これまで、この連載では「ソフトウェア開発者を対象とする、製品やテクノロジーに対する学習」といったあたりに主眼を置いて、MSDNオンラインでどんなコンテンツを提供しているのか、という話を中心に展開してきた。

ただ、仕事以外のソフトウェア開発というのは往々にして、具体的に「こんなモノを作ってみたい」という動機付けがある方が気合が入る。逆に、そういう目標がない状態で漠然と「ソフトウェア開発について学びたい」「テクノロジーについて学びたい」とやっていても、どうも調子が乗らないということもあるだろう。

Windows 7の機能を駆使したアプリケーションの投稿キャンペーン

そういう事情を斟酌したのかどうなのか、マイクロソフトでは「Windows 7アプリ投稿キャンペーン」を実施中だ。Windows 7の新機能を活用したソフトウェアを開発して投稿すると、抽選でプレゼントをもらえるというもの。すでにキャンペーンは第2弾に入っており、プレゼント第2弾の期間が、12/17まで延長になったところだ。まだ間に合うかも!?

Windows 7 アプリ投稿キャンペーン
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/jpwin7cp01.aspx

「Windows 7アプリ投稿キャンペーン」絶賛開催中(注 : 本稿執筆時)

このキャンペーンでは、Windows 7で新たに加わった以下の機能のうち、どれかひとつ以上を使用すること、という条件がつけられている。つまり、Windows 7の新機能について知ってもらい、活用してもらおう、という狙いがあるのだろう。

  • シェルの統合 : タスクバー、リボンAPI、ライブラリ
  • ハードウェアの機能 : マルチタッチ、インク、センサー
  • 高度なグラフィック : DirectX、WPF、Silverlight 4

賞品云々はともかく、「これを使ってね」という素材(テクノロジー)がすでにあるので、後はアイデア次第。「こんなモノを作ってみたい」という目的が明確になれば、開発に乗り出せる。しかも、投稿という形で開発者同士が覇を競うことができるのだから、気合が入ろうというものである。

面白いのは、キャンペーンのトップページ以下にある「宣言」ボタンだ。「構想中」「開発中」「まもなく開発終了」「投稿完了」と4つのボタンがあり、自分の現状がどれにあたるのかを宣言する仕組みになっている。もっとも、宣言した結果がリアルタイムでグラフ化して公開されるわけではなくて、マイクロソフトが統計データとして活用するというものではあるのだが、自分で自分に気合を入れる役には立つかもしれない。

といっても、何もないところからいきなり、Windows 7の新機能を駆使したソフトウェアを開発するといっても大変だ。そこで、これまでに取り上げてきた学習用のコンテンツや技術情報を駆使することになるのだが、そもそも「開発環境が手元にない」という可能性も考えられる。そこで、Windows 7用のソフトウェアを開発したい人をサポートするために、技術情報や支援を提供するコンテンツが用意された。

Windows 7アプリ開発を始めるなら : Windows 7 アプリ開発技術情報/支援サービス
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/jpwin7cp03.aspx

ちなみに、ここからリンクされているコンテンツで、Visual Studio Express Editionをダウンロードできる。基本的なソフトウェア開発機能を備えた無償版の開発ツールだ。個人で「ちょっとしたソフトウェア」を開発する程度なら十分に役立つので、とりあえず持っていても損はない。もっと本格的に開発に取り組むようになったら、おそらくこれでは物足りなくなるだろうから、そこで上位エディションのVisual Studioを購入したり、MSDNサブスクリプションを購入したりするのがお薦めだ。

他の人はどんなモノを作ってるんだろう?

なお、すでに他の開発者が投稿したソフトウェアについても、キャンペーンサイトから情報を確認できるようになっている。

最新の投稿
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/jpwin7cp06.aspx

過去の全投稿
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/jpwin7cp07.aspx

注目のWindows 7投稿アプリ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/jpwin7cp03.aspx

すでに他の開発者が作成・投稿したソフトウェアについて、情報を見ることもできる(これは「最新の投稿」の例)

さらに、投稿されたソフトウェアについてマイクロソフトの社員が語ってしまおう、というコーナーまである。そこで、どのソフトウェアに対してどんな反応が出ているかを見れば、自分が開発しようとしているソフトウェアについて、その教訓(?)を反映させられるかも知れない。一種のマーケティングである(なんのこっちゃ)。

アイデアアプリトークカフェ
http://www.microsoft.com/japan/msdn/cp/win7dev/2010/default.aspx

ところで、最新のテクノロジーを活用してアプリケーション開発を行おうとすると、やはり課題になるのは「学習」だろう。これまでに取り上げてきたMSDNオンラインのコンテンツを駆使することももちろんだが、それ以外にもまだ紹介していないコンテンツがひとつ控えている。それについては、次週に取り上げることにしよう。