おひとりさまが大事なお金を失くさないために、インターネットとどう付き合ったらいいのでしょうか? ネット犯罪が増加する中、防御するための対策をしっかり講じておきたい。

ネットショッピングやネットバンキングの際には要注意

仕事を終えてホッとくつろぐ夜、ひとりの休日。ネットショッピングを楽しむおひとりさまは多いのではないだろうか? そしてネットショッピングの支払いは、クレジットカードやインターネットバンキングでという人がほとんどではないだろうか? また、銀行口座の残高をネットバンキングで確認したり、家賃の振込をする人もいることだろう。

ここ数年、インターネットを使った犯罪が急増している。自分のお金をだまし取られる犯罪としては次のようなものがある。

クレジットカードの不正利用

クレジットカード情報が漏えいしたことにより、自分が利用した覚えのないネットショッピングの料金が請求される。悪質なサイトにカード情報を入力してしまった、カード情報を登録している企業からの漏えいなどが原因だ。

買ってもいないものの料金を請求されて支払うことになるのだから、たまったものではない。クレジットカードの中には、「インターネット不正利用補償付」もある。この補償がついていると、状況を調査し、第三者による不正利用と認められた場合は、カード会社が請求を取り消してくれる。被害にあったことを迅速に連絡し、調査に協力することが条件だ。他人にカードを貸す、カード情報をきちんと管理していないなどの過失があると、補償されない。自分が使っているクレジットカードに補償が付いているかを確認しておこう。

インターネットバンキングによる不正送金

こちらは、インターネットバンキングのパスワードなどの情報を不正に取得し、その情報を使って、口座のお金を別の口座に振込んで盗み取るというもの。ある日、気が付いたら、銀行口座の残高が無くなっているのだから、おそろしい。パソコンがウイルスに感染している、送られてきたメールのリンクを開き偽のサイトでパスワードを入力してしまうことなどが原因となる。

万一、被害に遭った場合、都市銀行や地方銀行が加入する銀行協会では、預金者に過失がなければ、不正送金で盗まれたお金の全額を銀行が保障する取り決めを行っている。こちらも、迅速な連絡、調査への協力が条件だ。預金者に過失があった場合は、全額は保障されない。日頃からパスワードの管理などに注意したい。

ネット利用の安全対策の基本

こういった犯罪に巻き込まれないためには、次の点に注意したい。

  • パソコンやスマホへのセキュリティ対策ソフトの導入は必須

  • OSやセキュリティ対策ソフトは常に更新して最新に

  • おかしいなと思ったら、そのサイトを離れる

  • 不審なメールのリンクを開かない

  • クレジットカード情報を安易に入力しない

  • インターネットバンキングのパスワードなど入力させるメールは無視する

  • クレジットカード会社や銀行の公式サイトで、注意喚起情報を確認する

パソコンにはセキュリティソフトを導入しているが、スマホはまだという人は多いようだ。インターネットバンキングによる不正送金の次の標的はスマホとも言われている。スマホは携帯電話であると同時に持ち運べる小型のパソコンでもある。スマホのセキュリティ対策も忘れずに。面倒で先延ばしにしたくなる更新作業もまめに行いたい。

また、「なんだか、いつもと違うなあ」と思ったとき、不信感を感じたときは、いったん取引を中止して、そのサイトから離れよう。

金融機関の公式サイトには、不正な利用や犯罪に対して、どのような対策をとっているか、安全な取引のための注意事項などが掲載されているので、ネットショッピングのついでに読んでおこう。

また、無料でセキュリティ対策ソフトを配布している銀行もある。インターネットバンキングで振込を行った際にはケータイのメールにお知らせが入る設定にできる銀行もある。クレジットカード会社では、安全対策として本人認証サービスを取り入れているところもある。こういったサービスも活用したい。同時に、クレジットカードの明細や銀行の通帳などを通して、自分のお金の取引履歴を定期的にしっかり確認することも重要だ。おひとりさまには、お金を共同で管理する家族はいないのだから、自分自身でしっかり見ないことには、不正な取引が紛れ込んでいても、気が付かないままになってしまう。

当連載第5回の『自分の目で「お金の記録」をしっかり「見る」』も参考に。

こわいからと言って、インターネットと関わらない生活は今の時代、難しい。日常的にインターネットを利用し、使い慣れているからこそ、おかしいなと気が付くケースもあるだろう。また、インターネットショッピングやインターネットバンキングは、体調が悪いときや、外に出られないときにも利用できるユニバーサルなサービスでもある。対策をとった上で、安全に活用したいものだ。

では次回は、金融取引で被害にあったとき、困ったとき、疑問を感じたときの相談先について紹介します。

(※画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

ファイナンシャルプランナー 坂本綾子

20年を超える取材記者としての経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行っている。著書『お金の教科書』全7巻(学研教育出版)、セミナー『子育て力のあるお金の貯め方、使い方』『小さな消費者へのお金の教育』など。