【コラム】

クレバーなモーターライフ

15 ガソリンが高い! 燃費について考える

    西尾淳  [2006/10/24]

    ガソリンが高い。高すぎる。このところレギュラーが130円台、ハイオクで140円台に落ち着いているようだが、ちょっと前まではレギュラーでも140円以上した。1年半ほど前はレギュラー116円、ハイオク128円程度だったことを考えると、ガソリンが高いことには代わりがない。この高騰するガソリン代に対処する方法はないものだろうか。

    なぜガソリンが高いのか?

    経済ライターではないので詳しくはないが、ここ1年ほどのガソリンの高騰は以下の3つにまとめられるようだ。

    1. 中国などで経済発展が著しいため
    2. 原油産出国があまり生産を拡大していないため
    3. 投機目的

    (1)や(2)は仕方がないとしても、(3)には憤慨してしまう。生活に直結するガソリンをマネーゲームに使わないでほしいと思う。

    もともと日本ではガソリンに多くの税金がかかっている。1リッターにつき、ガソリン税が53.8円(揮発油税48.6円+地方道路税5.2円)、原油関税が0.215円、石油石炭税が2.04円。ここまでで合計約56円。さらに消費税もある。例えばリッター136円なら消費税は約6.8円。つまり、半分近くを税金で持っていかれる計算になる。

    このガソリンの税金の高さはタバコ(300円の商品なら189.17円、63.1%が税金)やビール(350ml、180円のビールなら77.7円、43.16%が税金)などと並ぶ高課税商品として有名。さらにガソリンには二重課税の疑いもある。燃費とは直接関係ないが、ぜひアタマの隅に入れておいてほしいと思う。

    2006年10月22日、神奈川県某所でのガソリン価格。少し値を下げてきたが、まだまだ高い

    こちらはセルフのガソリンスタンド。サービスがないぶん、一般的なスタンドよりも少し安い

    燃費を良くするいろんな方法

    憤慨していても始まらない。いまあるクルマで燃費を良くする方法を考えてみよう。運転による燃費の変化はマニュアル車のほうが大きいのだが、実際に乗られているのはオートマ(オートマチックトランスミッション)車がほとんど。それでも運転などで2割くらいは燃費が違ってくる。毎月1万円ガソリンに使っているなら2千円くらいはうくわけで、これはバカにできない。

    基本は急加速、急発進をしないこと。ゆっくりアクセルを踏み、回転を上げすぎないようにしたい。一部を除き、オートマならアクセルを踏んでいなくてもクルマが動く「クリープ現象」がある。発進時にこれを利用して、タイヤがひところがりしてからアクセルを踏むようにするのがいい。また、現在のクルマなら暖機運転も不要。エンジンをかけてすぐに走り出してかまわない。暖気分のガソリンを節約しよう。もちろんエンジンが温まるまでは、いたわって走ることを忘れずに。

    高速道路であれば、まわりの流れに左右されず、自分なりの速度を維持しやすい。そんなシーンなら一定の速度を維持するように走るのがいい。といっても遅すぎるのは逆効果。エンジンは効率よく燃焼する回転域があって、それのピークが最大トルク発生回転域となる。つまりトルクバンドを維持するように走ればいいわけだ。ただ、そうすると速度が上がりすぎるクルマもある。速度の2乗に比例して空気抵抗が大きくなるから、速度が2倍になれば空気抵抗は4倍にもなる。速すぎるのはダメなのだ。

    速度一定といっても、神経質にアクセルを操作して速度をキープするのも良くない。できるだけアクセル開度を一定にして走行する感覚で走るのがいい。トラックでは50~60km/hあたりが経済速度に設定されている場合もあるが、乗用車なら70~80km/hあたりを目安に、アクセル一定でゆったり走るのがいいだろう。クルーズコントロールを使うと燃費がよくなるという話もある。

    高速道路に限らず、先を読むことも燃費には影響する。先の信号が赤になっていたら、早めにアクセルを戻せばいい。マニュアル車なら赤信号前でギヤを抜く(ニュートラルにする)という手もあるが、オートマではユニットが傷むのでやってはいけない。コーナーでも同じで、コーナー前でブレーキを踏めば、それまでにガソリンを使って稼いだエネルギーを放出することになる。これはもったいない。先のコーナーの曲がりを読んで、スムーズに抜ければ燃費もよくなる。もちろんこれは「ノーブレーキでコーナーに突っ込め」という話ではない。

    小さなクルマではエアコンに使われるパワーもバカにはできない。多少の暑さならガマンして、窓を開けて走行したい。しかし高速道路では窓を閉めてクーラーを入れたほうが燃費はよくなることもある。このあたりはケースバイケースでいくほかない。ちなみにヒーターはエンジンの余熱を使っているので、燃費にはほとんど関係しない。

    運転以外にも燃費を良くする方法はある。まずタイヤの空気圧をチェックしよう。適正値よりも空気圧を高くすれば、ころがり抵抗が減って燃費に貢献する。しかし上げすぎると乗り心地は悪くなるし、タイヤが正しくグリップしてくれない可能性もある。上げるとしても1割程度が目安だろう。

    まれに工具や冬タイヤなど、普段使わないものをクルマに積みっぱなしにしているクルマもあるが、これも下ろしたほうがいい。JAFが発行する「JAFMATE」の2002年10月号によれば、260kgの重量増(4名乗車+荷物)で7.5~13.3%ほど燃費が悪くなったという。重量は燃費に直結するのだ。

    ハイオクガソリンが高いのなら、安いレギュラーガソリンを入れられないだろうか? ハイオク仕様のクルマにレギュラーを入れてもすぐにエンジンが壊れることはないだろう。しかし本来の性能が発揮できないし、ハイオク仕様のクルマを買った意味がないので、これは止めておいたほうがいいだろう。

    ただ、欧州車の場合はガソリンをブレンドして使うこともできる。欧州でのガソリンのオクタン価は95前後。対して日本ではレギュラーが89~92程度、ハイオクが98~100程度。つまりブレンドしても欧州のオクタン価より下げなければいいわけだ。普通のガソリンスタンドで「半分ずつ入れて」というのはちょっと恥ずかしいが、セルフスタンドなら問題ない。しかし、クルマによってはブレンドしないほうがいいこともあるようだ(プジョーの某ディーラーでは止めてくれと言われた経験がある)。自己責任で試してほしい。

    急激なアクセルを行うと、燃費はてきめんに悪くなる。高速ではできるだけ一定に

    タイヤの空気圧はこまめにチェック。高くするにしても、指定の1割程度まで

    クルマの中に荷物は置かない。特に軽いクルマは荷物の有無が影響しやすい

    燃費計。これは欧州車なので100kmあたりの消費量。つまり4.56km/lということ


    軽いクルマに乗ろう

    「そんなに燃費が気になるなら、クルマを止めてしまえばいい」という意見もある。しかしそれは電車やバスだけでも生活に困らない都市圏に住んでいる場合。ちょっと街を離れれば、クルマがなくては生活できないエリアは多いのだ。人や荷物を運ぶことの多い人も同様。

    ただ、状況によって交通手段を変えるぐらいのことはできそうだ。近距離で、自分ひとりだけの移動ならバイクを使ったほうが効率的だ。「6輪生活」というコンセプトもあるが、これはクルマ(4輪)とバイク(2輪)を使い分けようというもの。125ccまでのバイクなら保険をクルマのそれに含めることができるし(ファミリーバイク特約)、燃費もリッター30~40km/lくらいは普通に走る。このセカンドバイクについては、いずれ詳しくやりたいと思う。

    ハイブリッド車はどうだろうか? 確かに燃費のよさは大したものだ。実燃費でもリッター20km前後、上手い人になるとリッター40km台も可能だという。しかしバッテリーは消耗品であり、いつかは交換しなければならない。現行のトヨタ・プリウスのバッテリー保証は5年10万km。その場合の費用は12万8000円程度だという。ホンダのシビックハイブリッドは、それよりはるかに高いらしい。ガソリンをリッター140円としても、12万8000円あれば900リッター以上買えることになる。1年分ぐらいのガソリン代はまかなえそうだ。

    ハイブリッドはモーターのパワーで加速も補ってくれる。であれば、それを最大限に使って、エンジンは800cc程度のディーゼル(もちろん排ガスのきれいなもの)にしてしまうことはできないのだろうか? 劇的に燃料にかかる費用は少なくなると思うのだが。

    「年々クルマの燃費はよくなっているが、買い替えるときに大きなクルマにするユーザーが多いため、全体でのガソリン消費量は変わっていない」という記事を読んだことがある。なんとなくわかるような気がした。確かに、燃費が気になるなら小さな軽いクルマに乗ればいい。

    大小はまあいいとしても、「車重が軽い」クルマにはメリットが実に多い。燃費がいいのはもちろん、タイヤやブレーキパッドはあまり減らないし、走行エネルギーが低いから何かにぶつけても相手の損傷が少なくてすむ。同じスピードで交通事故を起した場合、ダンプなら相手が死亡するのに、軽自動車なら軽傷ですむ場合だって考えられる。加えて、重いということは、それだけ鉄やアルミなどの材料をたくさん使っているということ。地球にだってやさしくないだろう。

    現在のクルマは重くなりすぎた。普通のセダンでも1.5トン後半、ミニバンに至っては2トン以上も珍しくはない。軽くて十分な広さがあり、安全で乗り心地もいい、もちろん燃費もいいというのが、メーカーの腕の見せ所ではないかと思うのだが。

    西尾 淳(WINDY Co.)

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