イマドキ大人で銀行口座を持ってない人はいないはず。普段はあまり意識しないけど、銀行とは一生を通したお付き合い。銀行をはじめとする金融機関を上手に使いこなす方法を紹介します。


銀行口座はお金管理のベースキャンプ?

結婚していても、いなくても、生きている限り使うのが銀行口座。現役時代は毎月給料が。また、まだかなり先だが、いずれは年金が振り込まれることになる。お金の受け取り&支払いは、銀行口座を通して行うことが多い。貯めたお金も銀行口座に入っている。こんな大事なお金管理のインフラなのに、ルーティンワークみたいにATMで現金を引き出し、通帳記帳はずっと忘れたまま……なんて人はいないだろうか? まずは銀行口座を整理整頓し、使いやすくすることから始めよう。

生活費の入出金はひとつの口座で

複数の銀行口座を持って、あちこちに入金や引落しをセットしているなら、ひとつの口座に集中させよう。一番簡単なのは、給料が振り込まれる口座に、生活費の引落し、例えばケータイ料金やクレジットカート代金の引落しをセットすること。前回の記事で紹介した自動積立定期も、もちろんセットする。この口座を見れば、毎月の入金、積立、引落し、ATMでの現金引き出しまで全部わかる。

人間にいろいろなタイプがあるように、銀行口座の使い方もいろいろ。入金と出金の口座は分けておきたいという人もいる。そんな人にまで無理強いはしないが、月々の生活費はひとつの口座で管理した方が、お金を動かす手間がかからず、断然楽だ。

お金を動かす(=現金を引き出したり、振込んだり)には手間と時間がかかる上、方法によっては手数料がかかる。さらにリスク(=落とす、盗られる)もある。お金を動かすのは必要最小限に、時間も大事にしたい。

第2の口座はタイプの違う銀行に

生活口座では、毎月給料が振り込まれ、自動積立定期で貯蓄が行われ、引落しと現金の引き出しも行う。この口座の残高が大きく増えるときがある。そう、ボーナスが振り込まれたときだ。また3年も経てば、自動積立定期の残高もまとまった額になってくる。そういったお金は、第2、第3の口座に移して、使う日まで待機させたり、性格の違う金融商品に預けておきたい。第2の口座は、生活口座とはタイプの違う銀行がオススメだ。

銀行には、都市部を中心に全国的に店舗網をもつ都市銀行、県庁所在地などに本店があり地域を地盤とする地方銀行がある。さらに、ここ10年ほどの間に、インターネット専業銀行、流通系の銀行、証券会社系列の銀行など、新しいタイプの銀行が登場している。また、正確には銀行ではないが、銀行と同様に利用できる信用金庫などもある。いずれもHPでサービスを紹介しているので、生活口座と組み合わせて使う第2の口座を開く銀行を探そう。

会社員の場合、給与振込の銀行は、都市銀行か地方銀行が多いのではないだろうか? そうすると第2口座の候補は、インターネット専業や流通系など新しいタイプの銀行だ。店舗やATMの数が多いゆうちょ銀行、地域密着の信用金庫も独自のサービスがあって、面白い。

組み合わせのポイントは、共通で使えるATMがあるか、それぞれのATMが近くにあること。銀行口座間の振込は手数料がかかるので、生活口座と第2の口座間でお金を動かすときはATMを利用するのがオススメだからだ。

複数の銀行口座を持ち、自分のお金を分けておくことは、リスク管理の点でも重要だ。万一の倒産、不正な引出し、システムトラブルによるATMの停止などに備える。

証券会社に第3の口座を

現在、銀行では、預金以外にも、投資信託や保険も取り扱っている。しかし、株式やETF、REITに投資をしたいなら証券会社の口座が必要だ。「自分は一生、投資をすることはない」と決めている人を除き、証券会社にも口座を持ちたい。

証券会社もHPで自社のサービスを細かく案内している。利用したい金融商品やサービスがあるところを選ぼう。その際、気をつけたいのが、生活口座や第2の口座として使う銀行との相性だ。

銀行から証券会社の口座への入金は、インターネットバンキングで簡単にできるが、手数料がかかる銀行とかからない銀行がある。証券会社にはそれぞれ、手数料無料で入金できる提携銀行があるので、そこを確認した上で選ぼう。

銀行2行、証券1社の口座を使い倒す

つまり、最低限、付き合いたい金融機関は、銀行2行に、証券会社が1社。この3つの口座があれば、生活費の管理、資産の分散、運用まで、大概のことができる。少数精鋭で使い倒すのが、手間、時間、手数料を省いて、なるべく安全に金融機関と付き合うコツだ。上級者は、これに自分独自の視点で選んだ口座をプラスしてもいい。

フルに使う3つの口座を確保したら、忘れてならないのが、使わない口座をすみやかに解約すること。最寄りの支店に、本人確認書類と通帳・キャッシュカード・印鑑を持っていけば手続きできる。これで、すっきりとお金が流れる金融機関の設定が完了する。


次回は、通帳や取引履歴を活用して、簡単にお金を管理する方法をお届けします。

<著者プロフィール>

ファイナンシャルプランナー 坂本綾子

20年を超える取材記者としての経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行っている。著書『お金の教科書』全7巻(学研教育出版)、セミナー『子育て力のあるお金の貯め方、使い方』『小さな消費者へのお金の教育』など。