私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

常識にとらわれず、新しい発想でドレッシングや調味だれを使い倒そう!

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□冷蔵庫の中に使いかけの焼き肉のたれがある

□新しい味のドレッシングを見つけると買いたくなる

□冷蔵庫の中にドレッシングの在庫が3つ以上ある

□いつ買ったかわからない豆板醤がある

□焼き肉のたれを賞味期限内に使いきれたことがない

□冷蔵庫のドアポケットがドレッシングや調味だれでいっぱいだ

□新しい料理にトライするのが好きだ

□ポン酢は鍋物以外には使わない

□料理は料理本のレシピ通りに作るほうだ

□料理があまり得意ではない

このうち3つチェックがついたら、あなたはドレッシングや調味だれをムダにしている可能性大です。新製品のドレッシングを見つけるとつい買ってみたり、豆板醤やXO醤、スイートチリソース、ナンプラーなどを物珍しさにつられて買ったのはいいものの、使いきれずに冷蔵庫の奥で賞味期限切れになっていたり……そんなことはありませんか?

前回の『「おうちごはん」の成功の2つめのカギは"食材保存"にあり!』で書いたように「食材を捨てることは"お金を捨てる"のと同じこと」です。それはドレッシングや調味だれも例外ではありません。特売で安く買ったドレッシングや調味だれは、最後の1滴までムダなく使ってこそ、本当のお得というものです。

ドレッシングはサラダにかけるもの、ポン酢は鍋物のつけだれに使うもの……といった固定観念にとらわれていると、使いきれないことがよくあります。まずは、従来の使い方にこだわらずに、自由な発想でいろんな料理に使ってみましょう。

そもそも、市販のドレッシングや調味だれは、メーカーの商品開発担当者が研究に研究を重ねて商品化したもの。味の完成度は非常に高く、家庭でこの味を出そうと思ってもなかなかできるものではありません。こんな味つけの強い味方を定番の使い方しかしないのはもったいない! アイデア次第でおうちごはんが、みるみるおいしくなるはずです。

焼き肉のたれは万能調味料

メーカーや種類にもよりますが、焼き肉のたれは、基本的にはしょうゆベースで砂糖、にんにく、たまねぎ、香辛料などが含まれています。りんごなどのフルーツのすりおろしやゴマが入っているものもあります。つまり、焼き肉のたれをひと言でいうなら、ほんのり甘みがある、スパイシーなしょうゆだれ。日本人の大好きな甘辛だれです。そう考えると、どんな料理に使えそうな気がしてきませんか? しかも、酒やみりんなど他の調味料を加えなくても、これだけで味が決まる"調味だれの優等生"なのです。

焼き肉のたれですから、肉料理に合うのは当たり前。野菜炒めの味つけに使えば、にんにくのスパイシーな香りが効いた甘辛味でご飯がすすみます。焼きそばやチャーハンの味つけにも、もってこいです。肉じゃがの味つけにプラスすると、味に深みが出ます。とっておきなのが、サラダのドレッシング代わりに使うテク。焼き肉のたれに少量の酢を加えると、焼き肉屋さんのメニューにあるような韓国風のサラダになります。

豆板醤は唐辛子代わりにどんどん使おう!

豆板醤はそら豆に麹種と唐辛子を加えて発酵、熟成させた辛味のある味噌。辛いだけではなく、発酵食品ならではの旨みがあります。炒め物なら何にでも使えて、ピリ辛味に仕上がります。ラー油の代わりに、餃子につけてもいいし、マヨネーズと合わせてピリ辛のディップにすれば生野菜との相性は抜群。モツ鍋に加えると、辛さとコクが増します。

豆板醤というと、中華料理に使うイメージが強いですが、"唐辛子"として考えれば、和にも洋にも使いみちが広がります。大根おろしに加えてもみじおろしにしたり、めんつゆや鍋物の薬味にも。パスタと合わせれば、ペペロンチーノ風になります。唐辛子が家にないときでも少量加えるだけで、豆板醤がイタリアンの味つけに活躍します。

ドレッシングは肉や魚の味つけにもピッタリ!

ドレッシングは生野菜にかけてサラダとしていただくものと思いがちですが、ドレッシングほど"使える調味料"はありません。

まずは肉料理。乳化していないタイプ(オイルが分離しているもの)なら、肉料理の味つけに最適です。そもそもドレッシングには、さまざまなスパイスが入っているので、肉の臭みをやわらげる効果があります。ソテーした肉にかけてもいいし、下味に使ってもOK。酢の働きで肉が柔らかく、しっとり仕上がります。

オススメなのがチキンソテーのドレッシング仕立て。作り方は簡単。軽く塩をふった鶏もも肉1枚を皮目を下にしてフライパンで焼きます。このとき、アルミホイルを肉の上にかけ、その上から鍋などの重しを乗せると、皮がフライパンの底に密着して、ムラなく均等にカリッと焼き上がります。皮から脂が出るので、ときどきキッチンペーパーでふき取りながら、こんがり焼き色がつくまで焼きます。片面が焼けたらひっくり返して、大さじ約2杯の水を加えて、フタをして蒸し焼きにして、中まで火を通します。仕上げにお好みのドレッシング(イタリアンやゴマしょうゆなど)を加えて、からめれば完成。フライパンが熱くなっているので、ドレッシングが飛び跳ねるので火傷に注意しましょう。

魚料理に使うなら、フレンチドレッシングやイタリアンドレッシング。お刺身にかけるとカルパッチョ風に。梅、青じそ、ゆずなどの和風ノンオイルドレッシングは、ほどよい酸味ですし酢の代わりになります。

ポン酢はしょうゆの代わりに使える

ポン酢は、柚子やスダチ、ダイダイなどの柑橘系の果汁に、しょうゆ、みりん、だしなどを加えたもの。要は、"酸味つきのしょうゆ"と考えて、しょうゆ代わりに使えばいいのです。焼き魚にかけると、酸味が魚の臭みをやわらげてくれます。大根おろしにかけると、大根の甘みを引き出します。餃子のたれに使えば、しょうゆ+酢の2つの調味料を使わなくても、これだけでOK。大豆製品との相性がよく、納豆や豆腐にも合います。

オススメなのが、炒め物や揚げ物など油を使った料理。柑橘系果実の酸味が、油っぽさを消して、さっぱりと仕上げてくれます。また、ドレッシングの代わりにもなります。そのままかけてもいいですが、それではものたりないときは、サラダ油やごま油をプラス。さっぱり風味のしょうゆドレッシングが完成します。

冷蔵庫の中に使いかけのドレッシングや調味だれを見つけたら、ぜひいろいろトライしてみてください。

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。