私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

頑張って節約しなくても、"やめるだけ"で効果あり

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□スーパーのチラシを見て「日替わり特売品」を買いにいくことがよくある

□1回の買い物に30分以上かかる

□ポイント3倍デーの日は買い物をしないと損だと思う

□外出のついでに夕飯を外食することが多い

□ひじき煮やきんぴらなどの常備菜をストックしていない

□ネットでお買い物検索をよくする

□ネットショップのメルマガが10件以上来る

□ネットショップの割引率は大きくてお得だと思う

□日用品は腐るものではないので、特売で買いだめするのがお得だと思う

□シャンプーの詰め替え用のストックが2つ以上ある

このうち3つチェックがついたら、あなたは「お金が貯まらない習慣」が身についているかもしれません。

お金が貯まる習慣があるように、実は、お金が貯まらない習慣もあるのです。「習慣」の意味を辞書で調べると「長い間繰り返し行ううちに、そうするのが決まりのようになったこと」とあります。つまり、特に意識して行動しているわけではないけれど、以前からずーっとやっているから、そうするのが当たり前になっていること。「貯まらない習慣」が身についていると、普段なんとなくしていることが原因となって、知らない間にお金がどんどん出ていってしまうことになるかも。習慣って、ホントに恐ろしいものですね。こんな習慣は、今すぐやめましょう。

お金を貯めるには、早い話が「収入>支出」にすればいいわけです。それには、収入を増やすか、支出を減らすかしかありません。アベノミクスで景気がよくなり、給料アップが期待されていますが、そうはいっても収入を増やすのは、そんなに簡単なことではないようです。となると、支出を減らすことになりますが、カリカリ節約するのは性分に合っていないという人でも、お金がムダになることを"やめるだけ"なら、意外と簡単にできるはず。

実際、貯め上手さんは、こういうムダな行動をしないことが習慣になっているのです。習慣になってしまえば、意識しなくても、いつも通りに行動するだけで、お金のムダがなくなり、気がついたら貯蓄残高が増えているというわけです。

「スーパーのはしご」をやめる

1円でも安いモノを求めてスーパーのはしごをする、「本日の目玉商品」をゲットするためにスーパーをめぐる……一見、節約に役立つように思えますが、実は、これが逆効果になりがちなのです。特に「特売に弱い人」は要注意。というのは、底値のモノやチラシに載っていた「本日の目玉商品」目当てでスーパーに行ったら、ほかにも安いモノがいろいろあり、安さにつられて、あれもこれも買ってしまうことになるからです。

スーパー側は買わせるプロですから、素人が太刀打ちできるわけがありません。買い物で節約効果が高いのが、実は、スーパーに行く回数を減らすことにあります。行かなければ、ムダな買い物をすることがありません。そして、滞在時間をできるだけ短くすること。滞在時間を短くするには、買い物メモを作り、メモしたモノしか買わないこと。チラシチェックでお買い得品をメモしたら、それだけを買います。

スーパーとの接触が多いほど、買わせるプロの誘惑に陥りやすくなるので、1回の買い物につきスーパーは1軒か、せいぜいプラスドラッグストア1軒まで。そして、まとめ買いにして、買い物に行く回数を減らしましょう。

日用品ストックの買いだめをやめる

20年近く家計のやりくりの取材をして発見した、貯まらない人に共通する習慣のひとつが、日用品のストックが多いこと。以前、取材をした方で、12ロール入りのトイレットペーパーを5パック、5箱入りのティッシュを5パック、柔軟剤を8個、洗濯洗剤を6個などなど、ほかにもいっぱいストックしている人がいました。押し入れや床下収納から、出てくるは、出てくるは、それはもう、笑っちゃうほどの数でした。

その方は節約に一生懸命で、「トイレットペーパーが切れたときに安売りしていないと、損しちゃうから、特売品を見つけると、とりあえず買っておくんです。腐るものじゃないし」と言っていましたが、この言葉も貯まらない人の共通ワード。お金は日用品と交換できますが、日用品はお金と交換できません。つまり、いくら安くてもモノを買うと、手持ちのお金が減ってしまうということです。また、ストックがたくさんあると、洗濯洗剤や柔軟剤をきちんと計量しないで、多めに洗濯機に投入したりとムダ使いしがち。

慌てて買わなくても、特売は定期的にきます。日用品のストックは、今使っているモノがなくなりそうになってから買うのがオススメ。収納もスッキリします。

ショップのメルマガをやめる

1度買い物をしたり、サイトをチェックしてメルマガ登録すると、当然、定期的にメルマガが送られてきます。メルマガはセール品などのお買い物情報満載ですから、見ると欲しくなります。欲しいのを我慢してストレスになるくらいなら、いっそのことメルマガの配信を停止しましょう。

出かけたついでの外食をやめる

買い物に出かけたらお昼どきになり、ショッピングモールのフードコートでランチする、遊びに出かけたら夕方になり、夕食を外食する……よくあることですよね。外食が多いほどお金は貯まりません。

お昼前に出かけるときは、昼食を済ませてから、帰りが夕方にかかりそうなときは、カレーなど温めるだけで食べられるものを用意しておくのが、やりくり上手さんの習慣。せめて炊飯器のタイマーをセットしておくのがオススメ。「ご飯が炊けているから家で食べよう」という気持ちになります。

「やめるだけ節約」はほかにもあります。たとえば「ちょこちょこお金をおろすのを止める」。「1度にたくさん下ろすと、使っちゃいそうだから」とその都度、少しずつ下ろすのはNG。合計でいくら下ろしたかが把握しにくくなり、使いすぎの原因に。1カ月分の生活費は予算を決めて、予算額をまとめて1回で下ろし、あとはATMに立ち寄らなければ、ラクに予算が守れます。「家計簿を細かくつける」も節約になりそうですが、記入することに達成感を感じて、見直しがおろそかになることも。

できそうなことから「やめるだけ節約」をぜひ実行してみてください。

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。