研磨布紙メーカーとして、創業80年以上の歴史を誇る三共理化学。国内で最初に耐水ペーパーを開発し、いち早く市場をおさえたことで、業界内で確かなポジションを築いてきた。長い歴史の中で同社が実践してきたこと。それは、絶え間ない挑戦に他ならない。市場が成熟し、安定企業に成長した現在。同社の挑戦は世界へと広がり、グローバルな事業展開を目指すという。これまでの軌跡、そして未来へ向けた想いを聞く。

--御社の事業内容やサービスの特徴を教えてください--

昭和5年に東京都文京区で研磨布紙メーカーとして誕生し、「地球をやさしくみがきたい」をスローガンに、"みがき"の文化を広めてきました。

もともと木材・金属等を磨くために必要だった研磨布紙ですが、時代の流れと共に研磨が必要とされる領域は、自動車・鉄道・OA機器・プリント基板・液晶ディスプレイ・光ファイバーなどにも拡大。当社も同様に時代のニーズに合わせて製品の種類・領域を広げてまいりました。あらゆる領域に対応した当社の製品群は、今や「人の内面以外は、何でも磨ける」と言っても過言ではないほどです。

もともとBtoB向けの製品を主軸としていた当社ですが、ここで培ったノウハウ・技術力を活かし、1996年頃からはコンシューマー向けの商品も提供するようになりました。変わったところで言えば、肌を傷つけることなくムダ毛を処理する除毛パフなどの美容用品も製造。今では、ホームセンターやドラッグストアなどでも、当社製品を販売いただき、多くの皆様にご利用いただいております。

--創業からの歩みを教えてください--

当社の原点は、耐水ペーパーの製造・販売です。創業当時、研磨材は海外の輸入商品が主流でした。

そこで、当社が最初に手がけたのが、現在の主力商品である耐水ペーパーでした。業界を先駆けて製造・販売を行ったことで、当社の耐水ペーパーは当時飛ぶように売れ、大きな市場シェアを獲得することに成功しました。といっても、当社の経営は決して順風満帆とはいきませんでした。1990年代、お客様である日本メーカー各社が一斉に中国等海外に工場を移し、日本のものづくりの現場が空洞化を起こす事態に。多くの企業が、現地で安いペーパーを仕入れるようになり、業界全体の売上げが減少してしまったのです。そこで当社は、これまで木工や金属用の研磨用製品中心だった事業を従来型の市場とし、自動車補修を中心とする補修市場、ITや自動車エンジンなどのナノ粒子の研磨材による超精密研磨材市場、一般コンシューマー向け市場などの新しい製品展開により事業分野を広げていったのです。

例えば、業界においていち早くカーコーティング材を展開したり、電子部品に組み込まれているプリント基板を磨くための研磨用砥石製品を開発。自動車整備会社やIT企業の作業効率化や生産工程を支え、今や多くの企業から受注を頂けるようになりました。

また、コンシューマー製品の開発・販売も本格的に行うようになり、「桃から生まれた野菜・果物の汚れ落とし」という桃の缶詰を製造する工程で発生した種を砕いて研磨材にしたエコ商品なども開発しました。この商品は、水に濡らしてこするだけで野菜や果物の汚れを落とすことができるスポンジで、多くのご家庭でご利用頂いています。

--将来のビジョンを教えてください--

当社は80年以上の歴史を誇る安定企業です。しかし、研磨布紙業界はすでに成熟した市場。新たな市場の開拓が常に必要とされています。

先ほども申し上げた通り、お客様であるメーカーが海外に工場を移転し、国内の市場はなかなか成長が望めなくなっています。ですから従来の「研磨布紙」市場に留まることなく、事業の柱を増やしていくことは、今後も引き続き当社の課題であると考えており、不織布やブラスト、化学研磨材といった業界の枠を超えた研磨分野などへも、積極的に進出していきたいと思います。

また、グローバル化に関しても日本の製造業のグローバル展開に歩を合わせ、既に当社製品が浸透している中国をはじめとするアジア、北米、ヨーロッパなど、海外への積極的な事業展開を進め、当社製品を広く世の中へと発信していきます。

--社員に期待することを教えてください--

既存のお客様と太いパイプを築いてきた当社では、いままである程度安定的な業績が確保できました。しかし、それだけではこの厳しい時代を生き抜いていくことはできないでしょう。

過去にとらわれることなく、自ら新たな行動を起こし、積極的にチャレンジできる人が今後の当社で活躍できる人材であると考えています。当社が市場を切り開き、長い歴史を誇る企業として成長を続けてきたのも、新たな事業にチャレンジし続けてきたからこそ。是非とも私たちと一緒に、これからの三共理化学を創りあげていきましょう。

会社概要
社名:三共理化学株式会社
設立:昭和28年6月(創業:昭和5年10月)
資本金:5億7,328万円
代表者:代表取締役社長/須藤 進
事業内容:研磨布紙・砥石等 研磨材製造、販売及び関連商品販売
事業所:本社/埼玉県桶川市泉二丁目2番18号