【コラム】

音楽をはじめよう!

26 DTMの基礎知識 - DAWソフトとは(1)

    大坪知樹  [2007/01/10]

    パソコンで音楽を制作するDTM(Desk Top Music)、現在のDTMシーンで中心的存在といえるのがDAWソフトと呼ばれる種類のものだ。一体どんな機能、そしてどんなソフトがあるのか、DTM基礎知識シリーズ第2弾として取り上げてみよう。

    DAWソフトってどんなもの?

    DAWソフトとはDigital Audio Workstationソフトの略だ。なんだかあいまいなジャンル名ではあるが、ワークステーションの名称から想像できるように、音楽制作に関して必要とされる機能が一通り揃ったソフト、と考えてよいだろう。なおデジタルオーディオに関しては、パソコンで音楽を扱う場合は、たとえレコードやカセットテープといったアナログメディアから素材を取り込むにしてもパソコンに取り込んだ段階で必ずデジタルデータに変換して扱うことになるため、ある意味当たり前のことを呼称しているに過ぎない。

    音楽制作に必要な機能とは何か。MTRを使ってオリジナル曲を作ったことがある人ならば大体わかるだろうが、主な要素を挙げると以下のようになる。

    1. 楽器を接続、またはマイクを利用して各トラックを録音・作成する
    2. エフェクトを使って各トラックの音を作り込む、音質を調整する
    3. ミキサーを使って各トラックのバランスを調整する
    4. マスタリングを行う
    5. 各トラックを最終的に2chステレオトラックへミックスダウンする

    もちろんこれですべてではないのだが、この基本的な要素を含んだ上で他の機能も用意されているのがDAWソフトと考えてよいだろう。

    なお(1)のトラック録音・作成に関しては楽器やマイクをオーディオインタフェースに接続して、パソコンにオーディオデータとして録音することはもちろんだが、DTMならではの機能がDAWソフトには用意されている、それがMIDI機能だ。MIDIに関してはまた機会を改めて紹介する予定だが、大雑把に言えばMIDIデータという信号を使い、MIDI楽器を演奏するもの。MIDI楽器の代表例がシンセサイザだが、DAWソフトではMIDIケーブルで接続する外部音源だけではなく、パソコンのソフトウェアとして使えるソフトウェアシンセサイザというものも利用できる。

    そもそもDTM黎明期はDTMといえば外部のMIDI音源をコントロールする、つまりDTMソフト=MIDIシーケンスソフトという認識だった。その後、大容量記録媒体のハードディスクの普及、そしてCPUの演算速度の高速化など、パソコンの性能がアップしたことにより、オーディオレコーディングや、リアルタイムで高速演算を行う必要があるエフェクト処理、そしてソフトウェアシンセサイザを中心としたソフトウェア音源も業務用の特別な機器ではなく、家庭向けのパソコンで利用できるように進化したのだ。それに呼応しDTMソフトも単純なMIDIシーケンスソフトから、オーディオ機能まで含めたDAWソフトへと変貌したのである。

    現在市場にある主なDAWソフトは?

    では、現在のDAWソフトにはどのような種類があるのだろうか。単純にMIDIとオーディオ、そしてエフェクトやソフトシンセも使えるソフト=DAWソフト、と考えればその数は膨大だ。しかしその中でもやはり機能的には差があり、オーディオ機能は充実しているがMIDI機能はおまけ程度、また逆のパターンもある。

    DAWソフトの明確な定義が決められているわけではないが、曲を制作するのに必要な機能が備わり、またプロの音楽制作現場でも過不足のないスペックを備えたソフトといえば、次のようなものがDAWソフトにあたるだろう。

    まずはWindowsだが、CakewalkのSONARシリーズだ。音楽用途のソフトはその歴史上、WindowsよりもMacプラットフォームをベースとして生まれたものが多いのだが、SONARシリーズは登場時よりWindowsベースのソフトウェアだ。以前にちょっと紹介した、EDIROLの一部製品にバンドルされているSONAR LEは、このSONARシリーズの無料バージョンである。次はSteinbergのCubaseシリーズ。これは最近のDAWソフトとしては珍しく、Windows/Mac両対応となっている。そしてMacでは、AppleのLogicシリーズや、MOTUのDigital Performerシリーズといったものが定番として長い歴史がある。

    2006年末にバージョンアップしたSONARシリーズの上位版「SONAR 6 Producer Edition」、Windowsで音楽制作している人にとっては定番のシリーズだ

    こちらも2006年末にバージョンアップしたCubaseシリーズの「Cubase 4」、以前は「Cubase SX」シリーズと呼ばれていた上位版の後継に当たる


    AppleがリリースしているDAWソフトである「Logic Pro 7」、Emagicによって開発されたかなり歴史あるDAWソフトで以前はWindows版も用意されていたが、EmagicがApple傘下となってからはMac版オンリーとなった

    もともとはMIDIシーケンスソフトであったPerformerをベースとし、DAWソフトとして進化してきたMOTUの「Digital Performer 5」、Cubase、Logicと並んでMacの定番DAWのひとつである

    他にもオーディオ&MIDIを扱える音楽用途ソフトはあり、たとえばSONY MEDIA SOFTWAREのACIDシリーズや、AbletonのLiveシリーズは機能的には本格的なDAWソフトといってもよいだろう。ただしSONARやCubaseといったソフトに比べ、ちょっと独特の思想や操作感を持ったソフトでもある。

    このようにいろいろあるDAWソフトだが、次回は2006年末にバージョンアップしたSONARシリーズの最新版「SONAR 6 Producer Edition」を例に取り上げ、どんな機能が備わっているかチェックして見ることにしよう。

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