皆さんはビジネスのお付き合いで、あるいは上司や部下との関係でまたはショッピングやレストランで「無作法だな」「もっと丁寧に接してほしいな」と思ったことはありませんか。

仕事ではお客様、取引先、株主など、会社では上司や先輩と、専門分野・立場・世代などが違う様々な人たちがいます。良い関係を作り、より円滑に仕事を進めるためにそれぞれを尊重し積極的なコミュニケーションを取ることが必要です。しかし、友人同士のような気やすいものではないので難しさを感じている方も多くいることでしょう。

私の働くTBCグループでも新入社員のエステティシャンに最初に教えるのは技術ではなく接客マナーです。挨拶やお辞儀の仕方などを含めた基本的なマナーの習得がお客様との良い関係づくりに役立つからです。

とは言いつつ、働きながらもしくは就職活動をする忙しい毎日の中でマナーをしっかり勉強する時間を取るのはなかなか難しいものです。本連載では弊社の全国約200店舗のサロンでも実際に使われている、「知っていると胸を張れる意外と知られていないマナー」について解説していきます。誰からも好感を持ってもらえる品格のあるマナーを身につけてより良い人間関係の構築に役立てましょう。

まずは「明るく大きな声で挨拶」から

さて、まず初めにお教えしたいのは明るく大きな声で挨拶することです。

そんなこと? と思われるかもしれませんがこれこそがマナーの第一歩であり最重要ポイントだからです。挨拶は自分の心遣いを相手の心に伝えようとするための言葉です。声をかけた人、かけられた人双方が気持ち良いものです。挨拶をかわすたびに心が通うようにしていきたいものですね。

挨拶には姿勢が大事です。「胸を開き背筋を伸ばしてまっすぐ立ちます。お尻をキュッと締めお腹を引いた態勢を作ってください。大きく息を吸って、さわやかに『おはようございます』、歓迎している気持ちで『いらっしゃいませ』、相手をねぎらいながら『お疲れ様です』と、はっきり言ってみましょう」

自分から、いつでも、誰にでも挨拶してみてください。朝の始まり、お客様との出会い、取引先でのファーストコンタクトなど気持ちの良い挨拶でスタートすれば、あなたの第一印象がより良くなることでしょう。

姿勢よく丁寧なお辞儀をマスター

挨拶ができたら次はお辞儀の仕方です。

挨拶や声掛け、謝罪の時など頭を下げるのが今日では一般的となっていますが、お辞儀は昔ながらの日本の文化でもあります。相手に対し、敬意を表し同時に敵意がないことを示して背中に何も隠していないことを見せたことがお辞儀の由来とも言われています。ここからは姿勢よく丁寧なお辞儀をマスターしていきましょう。

目上の人になると緊張してしまうせいか、頭を下げすぎている方を見かけますが、見た目の印象もあまり良くありません。

お辞儀をもう少し具体的に解説すると、「15度程度の会釈、30度程度の敬礼、45度程度の最敬礼」に分けられます。

まず会釈は「おはようございます」「少々お待ちくださいませ」「失礼致します」等の時に軽く頭を下げるものです。軽くというと簡単なものに思われがちですが、よく使われる重要なものです。浅すぎるお辞儀にならないよう、頭を下げたら一度動作を止めしっかり戻すことがポイントです。

次に敬礼は一般的な挨拶に使われる「いらっしゃませ」「お待ち致しておりました」「お待たせ致しました」「お疲れ様です」「はい、かしこまりました」等の場合に使います。頭から腰にかけてまっすぐに傾けるのがポイントです。

最後に最敬礼は「ありがとうございました」「申し訳ございません」「申し訳ございませんでした」のように重要な場面で使われることの多いお辞儀です。お辞儀をした後は意識をして動作を止め、ゆっくり頭を持ち上げる所まで気を抜かずに行ってください。

いずれもお辞儀の後相手としっかり目を合わせる所までで一連の動作が終了となります。何度も繰り返していくうちに曖昧になりがちですので慣れている方は特に自分のお辞儀の姿を鏡でチェックするなどしてみましょう。気になる方は他の人に見てもらうといいかもしれません。お辞儀の角度や姿勢がより分かりやすくなることでしょう。

次回はスムーズに使えたらカッコいい?! 会話に役立ちそうなクッション言葉や気遣い言葉、とっさの時に焦らないための上座・下座の位置についてお話ししたいと思います。

執筆者プロフィール:名越 華子(なごや はなこ)


大学卒業後、TBCグループ株式会社入社。入社2年目より秘書として勤務。日々の秘書業務を活かし敬語やマナー等本の監修や講演をし、若手の育成などにも力を注ぐ。

その後マーケティングPR戦略部広報室に所属。TBCが掲げるTotal Beauty Communicationsの略であるTBCの窓口として美容や健康の情報を発信。秘書検定1級、青汁マイスターの資格を持つ。

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