昔はWebブラウザといえばHTML文書を表示するだけのものだったから、Web "開発" というほど大袈裟な仕組みは必要なかった。開発と呼べるような作業があったとすれば、サーバ側で動作するCGIを作成するぐらいだった、というと言い過ぎだろうか。

しかし現在では状況が異なる。Webの利用が拡大するとともに高機能化・複雑化が進み、利用可能なテクノロジーの幅も広がっている。そうなると、サーバとクライアントの両方に目を配りながら、最適なテクノロジーを選択しつつアプリケーション開発を進める必要がある。同じ目的を実現するのに複数のテクノロジーがあり、その中から最適なものを選択しなければならないことも少なくない。

そうした事情から、MSDNオンラインには「Internet Explorerデベロッパーセンター」(以下「IEデベロッパーセンター」)というコンテンツがある。Internet Explorer 9のリリースがそう遠くない日に迫ってきていると思われるタイミングでもあるので、そのIEデベロッパーセンターの最新情報をお届けしよう。

IEデベロッパーセンターの概要

IEデベロッパーセンターは、Internet Explorer(以下IE)を利用するWebアプリケーションを手掛ける開発者を、主なユーザー層としている。本稿執筆の時点ではIE9のベータ版リリースが始まっているので、トップ画面でIE9のベータ版をダウンロードできるようにしている(2010年11月現在)。日本語版だけでなく、その他の各言語版についても入手可能になっているのは親切だ。

Internet Explorer デベロッパーセンター
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/default.aspx

Internet Explorer 9 Betaの各言語のダウンロード
http://windows.microsoft.com/ja-JP/internet-explorer/download/ie-9/worldwide

IEデベロッパーセンターのトップ画面(2010年11月現在)。最新バージョン・IE9は、ここから入手できる

そして、IEがらみの開発を行うために必要な各種情報をまとめているのだが、これまで取り上げてきたMSDNオンラインのコンテンツ群と比較すると、なぜか英語版のコンテンツにリンクされているケースが目につくのが特徴といえる。いずれは日本語版が用意されるものもあるだろうが、とりあえず英語でも情報が存在するのはありがたい。

基本となるのはもちろん、Internet Explorer関連の技術情報をまとめたコンテンツ群へのリンクだ。トップページからリンクされている主なコンテンツには、以下のものがある。

セキュリティ関連のドキュメント一覧
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/aa740480.aspx

機能拡張(バイナリ・ビヘイビアとActiveX)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/aa740475.aspx

開発ツールとAPIに関する情報
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/aa740478.aspx

Internet Explorer互換性センター
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/cc405106.aspx

バージョン別セキュリティ既定値一覧表
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/cc844005.aspx

HTML4とCSS2.1
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/aa740477.aspx

当然ながら、現行バージョンInternet Explorer 8.0に対応する技術情報コンテンツも、ちゃんと用意されている。IE9がリリースされても、いきなりすべてのユーザーが乗り換えるかどうかは分からないから、当面の間はIE8に関する情報の必要性もなくならないだろう。

Internet Explorer 8技術情報
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd433173.aspx

Webアプリケーション開発で難しいのは、さまざまな種類、さまざまなバージョンのWebブラウザが存在する中で互換性を維持することだが、そこでIEデベロッパーセンターが互換性に関する情報を提供する仕組みを用意してくれているのは、なにかと助かるだろう。

Webアプリケーション開発者にとって頭が痛い課題である「互換性の確保」についても、技術情報を提供している

英語版の技術情報が少なくないIEデベロッパーセンター

ここまでは、リンク先のコンテンツは日本語化されている。それに対して以下のコンテンツ群については、リンク先の記事は英語版となる。ところが、そこからさらにリンクをたどると、また日本語版のコンテンツが出てくるものもある。だから「(英語)」と書いてあるだけで尻込みせずに、とりあえずリンクをクリックしてみる方が良さそうだ。

HTML5とCSS3(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/aa740476.aspx

CanvasとSVG(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd797413.aspx

固定サイト(Pinned Site, 英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd797411.aspx

JavaScript・AJAX・DOMといったスクリプトに関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd420501.aspx

アクセラレータに関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/ff937283.aspx

検索機能に関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/ff944590.aspx

Webスライスに関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd797408.aspx

パフォーマンスに関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd797412.aspx

RSS プラットフォームに関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd797410.aspx

アクセシビリティに関する情報(英語)
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ie/dd797414.aspx

「(英語)」と表示されているハイパーリンクは、確かにリンク先で英語のコンテンツを表示する。ところが、そこからさらにリンクをたどると日本語のコンテンツが出てくることも。(アクセラレータ関連技術情報の例)

もしも英語のコンテンツしかなければ、IE8の標準アクセラレータ「Bingで翻訳」のお世話になってしまう手もある(HTML5関連技術情報の例)

Internet Explorer 8を使用していれば、初期状態でBing翻訳を利用するアクセラレータが組み込まれているはずだから、「どうにも意味がピンと来ない」というときにはアクセラレータを使って日本語に翻訳させてみるとよいだろう。個人的には、HTML5・アクセラレータ・パフォーマンス・アクセシビリティあたりについては日本語にしてくれると嬉しいところだが。