【コラム】
2011年1月、フランスのパリ東駅からドイツ・ハノーバーまで、「シティーナイトトレイン」に乗車してみた。幹線ということなのか、ホームは乗客でごった返していた。
パリ東駅。ドイツやルクセンブルグ、アルザス地方への列車の発着駅だ。なんせ、オリエント急行がここから出発したという由緒ある駅でもある。今回はシティーナイトトレインに乗り、ドイツへ行く。
それにしても寒い。駅構内には大きな暖房機器があって手をかざしたり、体を近づけて温まっている人もいる。筆者も暖をとりながら、さらに足踏みして血行を良くする。
何番ホームから、寝台列車は出るのだろうか? 発車案内板に表示されるのをいまかいまかと待っている。「あ! 出た!」。すると、同じ列車に乗る人々がいっせいに荷物をもちながら、そのホームに移動していくのだ。牽引するのは、いかつい顔つきをした電気機関車。「ゲンコツスタイル」とも呼ばれるフランス国鉄ならではの機関車だ。
筆者が乗ったのは1等個室。個室を1人で使用できるよう予約していたので気が楽だ。前回紹介した「ユーロナイト」も、個室をひとりで使えるのは同じ。ただし、設備は「シティーナイトトレイン」のほうが近代的だ。客車ではあるが、日本の列車にたとえるなら、「ユーロナイト」は「あけぼの」と「銀河」(東京~大阪間を走っていた寝台急行)の中間のような存在とするなら、「シティーナイトトレイン」はいわば、「サンライズ出雲・瀬戸」のようだ。
ところで、部屋に入ろうとすると、隣の個室の女の子が、「携帯電話を充電したいのだがコンセントが見当たらない。あなたの客室で充電させて」と頼んできた。断ったら、「なぜ?」と聞くので、「こちらの部屋にもコンセントがないから」と答えておいた。隣の個室は家族連れだった。よく事情がわからないのだが、ちょっと怖い。この人たち、どこへ向かうのかわからないし……。
さっさと自分の個室に入る。列車が20時20分に発車すると、すぐに寝てしまった。「シティーナイトトレイン」1等のベットはふかふかの毛布が備わっていて、天国のようだ。
深夜0時前、目が覚めたら、ドイツとの国境近くのメス(メッツ)で、ふと見ると雪景色。ドイツに近づいていくと、雪はどんどん深くなっていくようだ。
「シティーナイトトレイン」もまた、複数の行先の客車を連結している。意外に複雑な編成である。ハンブルクに行こうと思い、ハノーバーで乗り換えるルートを取ったが、ハンブルクを通ってミュンヘンに行く客車も連結されていたようだ。
まあ、これも旅のおもしろさだと思い、また毛布のなかにもぐり込んだ。そして、朝食を持ってきた乗務員の、「こんこんこんこん」というドアをノックする音に起こされたのである。
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