ネットコラム業界(!?)では、「マイルドヤンキー」が大ブームです。もっとも、「ななめ切り」の企画ですので、ここでは「マイルドヤンキーで終わりたくない/なりたくない」という方に「脱マイルドヤンキー術」について書きたいと思います。

「マイルドヤンキー」は足軽武士??

脱マイルドヤンキー術 ※写真は本文とは関係ありません

「マイルドヤンキー」とう言葉がまだ広まる前に「ヤンキー文化論序説」(五十嵐太郎/河出書房新社/2009年)という「ヤンキー」に関して注目する書籍が発行されました。この本を読んだときの私の「ヤンキー」のイメージは、かつて戦国時代に豊臣軍に加勢するために全国から集まり「大阪冬の陣・夏の陣」で徳川軍を相手に戦った「浪人」でした。「非オタク」「非マイルド」そして、実際は日本のマジョリティである地方在住の「不良少年」「不良少女」たちの愛すべき「やんちゃ」なイメージでした。

ところが、今ちまたで話題の「マイルドヤンキー」は、この一匹狼の「浪人」というよりも、「和をもって尊しとなす」武士の中でも「足軽」と呼ばれる「マイルド」な下級武士のイメージです。

「マイルドヤンキー」と呼ばれてうれしいかどうかが問題だ

ところで、広告代理店や企業のマーケティング部門の人たちは、この「マイルドヤンキー」という言葉で、可視化が難しかった地元志向の強い「消費しない若者たち」に注目し、いかに「消費をしてもらおうか」と考えています。しかし、自分のことを「マイルドヤンキー」だと自覚している人や、そのように呼ばれてうれしい人が、実際どのくらいいるのでしょうか?

その昔、「竹の子族」「ツッパリ族」「アムラー」などと分類され「社会現象」となった(言われた)呼び名がありました。最近では「草食系男子」「山ガール」などもありました。もっとも、彼ら・彼女らには「好きでやっている」印象がありました。ところが「マイルドヤンキー」は、あくまで私の印象ですが、なりたくてなっているわけではない人が多い気がするのです。(この点は「氷河期世代」「ゆとり世代」と分類される世代のように) 私の主張に様々な反論もあると思いますが、大切なのは、「呼ばれる側の気分」だと思うのです。

「マイルドヤンキー」の特徴の中で、私が注目したのは、「地元大好き」「中高のときからのコミュニティが大好き」「学生のようにつるんでいる」などの「集団性」と「閉ざされた人間関係」です。

キーワードは「一人旅」

「マイルドヤンキー」という分類(レッテル)自体は、決してポジティブでもネガティブでもありません。中には自分はそれでも良いと思う肯定的な人もいるでしょう。それはそれで構わないと思います。ですから、今回は、薄々自分は「マイルドヤンキー」だと思いながら、どこか「マイルドヤンキーで終わりたくない」と思っている方に向けて「脱マイルドヤンキー」の方法を書きたいと思いました。

ポイントは「一人旅」です。

一生を賭けた、長い「本当の旅」でなくて構いません。海外でなく国内で短期でも十分です。「地元」「友人」「閉ざされた関係性」を少しの間、断ち切り一歩でも日常から飛び出てみることから始まります。意外と「マイルドヤンキー」という「言葉」自体が、しょせんは単なる東京で生まれた「造語」にすぎないことに気がつくかもしれません。

心配することはありません。一人旅が辛かったり、飽きてしまったり、自分には向かないと思ったら、そのときはそのときで、また地元に戻ればよいのです。


<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。