多機能コンソールであるKORG「ZERO8」これまで3回にわたりミキサー、エフェクト、オーディオ&MIDIインタフェース、そしてMIDIコントローラとしての機能をチェックしてきたが、今回はカスタマイズ、そしてパソコンから設定を行うための専用ソフトを見ていこう。

プリEQ、ポスト・フェーダーなど、内部ルーティングは自由に変更できる

前回までに紹介したように、ZERO8はFireWireでパソコンと繋げば、豊富な端子群を利用して接続した楽器の音をDAWソフトでレコーディングすることができる。またEQやエフェクト機能を利用すれば、ZERO8に入力された信号を変化させることも、もちろん可能なわけだ。

そこで気になるのは、FireWireを通じてパソコンに入力される音声信号は、どの段階であるか、ということ。簡単にいえばEQやエフェクトがかからない生音なのか、それとも効果が加わった音なのか、である。

実はこれ、どのようにでも好みで設定できる。「SETUP」ボタンを押すとディスプレイにZERO8の各種設定を行う画面が表示されるが、その中にルーティングを設定する「I/O」という画面が用意されているのだ。この画面では各チャンネルストリップを選択すると、FireWireから出力される信号を「PRE EQ」「PRE FDR」「MASTER」など、多彩な選択肢から選択できる。「PRE EQ」ならばEQを通す前の音声信号を、「PRE FDR」ならフェーダーを通る前のいわゆるプリ・フェーダー信号を、「POST FDR」ならポスト・フェーダー信号を、そして「MASTER」ならそのチャンネルにZERO8のマスターアウトを割り当てることができるのだ。

「SETUP」を押すとZERO8の各種設定を行う設定画面が表示される、タッチパネルのキャリブレーションなどもここで行う

「I/O」はFireWireでどのような信号を出力するかを設定する。各チャンネルをタッチすると「PRE EQ」「POST FDR」といったボタンが現れ、自由にルーティングできる、という仕組みだ

他にも内蔵エフェクトのセンドバスを選択したり、外部エフェクトを接続しているときはそのリターンバスを選択する、といったことも可能。レコーディングに使う場合でも、非常に柔軟な運用が可能となっている。

フェーダーカーブを自由なカスタマイズ、パソコンからのセッティングも可能

ミキサーを使う場合、人によっては気になるのがフェーダーのセッティングであるフェーダーカーブだろう。同じようなミキサーであってもある製品は直線的、ある製品は二次曲線的なフェーダーカーブを描くといった違いがあり、使ってみて戸惑うことは少なくない。特にDJミキサーではクロスフェーダーを多用するが、このクロスフェーダーにしてもハウスやテクノといったジャンルで時間をかけて徐々に曲を切り替えるロングミックスと、スクラッチを多用して曲を小刻みに繋ぐことも多いヒップホップでは、求められるクロスフェーダーカーブが違うのだ。

そのため、高機能なDJミキサーではクロスフェーダーのカーブに関しては2パターン、または3パターンを切り替えて使うことができる製品も珍しくない。しかしZERO8はそれ以上で、クロスフェーダーのカーブを自由にカスタマイズできる。そしてさらにいえば、各チャンネルのフェーダーも自由にカスタマイズできるのだ。チャンネルフェーダーに関してはそれぞれのチャンネルのフェーダーカーブをあえて変えておく、ということまで可能である。

「SETUP」→「CROSSFADER」でクロスフェーダーカーブをカスタマイズ、あらかじめ用意されたプリセットだけでなく、完全にオリジナルの設定も可能

チャンネルフェーダーもカスタマイズできる。こちらもプリセットの選択、そしてオリジナルセッティングが可能で、全チャンネルを一括設定することも、そしてバラバラに設定することもできるようになっている

フェーダーカーブは普段自宅でしか使わないのであればあまり違いを気にすることはないだろうが、他の機材から乗り換えたとき、また現場では備え付けのミキサーを使うときなどは、セッティングを合わせることですぐにZERO8を使いこなす、といったことも可能だろう。

こういった各種設定はこれまで述べてきたように「SETUP」ボタンから行えるので、現場ですぐに変更ができるのだが、効率的にカスタマイズをしたいのならば同梱される専用ソフト「ZERO Edit」を使えばパソコンから設定することも可能だ。

同梱ソフト「ZERO Edit」でZERO8の設定を行うこともできる。「Audio I/O Setting」タブではFireWireを通じてどのような信号を出力するかをパソコンから効率よくカスタマイズできるが、フェーダーカーブをカスタマイズしたり、MIDIコントローラのアサインを行うことも可能である

4回に渡り各機能をチェックしてきたZERO8はいかがであっただろうか? ZERO8の実売は16~17万円台と決して安価な機材ではないが、本格的な8ch DJミキサーとして見れば、飛びぬけて高い価格設定ではない。多機能なDJミキサーだけでなくオーディオインタフェース、そしてリモートコントロールに使えるMIDIコントローラを探していた人ならば、そのすべてが1台で済んでしまうZERO8はかなり魅力的だろう。なおステレオ4ch仕様となるほか、細部の仕様が異なる姉妹製品の「ZERO4」も用意されているので、気になる人はぜひとも店頭で実機を触ってみてほしいところだ。

ステレオ4ch仕様となるほか、PHONE端子が4系統搭載され、エフェクトの仕様などが異なる「ZERO4」