私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

まずは10万円、次に100万円、そして1000万円へ

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□現在の自分の総貯蓄額をすぐには答えられない

□まわりの人が旅行に行ったり、新しい物を買うと気になる

□飲み会に誘われると断れない

□保険は勧められるままに入ったもので見直していない

□「50%引き」「ポイント3倍」だと買わないと損な気がする

□物がなかなか捨てられない

□今月のクレジットカード払いの金額を把握していない

□なんとなくコンビニに立ち寄る

□鉢植えの植物を枯らしたことがある

□今は貯金できなくても、なんとかなると思っている

このうち3つチェックがついたら、あなたは「お金が貯まらない習慣」が身についているかもしれません。

お給料は毎月、キレイに使い切り、給料日前の通帳残高は限りなく0円に近い人、クレジットカード払いの引き落とし前に、残高不足が心配な人……そんな貯蓄0円の人にとっては、1000万円貯めるなんて、夢のまた夢と思えますが、そんなことはありません。

私が、取材で出会う「1000万円貯めた人」も、最初はみ~んな貯蓄0円からのスタート。1000万円だって、もとをただせば100円、200円といった小さなお金の積み重ねです。「1000万円は1日にしてならず」。どんな大金の貯蓄だって、宝くじにでも当たらない限り、今日、明日で貯まるわけがありません。

1000万円貯めた人と、いつまで経っても貯蓄0円の人との違いは、「貯め始める」かどうかだけ。貯め始めたら、そして途中で止めずに貯め続けたら、いつかは必ず1000万円に到達します。

とはいうものの、1000万円までの道のりは決して短くも、平坦でもありません。なかなか達成できないと、「え~い! もう止めた!」と挫折することに。物事を達成するには、小さな成功体験が必要です。まずは10万円貯めることを目標にしてみましょう。これまで貯蓄0円だった人が、10万円貯められたら立派なものです。貯まったら定期預金にして、1000万円への記念のファーストステップ貯金にして、達成感を体験しましょう。

100万円貯めるシミュレーションをしてみる

10万円貯まったら、次は100万円です。毎月、いくらずつ貯めたら、何年後に100万円貯まるかをシミュレーションしてみましょう。

  • ■1万円×8年4カ月=100万円

年2回のボーナスでそれぞれ10万円ずつプラスすると約3年4カ月

  • ■2万円×4年2カ月=100万円

年2回のボーナスでそれぞれ10万円ずつプラスすると約2年6カ月

  • ■3万円×2年10ヵ月=100万円

年2回のボーナスでそれぞれ20万円ずつプラスすると約1年8カ月

  • ■5万円×1年8カ月=100万円

年2回のボーナスでそれぞれ20万円ずつプラスすると1年

毎月の貯蓄額が1万円だと、100万円貯めるのに8年4カ月かかる計算になります。今、20代後半だとすると、35歳過ぎにならないと貯蓄100万円は達成できません。でも毎月1万円の貯蓄に年2回のボーナスから10万円ずつをプラスすると、貯まるまでの期間がグッと短縮されて3年4カ月になります。

ボーナスがあてにならない場合は、ボーナス分の追加なしでも、毎月の貯蓄額を2万円に増やせば4年2カ月、3万円にすれば2年10ヵ月。30歳の誕生日を迎えたころ、通帳に100万円あることになります。30代に入ると、自分のこれからの人生について考える時期です。このとき、自由に使える預金が100万円あるというのは、かなり心強いことではないでしょうか?

さらに1年間で100万円貯める! という目標を掲げたら、月5万円、ボーナス分20万円で目標達成が可能になります。今から始めれば来年の今ごろには100万円を手にしているというわけです。

貯蓄を始めるのに早すぎることはない

私が、取材をさせていただいている主婦を対象とした生活情報誌の特集で人気の特集テーマは、少し前までは「目指せ! 貯蓄100万円」でした。ところが、ここ1~2年で「目指せ! 貯蓄1000万円」にバージョンアップしています。つまり、貯蓄100万円をクリアできた人たちが、さらに貯め続けた結果、1000万円達成の成功者が続々と登場しているということです。彼女たちも、最初は「毎月、赤字にならないだけで精一杯なのに、1000万円なんか、貯まるわけない」と思っていた人たちなのです。

貯蓄を始めるのに早すぎるということはありませんし、遅すぎるということもありません。大事なのは「貯め続ける」ことです。

次回は、貯蓄1000万円を達成した人たちの、誰にでも真似のできるちょっとしたコツをご紹介します。

(※画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。