オーディオインタフェースの基本を学ぶこのシリーズ、最終回となる今回は入出力端子の形状や数など、カタログでチェックしておきたいポイントを紹介しよう。

入出力系統数だけでなく端子形状もチェック

オーディオインタフェースは手頃な価格から高価なものまで多くの製品が発売されている。価格はさまざまな要因によって決められているわけだが、ひとつわかりやすい指標としては、多系統の入出力端子を備えている製品のほうが高価であることが多い。逆に入出力それぞれ2系統、つまりステレオ1系統ずつの音楽制作において必要最低限の構成となっているオーディオインタフェースには、手頃な価格のものも多いのだ。

この端子数は自分の環境に合わせて選べばよい。たとえば打ち込み中心でたまにギターを繋いでレコーディングするならば入出力それぞれ2系統で不足はない。多くの楽器やマイクを同時に接続してマルチトラックレコーディングを行う、また多数の外部エフェクトを繋ぎっぱなしにしておくという場合は、10in10outといった多系統の入出力端子を備えている製品が便利だろう。

入出力端子でチェックすべきポイントは他にもあり、それは端子の形状だ。オーディオインタフェースでよく見られる端子形状には次のようなものがある。

まずはポータブルオーディオ機器などでもよく見られるミニジャック端子、左右チャンネルを1つの端子でまとめて扱うステレオミニジャックであることも多いが、音楽制作ではあまり活用されていない。次はCDプレイヤーやミニコンポといったAV機器でも活用されるRCAピン端子。そしてミキサーや外部エフェクトといった音楽制作機材に幅広く普及しているTRSフォン端子。最後が業務用機器でもよく利用されているXLR端子だ。

EDIROLの「UA-3FX」は背面にミニプラグのマイク入力が1系統、RCAピンの入力および出力が2系統ずつ用意されている。RCAピンはAV機器で一般的に「オーディオケーブル」と呼ばれる端子形状だ

EDIROLの「UA-101」は背面に6系統の入力、8系統の出力、そして2系統のモニター出力をすべてTRSフォンで備えている

「UA-101」の入力1~2は前面に用意、XLRとTRSフォンのどちらも接続できるコンボジャック仕様となる。スイッチの切り替えによりファンタム電源の供給、そして入力2はギター/ベースを接続できるHi-Z対応となっている

それぞれの端子は当然ながら、専用ケーブルで接続する必要がある。たとえば入力端子がRCAピンであるパワードモニター・スピーカーと、TRSフォンであるオーディオインタフェースの出力端子を接続するには、RCAピン-RCAピンのケーブルは利用できない。もちろん変換コネクタを利用したり、RCAピン-TRSフォンといったケーブルを使えばよいのだが、購入してから慌てないように自分の環境をチェックしておいたほうがよいだろう。

TRSフォン端子に一般的なオーディオケーブルを接続するには、このようなRCAピン-TRS変換コネクタを利用する

他には、入力端子がハイインピーダンス切り替え(Hi-Zと記載される場合もある)に対応していれば、エレキギター/ベースをアンプを経由せずに直接入力端子に接続できる。またマイク端子がファンタム電源供給に対応していれば、マイクプリアンプを経由せず、直接コンデンサ・マイクを接続することが可能だ。ギター/ベース、そしてマイクを使うならば、ここもチェックしておきたいポイントだ。

なおここまではアナログ入出力端子の話だが、大部分のオーディオインタフェースにはデジタル入出力端子も用意されている。一般的なのはAV機器にも搭載されるS/PDIFという規格だが、S/PDIFでも端子形状はオプティカル(光)、コアキシャル(同軸)があり、さらにオプティカルは角型と丸型という端子形状がある。オプティカルは角型-丸型といったケーブルが存在するが、オプティカル-コアキシャルはケーブルではなく変換器が必要で、また安価ではない。オプティカル、コアキシャル両方の端子を備えているオーディオインタフェースもあり、そういった製品ならば環境を選ばないだろう。

「UA-101」は前面にデジタル入出力を装備、形状はAV機器でもよく見られるオプティカルの角型となっている

サンプリングレート/ビット数、そしてドライバのサポートにも注目

オーディオインタフェースの性能を示すひとつの指標が、対応サンプリングビット数/サンプリングレートである。たとえばオーディオCDフォーマットは16bit/44.1kHzとなるが、最近のDAWソフトではそれ以上に対応したものも多く、最高24bit/192kHzまでサポートするものも少なくない。

こういったDAWソフトを使う場合、たとえば最高24bit/96kHz対応のオーディオインタフェースでは、24bit/192kHzでのレコーディングはできないことになる。ただし最高24bit/192kHzに対応していても、マルチトラックレコーディングのように同時に複数の入出力ポートを使用するときは選択できるサンプリングレート/ビット数に制限がかかる場合もある。これは自分がどこまでのスペックを求めるか、事前に決めておきたいところだ。

最後にチェックしておきたいポイントは、以前にも軽くふれたがASIOドライバサポートの有無だ。Windows環境の音楽制作で利用されるようなソフトは、ほぼ間違いなくASIOドライバでの動作をサポートしており、ASIOドライバを利用することでレイテンシの小さい制作環境が実現される。逆にいえば多系統の入出力ポートを備えているようなオーディオインタフェースでもASIOドライバが用意されていなければ、それはたとえばサラウンド環境でDVD-Videoやゲームを楽しむ方向性の製品の場合がある。なお、製品によってはASIOドライバが製品に同梱されていなくても、メーカーWebサイトで公開されている場合もあるので確認しておこう。

ASIOドライバをサポートする「UA-101」のドライバ設定画面、バッファサイズを小さく設定することで、音の遅れであるレイテンシを小さくし、快適な音楽制作環境を実現できる

なおドライバでひとつ注意が必要なのは、現時点ではWindows Vistaを未サポートの製品もあるということ。いずれ解決されるはずだが、Vista搭載の新しいパソコンで使おうと思うならば、OSの対応状況も忘れずチェックしてほしい。

このように、オーディオインタフェース選びでチェックすべきポイントは多い。また最近の製品はバンドルソフトも充実しているので、そちらも注目してほしいところだ。接続方法や入出力端子の数・形状、そして予算も考慮し、自分にとってベターな製品を探してみよう。