【コラム】
運転中に電話がかかってきたときにどうするか? 普通に電話に出てしまうと、即交通違反になるのは知っているだろう。運転中の電話は、メールの受信でも禁止されているのだ。そんなときに必要なのがハンズフリーで通話できるヘッドセットだ。今回はBluetooth(ブルートゥース)を使ったワイヤレスヘッドセットに注目してみた。
2004年11月に運転中の携帯電話手持ち使用が規制されてから早2年が経過した。規制直後こそ手持ちで携帯電話を使用している人をよく見たが、その後携帯電話を手で持ったまま通話している人はだいぶ減ったように思う。また、止まっているクルマを見てもサンバイザーにイヤホンマイクがぶらさげてあったりと、手持ちでの使用はいけない(取り締まりの対象になる)という認識がだいぶ広まってきたのではないだろうか。
実際に筆者も規制前に携帯電話を手で持ちながら運転していて、神経の多くが電話に割かれ、運転がひどくおろそかになったのを覚えている。通勤のためにほぼ毎日クルマに乗っていて、運転には慣れているつもりでも集中できなくなるのだから、たまにしかクルマに乗らないようなドライバーが携帯電話を使用するのは、事故を起こすようなものだと強く思ったものだ。
04年の道路交通法の改正により、携帯電話を手で持って使用していたり、メールなどの送受信のために携帯電話の画面を注視していると、違反点数1点、普通車の場合で反則金6,000円の違反行為となる。違反にならないように電話を使うためにはヘッドセットなどの使用が必須となる。実際にヘッドセットを装着して両手をフリーにしている状態だと、会話していても電話を手に持って会話するほど気は散らなくなるのが実感できる。ただ、現時点では明らかになっていないが、将来的にはヘッドセットの使用も規制されるといわれているのだが……。
この道交法改正以後、携帯電話ショップや電器屋などではイヤホンマイクのコーナーが増え、法施行直後は多くの製品が売り切れている店舗も目撃した。日常的にクルマを使用するドライバーには、イヤホンマイクを持っていないと検挙されるという強迫観念もあったのだろう。実際に筆者もいくつか購入したが、あまりにも安価な製品は音が悪くて相手の声を聞き取れなかったり、こちらの声がとぎれとぎれに聞こえるなんてこともあった。
しかし、イヤホンマイクは大きな問題がある。クルマに乗る場合に、あらかじめイヤホンマイクを携帯電話に装着しておかないといけないということだ。そうしないと着信があった場合、そこから始めなければいけない。これではよけいに危険になってしまう。またイヤホンマイクは長いコードがついているため、コードが絡まっていたりすると装着するだけで大変なことになってしまう。
ただ、イヤホンマイク型でも非常によかった製品をひとつ覚えている。ソニーの携帯電話に付属していたイヤホンマイクだ。最近の携帯電話はオーディオ再生に対応したものが多く、イヤホンマイクが付属することも多いのだが、ソニーのイヤホンマイクはマイク部と操作部までが一体で、そこにイヤホン端子がついている。つまりいつも使っている音楽用のヘッドフォンをそのまま利用できるわけだ。ウォークマンなどで知られるソニーだけに、付属品といえどもヘッドフォンの音質は安価な製品とは比べものにならないほど良かった記憶がある。
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au W32Sに付属のイヤホンマイク。マイク部の中央の白い部分が着信スイッチ。マイク裏はクリップがついている |
au W43Sに付属のイヤホンマイク。着うた再生用の再生・停止ボタンなどがある。背面はワニ口クリップで使い勝手はいい。着信スイッチはマイク上部のグレーの部分 |
そういったコードや取り付けの問題は、ワイヤレスにしてしまえば一気に解決される。かつて近距離用の無線規格としてBluetoothが登場した時には、すべてのポータブルデバイスがBluetoothで接続できるというようなふれこみだったハズだ。しかし、現実には日本ではBluetoothはそれほど普及していないのが残念なところ。また、本来のBluetoothの使い方としては、携帯電話にBluetooth機能が内蔵され、対応したヘッドセットを購入するだけで無線機能が使えるというのが理想だが、現状では熾烈な価格競争の影響(コストダウンのため)か、Bluetoothを内蔵した携帯電話が少なく、携帯電話側にもBluetooth対応機器を接続しなければワイヤレスで使えない、というのもBluetoothがなかなか普及しない原因のひとつだろう。
こういう状況のため、Bluetoothヘッドセットもまだ少ない。加え、作っているのがパソコン周辺機メーカーということもあり、電器店の店頭でも携帯電話コーナーではなく、パソコン周辺機器コーナーに置かれていることが多いのが現状だ。なお、パソコン周辺機器コーナーにあることでもわかるように、パソコン側にBluetooth機能があれば携帯電話用ヘッドセットでも原則的には利用できる。とはいえ、本来は相互接続できて当然のBluetooth機器同士でもメーカーが異なると相互に接続できないことがある。接続できるかどうかもメーカーは応えてくれないので、実際に試すしかない。電器店の店頭で試せるかどうか尋ねてみるのがいいだろう。
ちなみに、Bluetoothを内蔵した携帯電話が少ないとしたが、旧Vodafoneを含むSoftbankの携帯電話ではBluetoothを搭載しているものがけっこうあり、ヘッドセットを購入するだけでワイヤレス通話が可能になる(はず)。キャリアや端末自体の好みもあるだろうが、Bluetoothという視点から携帯電話の機種選びをしてみるというのもいいのではないだろうか。
ワイヤレスになることでどのくらい使い勝手が向上するか、今回実際に製品を借りて使ってみた。なお、私が使っているauのW43SはBluetoothには対応していないため、携帯電話のヘッドフォン端子に接続するBluetoothアダプターを経由しての使用であることをお断りしておく。
今回試用したのは、モバイルキャストのヘッドセット「mClip」「mArrow」、サンワサプライのヘッドセット「MM-BTSH2」、およびプラネックスコミュニケーションズのヘッドセット「BT-04HS」という計4機種。携帯電話側にはモバイルキャストのBluetoothトランスミッター「MPD100」を使用した。他メーカーのトランスミッターも使って相互接続テストをやってみたかったのだが、今回はモバイルキャスト以外は借りられなかった。ちょっと残念だ。
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モバイルキャストの「mArrow MP210」。非常にコンパクト。本体側面に電源・通話スイッチとLED、上下にボリュームスイッチがある |
MP210の背面。イヤホン部は本体裏から垂直に突き出た固定式。耳掛けは脱着が可能で、角度も調整できる |
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モバイルキャストの「mClip」。電源・受信スイッチはイヤホン部に、ボリュームは本体の備えたスイッチを押すと切り替わる。本体スイッチの透明部分がLED |
くし型の端子を持つ携帯電話に対応したBluetoothトランスミッター「MPD100」。電源スイッチとLEDのみというシンプルな構成 |
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auのW43SにMPD100を取り付けた状態。このままではトランスミッターがぶらぶらしてしまうが携帯とトランスミッターを貼るベルクロが付属する |
サンワサプライの「MM-BTSH2」。音楽再生用のヘッドフォンかと思うような作りだ。ただし今回はモバイルキャストのトランスミッターと接続できなかった。残念 |
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プラネックスの「BT-04HS」。表面の黒いプラスチックの部分は、付属の赤や青のパネルと交換できる |
BT-04HSの背面。一見するとイヤホンタイプだが、耳に挿入する突起はなく、耳掛けのみで耳に固定するしくみ |
まず充電だが、いくつかの製品はパソコンのUSB端子を利用して充電できるようになっている。もちろん家庭用コンセントも利用できるようにACアダプターが付属するが、そのACアダプターにUSBのメスコネクタを備え、付属のUSBケーブルを使用して充電を行うようになっている。ただ、充電ケーブルの給電側は通常のUSB Aコネクタだが、Bluetooth機器側はいずれも専用コネクタで、通常のUSBミニBコネクタではなかった。また、プラネックスコミュニケーションズの「BT-04HS」は、給電側はUSB端子で機器側はミニDCプラグになっていた。
しかし、これらの製品はクルマでの使用を前提としていないのか、クルマのシガーソケットから充電できるようになっていない。こういったヘッドセットをクルマで使う場合、起こりうるのはクルマに持って乗るのを忘れてしまうということ。それを防ぐためにはヘッドセットをクルマに置きっぱなしにすればいいのだが、車内で充電できないと困ってしまう。Bluetooth機器メーカーには、車内でクレードルなどで充電し、着信があったらすぐに装着できるような製品をぜひ検討していただきたいと思う。
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MPD100の充電器。この製品はUSBは使用せずACアダプターを使った充電しか行えない |
MPD100の充電イメージ。このように細いコネクタをMPD100本体に差し込む形で充電する。携帯機器なのだからクレードルなどが欲しいところだ |
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mArrorの充電器。充電器にメス型のUSBコネクタがついた、最近のモバイル機器でよく見られるタイプ。OEM元が同じなのかサンワサプライ「MM-BTSH2」の充電器も同じものだった |
mArrowに付属するUSB充電ケーブル。mArrow側は通常のUSBミニBコネクタではないのが残念。mArrowもクレードルがあると便利なのだが…… |
Bluetooth製品を使うにはまず「ペアリング」という作業が必要だ。これは接続する機器同士を関連づけてヘッドセットに着信を伝え、ワイヤレス通話を可能にするためのもので、Bluetooth機器には必須の作業。携帯電話やパソコンなどではパスワードの入力などが必要になるが、スイッチ類が少ないヘッドセットとトランスミッターの場合には、お互いの電源ボタンなどを長押しするだけで互いに認識してペアリングが完了する。これは一度設定してしまえば電源を切っても有効だ。今回のモバイルキャストのトランスミッターでは、サンワサプライ製品に接続できなかった。
トランスミッターを携帯電話に接続していると、携帯電話本体からは着信音が鳴らないことがある。このような場合は、着信音をイヤホンの両方から鳴るように携帯電話を設定しておく。でないと着信があっても気付かない、なんてことが起こるので注意が必要だ。トランスミッターが携帯電話からぶらさがっているのは格好も悪く、使いやすいものではない。今回はベルクロテープも付属していたので、トランスミッターを携帯電話に固定することでだいぶ使いやすくなるだろう。
着信したらヘッドセットのボタンを押すとヘッドセットから音が聞こえ、そのまま通話が可能になる。ヘッドセット側にも電源スイッチがあり、あらかじめ装着していないとヘッドセットの装着→電源オン→通話と、通話開始までに時間がかかる。安全を考えると、クルマに乗った段階でヘッドセットを装着しておくのがいいが、現実にはなかなかそうもいかないだろう。せめてクルマに乗った時にはヘッドセットの電源を入れておくぐらいのクセをつけたい。言うまでもないがヘッドセットを取り出しやすいところに置いておいたほうがいいだろう。
ヘッドフォン型やコードのないイヤホン型、マイクとイヤホンを短いコードで繋いだものなどを使用したが、やはり車内で使用するにはイヤホン型のmArrowがいいようだ。ただ、イヤホン型は耳の形によって装着感が違うので、購入前にできれば試してみたほうがいいだろう。mClipはコードはついているもののマイクとなるクリップにほどよい大きさがあり、意外と使いやすく感じられた。
今回使用したトランスミッターは、ヘッドセットに連動して電源のオン/オフが切り替わるタイプ。そのためヘッドセットがオフになっていると着信があっても通話できないという状況になってしまった。携帯電話にBluetooth機能が搭載されていれば、こういったこともないはずだ。電源をいつも気にしなければならないのは難点だが、それでもワイヤレスのヘッドセットは非常に快適だった。使っている携帯電話がBluetoothに対応していないならとりあえずトランスミッターを使い、将来的にBluetooth搭載の携帯電話に買い替えるという使い方でもいいだろう。なにより、Bluetoothに対応した携帯電話がもっと増えることを期待したい。
平 雅彦(WINDY Co.)
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