パソコンショップにはさまざまなオーディオインタフェースが並んでいるが、まず接続方法によって分類することができる。環境によっては使える種類も限られてくるが、今回は内蔵型について紹介しよう。

拡張スロットに拡張カードを挿す内蔵型オーディオインタフェース

Windows PCはソフトウェアだけでなく、さまざまなハードウェアを追加して機能拡張できるようになっている。サウンド機能もそのひとつで、市販のオーディオインタフェースを追加すればよい。このオーディオインタフェースはパソコンのケース内に装着する内蔵型、USBやIEEE1394ポートを使いケーブルで接続する外付け型に分けることができる。

まず、オーディオカードやサウンドカードとも呼ばれる内蔵型だが、デスクトップ型やミニタワー型のパソコンであれば、マザーボード上に用意されている拡張スロットに拡張カードを挿すことでサウンド機能を追加することができる。最近のパソコンであればさまざまな機能がオンボードで搭載されているため馴染みが薄くなりつつあるが、ビデオカードを追加して映像機能を強化したり、LANカードを挿してネットワーク機能を追加するのと考え方は同じだ。

拡張スロットは新旧の規格が存在するが、現在のオーディオインタフェースに関してはPCIスロットに装着するものがほとんどである。PCIスロットに変わるものとして提唱されたPCI Express x1という規格もあるのだが、現時点ではPCI Express x1に対応したオーディオインタフェースというのは非常に少ない。そのため内蔵型といえば、PCIカードと考えてよいだろう。

内蔵型は基本的に拡張カード形状で、ケースバック側に入出力端子が用意されており、そこに各種ケーブルを接続するようになっている。ただし製品によっては入出力端子に特殊なブレイクアウトケーブルを経由して各種ケーブルを接続したり、また入出力端子だけをまとめたブレイクアウトボックスが用意されているものもある。

同梱のブレイクアウトケーブルによりアナログ/デジタル合わせて10系統の入出力、そしてXLR端子やMIDI端子も利用できるM-Audioの内蔵型オーディオインタフェース「Delta 1010LT」

PCIカード上にデジタル入出力、ブレイクアウトボックス上に4系統のアナログ入出力端子を備えるM-Audioの内蔵型オーディオインタフェース「Delta 66」

これは拡張カードの物理的なサイズが限られているため、特に多系統の入出力ポートを備えている製品では1枚の拡張カード上にすべての入出力端子を装備できないことが主な理由である。また同じくサイズの観点から、拡張カード本体にはRCAピンやフォノ端子はともかく、XLR端子やMIDI端子を用意することはできないが、ブレイクアウトケーブルやブレイクアウトボックスを活用すれば、そういった入出力端子を搭載することもできる。

またブレイクアウトボックスの場合は、D/AコンバータおよびA/Dコンバータを拡張カード上ではなく、ブレイクアウトボックス内に搭載できるのもメリットだ。これはケース内に収まる拡張カードはパソコンの電源などからノイズの影響を受けてしまい、それが音質劣化に繋がる場合があるが、ブレイクアウトボックスならばノイズ発生源から離すことにより、影響を抑えることができる。

環境によっては内蔵型は使えない場合も

内蔵型の大きな特徴は、パソコン内部に名称の通り内蔵すること。そして先に述べたように接続方法としてはPCIスロットに装着するのが基本だ。

これは環境によってはデメリットにもなる。PCIスロットを複数備えているデスクトップ型やミニタワー型パソコンを使っている場合はほとんど問題とならないが、省スペースのキューブ型ベアボーンなどを使っている場合は、PCIスロットがそもそも1本しか用意されていないことも多い。つまり、PCIスロットに挿す他の拡張カードと同時に使うことはできない。さまざまな機能がオンボードで用意されている今ではそれほど問題にならないことがほとんどであろうが、省スペースパソコンを使っている人は、事前に環境をチェックしておいたほうが無難だ。

また、そもそもPCIスロットが用意されていないノートパソコンでは、PCIカードの内蔵型は物理的に使用できない。そのためスタジオにパソコンを持ち込んで使いたいという人には、あまり現実的な選択肢ではないだろう。この場合は種類は少ないがPCカードスロットに装着するノートパソコン向けの内蔵型オーディオインタフェースを選ぶか、または次回に紹介する外付け型のオーディオインタフェースを選ぶことになる。

では次回は、比較的環境を選ばず、また近年人気の高い外付け型オーディオインタフェースについて紹介することにしよう。

Shutlleのキューブ型ベアボーン「SD32G2」にはPCIスロット(画面奥の白いスロット)とPCI Expressスロット(手前の黒いスロット)がそれぞれ1本ずつ用意されている。省スペースパソコンでは拡張スロットの数が少ないため、他の拡張カードとの併用には注意が必要だ

PCカード型のオーディオインタフェース+16系統の入出力端子を備えるブレイクアウトボックス「MicroDockM」で構成されるノートパソコン用内蔵型オーディオインタフェース「E-MU 1616M CardBus + Emulator X2 Bundle」