私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

冷蔵庫を整理するとお金が貯まるワケ

一家に1台必ずある家電のひとつが冷蔵庫。生活必需品として、毎日当たり前のように使っている冷蔵庫ですが、その使い方ひとつでお金の貯まり方に大きな違いが出てきます。まずは、次のチェックリストをやってみてください。

□冷蔵庫にはいつも食材がたくさん入っていないと不安になる

□賞味期限切れの調味料、ドレッシング、ビン詰めなどが3つ以上ある

□冷蔵室の上段や奥の方には何が入っているのか不明

□入れておいた保存容器を開けたら、カビが生えていたことがある

□晩ご飯のおかずの残りを入れるスペースがなくて、いつも困る

□ドアポケットにビールを入れている

□チルド室に何を入れていいのかよくわからない

□野菜室でシナシナのキュウリを発見したことがある

□野菜室で溶けかかったもやしを発見したことがある

□冷凍室に冷凍化石化した肉がある

このうち3つチェックがついたら、あなたの冷蔵庫の使い方は、お金が貯まらない使い方です。というのは、「冷蔵庫内の食材管理ができていない=食材がムダになる」からです。賞味期限切れの食材や腐った物は捨てることになります。食べ物を捨てることは、お金を捨てることと同じ。お金を捨ててしまう人が、お金を貯められるわけがありません。

また食材管理ができていないと、在庫がある物をダブリ買いしがちなので、それもお金のムダになります。冷蔵庫内がギューギューだと、どこに何が置いてあるかわからないので、必要な物を探す時間がかかり、その間ドアを開けっ放しにしているので電気代もムダに。必要な物を探すのに手間取ると時間もムダになります。さらに庫内がギューギューだと冷気の循環が悪くなり、消費電力もアップして、電気代もムダになります。

お金が貯まる冷蔵庫の使い方とは?

「食材をムダにしない=お金が貯まる」冷蔵庫にするためには、冷蔵庫内を整理整頓することが不可欠です。それには、まずは食材を詰めすぎないこと。冷蔵庫は奥行きのある空間なので、詰め込みすぎると奥の物が見えにくくなり、使い忘れの原因になります。冷蔵庫内がすべて見渡せる8割収納が目安です。

目も手も届きにくい最上段には、ビールやビン物など賞味期限が長い物を入れます。中段には味噌やヨーグルトなど毎日のように使う物や、作り置きのおかず、昨日の残りおかずなどを入れます。

同時に使う物をプラスチック製のカゴにひとまとめにしておくのもオススメです。たとえばバター、ジャム、クリームチーズを1つのカゴに入れて「パン食の朝食セット」にしたり、漬物、梅干、佃煮をまとめて「和食の朝食セット」にします。カゴのままテーブルに持っていけるので、忙しい朝に便利です。また棚の左右に食材を分けて入れ、真ん中を通路のように空けておくと奥まで見通しが良くなります。

チルド室の上の棚は一番出し入れしやすい広いスペースなので、常に半分空けておくと、余ったカレーやシチューの鍋や、いただき物のケーキが箱ごと入ります。作り置きおかずや常備菜などを入れる保存容器は、中身が見える透明や半透明の物がオススメ。使い忘れの防止になります。

ドアポケットは出し入れしやすい場所ですが、ドアの開閉のたびに温度が変化する場所なので、傷みやすい食材を入れるのはNGです。調味料の指定席にすると、開けるたびに目につき、使い忘れがなくなるのでオススメです。チルド室は冷蔵室よりも低温なので肉、魚、ハム、ウインナーのほか、キムチなどの発酵食品を入れると、発酵スピードがゆっくりになり、おいしさが長持ちします。

冷蔵室と違って冷凍室は、逆にキッチリギューギューに詰め込んだ方が効率的に冷やすことができます。冷凍食品は重ねずに立てて入れるのが鉄則。重ねると下の物が忘れられて、化石化しやすいからです。野菜室も野菜を重ねないことが基本。また使いかけの野菜は、プラスチックカゴにまとめておけば、迷子が防止できます。

このように、冷蔵庫の中身をいつでも見通せるようにしておけば「食材をムダにしない=お金が貯まる」冷蔵庫になるはずです。まずは、冷蔵庫内を見直して整理整頓することから始めてみましょう。

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。