【コラム】

クレバーなモーターライフ

13 ハーレーに乗りたい!

    加藤真貴子  [2006/10/10]

    バイクに興味がない女性でも「ハーレー」というバイクがあることは知っているだろう。「ハーレーに乗りたいから」という理由でバイクの免許を取り始める女性も少なくない。最近は女性向けのハーレー雑誌が出たり、街の中でハーレーに乗っている女性ライダーを多く見かけたりするようになった。こんなにも人を魅了するハーレーとはどのようなバイクなのか? そこで実際にハーレーを試乗してみることにした。

    152cmの女子でもハーレーに乗れますか?

    筆者は合宿で練習して大型免許を取ったのだが、同じ合宿にハーレーに乗るために大型免許を取るという女性がいた。そのときは「すごいんだなー」と思っただけだったけど、改めて回りを見回すと、ハーレーに憧れている女性はけっこう多いように思う。

    ちなみに筆者の身長は152cmと平均より低く、運動神経もいいとはいえない。教習時間を大幅に超えてしまったが、なんとか大型免許は取ることができた。そして大型の中でも足つきがよく、比較的軽いカワサキの「ゼファー750」に乗っていたのだが、それでも扱いはとても大変だったため、2年ほどでスズキの「ジェベル200」に乗り換えてしまった。

    ハーレーは大きくてかっこいいバイクだと思うけれども、「足が着くのか?」「コケたとき起こせるのか?」「メンテナンスができるのか?」「高価そうだが購入できるのか?」など、あまりに不安な要素がたくさんあったので自分で乗ろうとは考えていなかった。今回はそのあたりをショップに聞いてみることにした。

    親切に質問に答えてくださったのは「ハーレーダビットソン 亀戸」のスタッフ、野間明美さん。「最近はとくに女性のお客様が増えていますよ。女性の方はハーレーを乗るために免許を取った、旦那さんの影響で乗り始めたという方が多いですね」。はじめはタンデムだったのに、気がついたら自分で走り出していたという人も多いらしい。

    試乗するにあたり、背が低いので足つきが不安だと伝えると、ハーレーの中でもシート高が低いFXDL(ダイナ・ローライダー)を薦めていただいた。試乗に行く前にだいたいの車種は調べていて、もし乗るなら排気量や重さを考えてXL883(スポーツスター)しかないのではないか? と思っていた。一度ヤマハのVMAXにまたがったことがあるが、そのときもぜんぜん足が着かなかった。しかし、FXDLは1584ccと排気量は大きいのだけど、またがってみると素直に足が着いて、安定性もとても良かった。足つきに関していえば現在乗っているオフロードバイクのジェベル200のほうがバレリーナ状態だ。リッターバイクに乗ることは体格的に諦めていたのだが、FXDLにまたがってみると「これなら運転できるかもしれない」と思えるくらい。やはり乗ってみないとわからないものだ。

    今回試乗させて頂いた「ハーレーダビットソン 亀戸」。ハーレージャパンの認定する「PHDサービスファクトリー」であり、広い整備ブースや最新の設備を持っている。購入後は専属のメカニックがつくので充実したアフターサービスが受けられる 「ハーレーダビットソン 亀戸」の野間明美さん。笑顔が素敵で質問もていねいに答えていただいた。「女性限定のツーリングも企画したいんですよ。地図が読めないので先頭を走るのが不安ですけど(笑)」と野間さん自身もハーレーを楽しんで乗っているという

    案ずるより生むが易し。乗れてる感覚を味わえる

    FXDLのシート高がいくら低いといっても、さすがに車体は大きく重い。スタンドを立てた状態からまっすぐに引き起こすだけでも慣れが必要だと思った。しかし足つきがいいのでなんとか乗れないことはない。ハーレーは国産車と違い左右にそれぞれのウインカースイッチがあるが、右手でウインカーを出すなんて経験はなく、これがいちばん戸惑った。左手集中ウインカーに付け替えることも可能だという。

    「ドドド、ドドド」と大きな振動が心地よい。よく「ハーレーの音がいい」という話を聞くがなんとなく理解できた。野間さん曰く、最近は排ガス規制や騒音規制のため、これでも以前より音は小さいのだという。しかし低音で体に響いてくる音は昔と変わらず現在も健在だとのこと。

    発進するとトルクがありあまり不安感はない。重心が低いことは車体が安定する要因のひとつだが、なによりすぐ足が着くことが心理的にとても安心できる。それと不思議なのはバイクに「乗せられている」ではなく「乗っている」感覚で運転できたこと。以前のゼファー750は2年乗ったけど、最後まで「乗せられている」感じがしていた。ハーレーの重心が低いためか、トルクが大きいためかはわからないけど、「これなら私でもなんとかなるかもしれない」とちょっとだけど思ってしまった。

    この感覚は自分で乗ってみないとわからないと思う。幸いハーレーには試乗できるイベントが多く用意されている。大型免許を持っていれば店頭試乗が可能だし、「2007年モデル店頭試乗会」が10月7日から10月29日まで開催されている(開催日は店によって異なる)。普通免許を持っていれば、全国各地の教習所でハーレーに試乗できる「ハーレートライディング」もある。ぜひ試してみてほしいと思う。

    筆者が試乗したFXDL 2007年度モデル。加重時シート高は655mmと非常に足つきがいい。以前は女性が乗るのはスポーツスターが多かったが、最近は大きなハーレーに乗る人が増えたとのこと

    若者でも手に入れることは可能か?

    乗れることはわかったが、実際購入となると車両価格はやはり高い。若い人がハーレーに乗っているのを見ると、「一体どうやって買ったんだろう?」と不思議に思っていた。一番安いXL883でも乗り出し価格(車両代に登録費や保険代を加えたもの)が105万円。試乗したFXDLでは乗り出し価格が222万円にもなる。社会人2年目で貯金もない筆者には手の届かない代物だと思っていた。しかし話を聞いてみると、ハーレーダビットソンのローンは支払い回数が最長で120回まで可能だという。これなら1回あたりの支払いを2万円程度まで下げられるから、なんとか買えそうな気もしてくる。実際に若い人はこの120回ローンを組んでハーレーを手に入れているという。10年もの長いローンを組む気になれるのも、ハーレーだからこそなのだろう。

    次に不安なのは盗難だ。最近の傾向を聞いてみると、2~3年前は自宅盗難が多かったが、最近は渋谷、原宿、上野、秋葉原といった繁華街での盗難が増えているとのこと。防犯対策についてはこの連載の第8回「あなたのバイクは狙われている」を参考にしてほしいが、やはり盗難保険には入れておきたい。ハーレーでは最長5年まで盗難保険がかけられる。ロッカールームや24時間警備員が常駐しているバイク専用ガレージを利用しているオーナーも多いとのこと。高価なバイクなのだから、盗難には十分気を遣いたい。

    スタイルを楽しむバイクライフ

    筆者はよく立ちゴケをしてレバーを折るのだが、ハーレーの場合はどうなのだろう? 「ハーレーに乗っている方はたいていエンジンガードを付けられるので、レバーを折る方は少ないですよ。だいたいハーレーは大きく見せる方向でカスタムされますから、エンジンガードも違和感なく収まるんです」。このエンジンガードは1万円くらいで付くらしい。これで車体が傷つかないのなら安いものだと思う。そのほか、女性に多いカスタムとしては、狭いシートに変えて足つきをよくすることが多いという。

    今回実際に試乗してみて、ハーレーの「大きい・重い」「値段が高い」などの不安要素が解消された。なにより身体的に諦めていたハーレーに乗ることができたのが一番嬉しかった。「ハーレーは長く乗れるバイクなので、いつかはハーレーと先送りするのでなく、若いうちから購入して、自分なりの一台を作り上げて長くつき合っていくのがいいと思いますよ」と野間さんは笑顔で話してくれた。

    作ってもらったFXDLの見積り。長年乗ることを考えて、若干高いがお気に入りのツートンカラーを選んだ。盗難保険も初年度は車両価格の90%まで保証される。120回ローンを組むと月々21,407円でハーレーが購入できることになる

    加藤真貴子(WINDY Co.)

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