都市伝説のひとつに「夜、猫が線路を歩いて集まってくる」というのがあるそうだ。これでは、つげ義春の「猫町」になってしまうが、最近続けて違う場所で、レールの上を猫が遊びながら歩いて行くさまを目撃した。今回は、そんな猫と鉄道の話をお伝えしよう。

猫は線路を歩くのか?

10月のある夜、私は南武線の尻手駅にいた。この駅は、南武線の終点である川崎駅のひとつ立川寄りの駅であり、ここから浜川崎駅までの旅客、貨物の支線が分かれている。南武支線の電車は同じ205系ではあるが、本線と異なり緑と黄色のラインが引かれている。土曜の夜というのに電車の中は席が8割方席が埋まっている。尻手駅を出ると、京浜急行との乗換駅でもある八丁畷駅、川崎新町駅を経て、終点の浜川崎駅に着く。わずか7分、全長約4kmの単線の行程である。

南武支線の電車。緑と黄色のラインが特長(尻手駅にて)

浜川崎駅は、鶴見線との乗り換え駅だ。南武支線と鶴見線との駅は別々になっており、乗り換えるには一旦改札口を出る必要がある。改札を出てから右手の10mも離れていない跨線橋を上がり、鶴見線側の浜川崎駅の改札を入る。反対に、改札を出てから左手のほうへ行くと、南武支線と鶴見線とを接続している貨物線線路に「田島踏切」がある。その田島踏切の奥にも貨物線の線路があり、貨物列車がビュンビュン走っていく。

浜川崎駅、南武支線ホームと改札口。鶴見線の浜川崎駅に行くには一旦外に出ないといけない。改札口を出るとすぐ右手に鶴見線の浜川崎駅が見える

田島踏切。左手から右手の線路は、南武支線から鶴見線につながる貨物線。踏切の奥にも貨物線の線路がある

猫も線路がお好き?

猫も敷かれたレールの上を歩くのが好き。ブレていてごめんなさい

私は鶴見線の改札口を入り、ホームに降りた。土曜日ということであまり人気がない。ふと右手をみると、白い猫がレールの上のちょこまかと歩いているのではないか。見つめていると、こちらの視線に気がついたのか猫はレールから降りる。で、視線をそらすと、またまたレールの上を歩く。敷かれたレールの上を歩きたがるのは、人間だけじゃないようだ。

鶴見線は猫が多い。鶴見線に乗り換えて鶴見小野駅で下車すると、改札口を出て右手に行ったところで猫がじゃれている。どうやら飼猫ではないようだが、写真を撮ってみる。ふと見上げると、トンカツ屋が。ふらりと入ってヒレカツ定食を食べると、これが予想以上に美味しい。「あの猫は招き猫だったのか」と思いながら、土曜の夜を独りで過ごす。

鶴見小野踏切。鶴見線の運行間隔は開いている

鶴見小野駅近くの猫

レールの上を猫が歩く踏切

前回紹介した高島線10番三菱ドック踏切にも、かわいい猫たちがいる。ちなみに私はこの踏切を"魔界踏切"と個人的に呼んでいる。若者が踏切の近辺に描いたグラフィティが魔界度を上げ、夕暮れや夜にここを通るとえも言われぬ裏びれ感が漂うからだ。

高島線10番三菱ドック踏切。猫が数匹遊んでいた

ここ20年の間に港湾地域の再開発が行われて明るくなったが、その昔、近辺は貨物線の支線がいろいろと伸びており、また埠頭への入口にもあたっていたため、シュールな趣きを醸し出していたことと思われる。そういえば、40年ほど前に確かこの近くの踏切を渡ったことがある。潮干狩りのフェリーに乗りに高島埠頭に行くため、近道をしたのだった。待っていると、タンク形式の蒸気機関車が通っていったのを今でも覚えている。平成も20年の今、夜になると猫たちが遊んでいる。ハードルの選手のように、ポンとレールを飛び越えて遊んでいた猫が、レールの上を歩いて横浜方面に消えていった。

エスカーの猫たち

同じ神奈川県の江ノ島にも猫がいる。先日猫を見に江ノ島まで行ったので最後に紹介しておこう。エスカーの窓口に切符売りのように猫がちょこんと座っていた。今回は、猫の写真を見ながらお別れである。

江ノ島は猫が多い。乗車賃はいただきますニャー