【コラム】

音楽をはじめよう!

16 デジタルMTRで気軽に宅録生活(1)

    大坪知樹  [2006/10/18]

    ギター、ベース、と楽器を問わず、ある程度弾けるようになれば「自宅で一人で弾いているだけ」では退屈してしまうはず。そうなると次のステップとして誰もが考えるのは、オリジナルにせよコピーにせよ、演奏を録音して残したい、曲として完成させたい、といったことではないだろうか? つまり、いわゆる"宅録"だ。今回は手軽に使える、現代の宅録機材をチェックしてみよう。

    MTRってなに?

    自分の演奏を録音するには、当たり前だが録音機材が必要だ。これはいろいろとあり、もっとも手軽なのは誰もがやったことがあるであろう、ラジカセにマイクを接続しての録音だ。ただこの方法では純粋に録音するだけで編集などもできないし、曲を構成する要素をすべて一度に演奏・録音する必要がある。つまり、自宅で一人で行う宅録では、ギターだけ、ピアノだけ、歌だけといった録音しかできないのですぐに飽きてしまうだろう。

    そこで、ほとんどの人が次に出会うのがMTR(マルチ・トラック・レコーダー)と呼ばれる機材だ。使ったことがある人にはわざわざ説明するまでもないことだろうが、一応どんなものか解説しておくと、MTRとは複数のトラックを録音でき、各トラックを組み合わせて再生もできる機材。つまり、一人であってもいろいろな楽器を演奏できれば、まずはギター、次にベース、そしてドラム、最後にマイクを使ってボーカルと順番に各トラックを録って、最終的に曲の形にすることができる。

    MTRという機材はかなり古くから存在しており、記録するメディアもオープンリールテープに始まってカセットテープ、MDと進化してきた。おそらく、MTRを使ったことがある人のほとんどはカセットMTRだろう。しかしMTRの世界も進化しており、最近はハードディスクやフラッシュメモリといった、パソコンの世界でも普及しているメディアが主流となっている。

    コンパクトで多機能なメモリタイプMTRに注目

    こういったメディアを使用するデジタルMTRにはいろいろとメリットがある。デジタルデータとして扱うため音質劣化がないこと、テープメディアと異なりランダムアクセスが可能であることによって、1トラックに複数テイクを残せる、各テイクのうまく演奏できたところだけをコピー&ペーストしてベストテイクを作り上げることができる、といった利点が生まれた。

    また、付加機能的なものが充実したものも多い。曲作りに欠かせないエフェクトが内蔵されていたり、音源を内蔵してドラムやベースパートを作ることができるものもある。つまり、自分ではギターしか弾けない人でも、MTRを使うことで1曲完成させることができてしまうのだ。

    実は、上で挙げたような機能はパソコンのDAWソフト、例えば以前紹介した「SONAR LE」でもできる。実際にDAWソフトを使って宅録を楽しんでいるという人もいるだろう。ただ、MTRにはMTRの利点がある。まずはハードウェアとして一台で完結しているため気軽に使えること、パソコンのキーボード&マウスに比べてユーザーインタフェースが音楽制作向けに設計されているため使いやすいことなどがあるだろう。また製品によっても異なるが、個人向けとして手軽な価格の製品が多い8トラックMTRであれば、ノートパソコンに比べても小型で、電源は乾電池で駆動するものも多い。自室でさっと取り出して録音する、気が向いたら外に持ち出してみる、といったスタイルにも向いているのだ。

    このようなデジタルMTRには、先に述べたようにハードディスクを内蔵するモデルもあるが、最近人気が高いのはフラッシュメモリをメディアとして使用する製品だ。サイズ自体がハードディスクタイプよりコンパクトというのも魅力だが、価格的にもリーズナブルで手が出しやすく、そして機能も充実したものが多いのだ。もちろん記録容量としてはハードディスクタイプのほうが大容量なのだが、現在はフラッシュメモリタイプも内蔵メモリではなく、取り外しできるメモリカードタイプが主流。最近は大容量のSDカードやコンパクトフラッシュも手頃な値段だし、そもそも一人で宅録するならば1GBのSDカードで足りないほど長時間録り続けることもないだろう。そういったバランスのよさが人気の原因のようだ。

    8トラック同時再生が可能なFostex「VF80EX-d2」。サイズは少々大きいが40GBハードディスクとCD-R/RWドライブを内蔵し、単体でオリジナルCDを作成することも可能だ

    コンパクトフラッシュを記録メディアに使うBOSS「BR-600」、本体の厚さが約27mmとスリムなのが特徴。ドラムマシン機能やエフェクトも搭載、USBポートでパソコンと連動することもできる

    そこで今回、数ある製品の中から選んでみたのはZOOMの「MRS-8」。記録メディアとしてはSDカードを使用し、2トラック同時録音、8トラック同時再生が可能。ひとつのトラックには10本のバーチャルテイクを残すことができ、編集機能とあわせてベストテイクを作ることができる。本体はB5サイズのノートパソコンよりも小さく重量は1.1kg、乾電池駆動も可能。実売価格は3万円以下と手頃だが、豊富なエフェクトとドラム/ベースマシンも内蔵した機能豊富なモデルだ。

    ZOOM「MRS-8」をB5ノートパソコン(ThinkPad X31)と並べる、横幅はすこし大きいが、ボタンのサイズなども適当な大きさが確保されており、なかなか操作しやすそうだ

    底面には電池ケースを用意、単3形電池4本で約4時間駆動が可能。ACアダプターは別売となっている

    次回はこのMRS-8を実際に触りながら、詳しいスペックをチェックしていくことにしよう。

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン