う操作が出てくるはずだ。そういったものをLINK機能で指定しておけば、モーション作りが非常に楽になる。まず大雑把にLINK機能の組み合わせでポーズを作っておいて、スライダーで微調整するといった使い方も可能だ。

    もう1つ、便利な機能として紹介しておきたいのが変換機能だ。マニュアルに例として出ているのは左右反転するミラーリングだが、このほかにも、KHR-2HVのモーションをMANOI用に変換することもできる。KHR-2HVは多くの人がモーションを公開しているので、活用できれば便利だし、参考にもなる。ただし、KHR-2HVとMANOI AT01では肘関節の角度が90°異なるので、全く同じにはならない。変換してみて、不具合があれば修正する必要はあるだろう。

    このように設定して、KHR変換1→2→3の順番で変換をかける。KHRとMANOIでは機体バランスが異なるので、そのまま動くとは限らない

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