8月下旬の発売が予定されているKORGの新製品「ZERO8」、一見DJミキサーに見えるが、それだけではなくさまざまな機能を備えた、なかなか面白い機材だ。どんな機能を備えているのか、実際に触りながらレポートしていこう。

4台1役?のZERO8

LIVE CONTROL CONSOLEと銘打たれたKORGの「ZERO8」。クロスフェーダを備えていることからわかるように、アナログターンテーブルやDJ用CDプレイヤーと組み合わせればDJミキサーとして使うことが出来るのだが、それだけではない。かなり多機能な製品で、どんなタイプの機材なのか一言では説明しづらいほどだ。

まず基本的なところを挙げていくと、ZERO8は以下のような機能を備えている。

(1)デジタルミキサー
(2)マルチエフェクト
(3)オーディオ/MIDIインタフェース
(4)MIDIコントローラ

これではあまりに簡単すぎて、具体的に何が出来るのか想像しづらいかもしれないが、パソコンを含めてすべての機材を取りまとめ、ライブパフォーマンスで活用できる、といった考えで作られているようだ。

では、まずは電源を入れてみよう。ZERO8を見てまず目立つのは手前右側に配置された液晶ディスプレイだが、これが点灯するとともに、ノブの周囲に仕込まれたイルミネーションが赤や青に光る。かなりインパクトがあり、また暗いステージ上やブース内でも目立つだろう。

背面の電源スイッチを入れると、各チャンネルストリップのEQやGAINノブに装備されたイルミネーションが赤や青に切り替わりながら起動する。このイルミネーションは常時点灯しているため、暗いブース内でも操作はしやすいだろう

2系統の入力に加え、PHONOやMICを自由にアサイン

まずはDJミキサーの基本も踏まえたうえで、ZERO8の各部をチェックしていこう。ZERO8をDJミキサーとして見れば、8本の縦フェーダ(チャンネルフェーダ)があることからわかるように、8chミキサーである。ただしこれは一般的なミキサーとは異なり、8本のモノラル入力を備えるという意味ではない。DJミキサーはターンテーブルやCDなど、接続する機材がステレオであることが前提のためか、カタログ表記の1ch=ステレオペアという慣習がある。その意味ではZERO8は16chミキサーともいえる。ただしチャンネルフェーダはステレオペアに対して1本となるため、仮にモノラルの機材を16本入力したとしても、それを個別にミキシングするということは出来ないと考えておこう。

ではZERO8の入力端子はステレオ8系統で終わりかというと、実はこれも違う。まず各chにはRCAピンの「CD/LINE」とTRSフォンの「LINE」が用意され、切り替えて使うことが出来る。それに加え、各Chからは独立して、アナログターンテーブルを接続するための「PHONO」が3系統、「MIC」は2系統にそれぞれTRSとXLRが用意され、さらにHi-Zに対応した「GUITER」まで搭載されている。PHONOはDJミキサー特有の入力、逆にギターを直接接続できるGUITERが用意されているのはDJミキサーとしてはちょっと個性的だ。

各チャンネルには2系統のライン入力を装備、インプットセレクタで切り替えて使うことが出来る。TRSフォンの「LINE」はバランス/アンバランス両対応だ

DJミキサー特有の入力端子といえるのが3系統用意されている「PHONO」、アナログターンテーブルを直接接続するためにフォノイコライザを内蔵し、またアース端子が用意されている。「MIC」はファンタム電源供給やインプットゲインの切り替えも可能だ

各ChにはINPUT SELECTORノブが用意されており、これを回すことでCD/LINE、LINEの切り替えはもちろんだが、PHONO1~3、MIC1~2、GUITERを自由にアサインできるのだ。8chミキサーといいつつも、かなり多くの機材を接続できることがわかるだろう。なおこのINPUT SELECTORノブにはまだ重要な機能が隠されているのだが、それは次回以降に紹介しよう。

各チャンネルの一番上に用意されているのがINPUT SELECTORノブ、これでLINEとLINE/CDを切り替えるだけでなく、PHONO1~3に接続されたターンテーブルをアサインしたり、MC用にMIC1~2に切り替えることが出来る

フロア出力用の「MASTER OUT」は2系統、ブース内でモニターするための「BOOTH OUT」を1系統用意、右下に見える「S/PDIF OUT」はコアキシャル形式、出力レベル調整などはMASTER OUTと同様でMASTERノブで行う

次に出力だが、これはMASTER OUTがXLRとTRSで合計2系統、BOOTH OUTがTRSで1系統用意されている。さらにS/PDIF出力も用意されているが、こちらはMASTER OUTと同じだ。なおEXT 1/2は外部エフェクトを接続するためのセンド/リターンだ。

各チャンネルストリップには入力レベルを設定するGAINノブ、そして出力レベルを設定するチャンネルフェーダ、その左にはLEDで入力レベルを示すレベルメーターが配置されている。そして右上には最近では珍しいアナログのレベルメーターが用意されているが、これはMASTER OUTの出力レベルを示すもの。針の動きで出力レベルをチェックするだけではなく、クリップが発生した場合は照明が赤く光るため、一目でわかるといった工夫も施されている。

クリッピングが発生するとレベルメーターが赤く点灯する。ここでは左チャンネルのみがクリップしている状態、画像ではわかりづらいが、実際にはかなり目立つ

まだまだミキサー機能についてもEQなど紹介していない部分があり、そこも個性的なZERO8。次回は引き続き、ミキサーとしてのZERO8を紹介していこう。