【コラム】

音楽をはじめよう!

64 手のひらサイズの小型シンセ「KAOSSILATOR」登場(2)

 

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手のひらに収まるコンパクトシンセ、KORGの「KAOSSILATOR」。今回は複数の音色を利用してのフレーズ作りも可能とする、ループレコーディング機能を中心に見ていこう。

ループレコーディングでフレーズを作り出す

KAOSSILATORはタッチパッドの操作でさまざまな音を作り出し、ライブパフォーマンスなどに活用できる。ただしPROGRAM/VALUEノブで音色であるサウンドプログラムを切り替えてタッチパッドで演奏するという仕組みのため、タッチパッドをタップして同時に複数の音色、たとえばドラムとベースをリアルタイムで同時に鳴らすことはできない。

そうなると演奏というよりはSE的な使い方しかできなさそうだが、きちんと「楽器」として使えるような機能も用意されている。それがループレコーディングだ。KAOSSILATORのループレコーディングは最大4/4拍子で2小節分、つまり8ビートを記録でき、またレコーディングしたフレーズにどんどんオーバーダブ(重ね録り)していくことができる。たとえばまずドラムをレコーディングし、次にサウンドプログラムを切り替えてベースをレコーディング、という手段を取ることで、複数の音色を使ったフレーズが完成するのだ。

LOOP REC/PLAYボタンを押しながらタッチパッドを操作するとループレコーディング開始。レコーディング中はディスプレイ右上のインジケータが赤く点灯するとともに、ディスプレイに「b.3」(3ビート)のように現在のレコーディング位置が表示される

ディスプレイ右上のインジケータはループの録音/再生状態を表示、録音中は赤、この写真は再生中で少々わかりづらいが緑に点灯する。オーバーダブでフレーズを作るときはループ再生状態にしておき、LOOP REC/PLAYボタンを押しながらタッチパッドを操作すれば既存のフレーズを聴きながら録音できる

ループレコーディングの方法は非常に簡単。ディスプレイ右上のLOOP REC/PLAYボタンを押しながら、タッチパッドで演奏するだけだ。演奏が終わりLOOP REC/PLAYから指を離すと、インジケータが緑に点灯してレコーディングしたフレーズがループ再生される。違う楽器音をオーバーダブするならサウンドプログラムを切り替え、またLOOP REC/PLAYボタンを押しながら演奏・録音を続けていけばよい。

このループレコーディングでちょっと戸惑ったのは、LOOP REC/PLAYボタンとタッチパッドをそれぞれどの指で操作するかということ。右利きの筆者は自然と右手人差し指や中指でタッチパッドを操作していたが、その場合は本体右上に位置するLOOP REC/PLAYボタンは右手では押しづらい。本体を机の上に置いてLOOP REC/PLAYボタンを左手人差し指で押すか、または左手で本体を持ち、背面から中指が回りこむようにLOOP REC/PLAYボタンを押すことになる。結果としては後者のほうがノリやすかったが、ループレコーディングに関しては右手で本体を持ち、右手親指でLOOP REC/PLAYボタンが押せる左利きの人のほうが馴染みやすいかもしれない。

右利きの筆者はこのスタイルでループレコーディング、手の小さい女性には難しいかもしれない。慣れる、または器用な人ならば本体を置いて右手薬指でLOOP REC/PLAYボタンを押し、人差し指で演奏というスタイルもあるだろう

なお作成したループの全消去や部分消去、また既に作成したフレーズを保護してオーバーダブし、失敗した場合はそのオーバーダブ分のみ削除、といった操作も可能。ディスプレイに表示される情報量が少ないため慣れるまではマニュアルが手元にないと迷うものの、よく考えられた操作方法だ。

テンポシンクのアルペジエータも搭載

タッチパッドでの演奏では正確に音程を捕えたり複雑なパターンを刻むことはなかなか難しい。それがまたこのKAOSSILATORの面白さでもあるが、KAOSSILATORにはテンポにシンクロして発音パターンを設定するゲート・アルペジエータや、スケールおよびキーの設定が可能など演奏をサポートする機能も用意されている。

本体手前に配置されたGATE ARP/TYPEボタンを短く押すことでゲート・アルペジエータのオン・オフを切り替え、インジケータ点灯時は設定パターンで演奏される。パターンはGATE ARP/TYPEボタンを長押ししてディスプレイ表示を切り替え、PROGRAM/VALUEノブで変更できる

ゲート・アルペジエータは本体手前のGATE ARP/TYPEボタンを押すことで有効となり、タッチパッドをベタ押しするだけで設定したパターンに従って演奏される。パターンは50種類が用意されており、リアルタイムにタップするのとはまた違った演奏が可能だ。このゲート・アルペジエータは当然ながらテンポシンク機能を備えており、設定したテンポに従って演奏される。

テンポはTAP/BPMボタンを押してPROGRAM/VALUEノブで設定。またビートに合わせてTAP/BPMボタンを叩いて設定する、いわゆるタップテンポ機能も用意されている

次にスケール設定だが、SCALEボタンを押しながらPROGRAM/VALUEノブを回すことで31種類のスケールを切り替えることができる。メジャーブルースやマイナーブルース、中には琉球やラガといった独特のスケールまで用意されている。そしてスケールの基準となるキーも変更可能だ。

KAOSSILATORはループレコーディング機能こそ備えてはいるが、そのフレーズは電源をオフにすると消えてしまう。そのため単体でじっくりと腰を据えて曲を作るというより、やはりリアルタイムで演奏する機材だろう。もちろん既存の機材と組み合わせ、KAOSSILATORで作成したフレーズを録音するという使い方も考えられる。

そのコンパクトさと手の出しやすい価格、そして使いやすいループレコーディングは大きな魅力。いつでも持ち歩き、ライブ中に即興で使ってみたいと思わせるコンパクトシンセだ。

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インデックス

連載目次
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