【コラム】
ポータブルオーディオプレーヤーが、MDやCDからシリコンプレーヤーやHDDプレーヤーに移り変わって久しい。そういったシリコンプレーヤーやHDDプレーヤーの中でも突出して広まっているブランドがある。それがアップルコンピュータの「iPod」シリーズだ。iPodの爆発的な普及で、多くのカーオーディオメーカーや、自動車メーカーまでが、iPodに対応した製品を発売している。
カーオーディオやカーナビには、メーカーが一般に向けて販売する「市販品」と、自動車メーカーに供給する「OEM品」(純正品)の2種類がある。純正オーディオに同じメーカーの市販のCDチェンジャーなどを追加しようとしても、OEM品だということが原因で取り付けられなかったという経験はないだろうか。同じメーカーロゴがついているのに市販品のオプションが付けられないというのがこれまでのカーオーディオだった。
しかし現在、iPodが爆発的に普及し、そのiPodに対応するということがカーオーディオの命題となってしまった。それがある種のバイパスになって、接続の自由度が高くなりつつある。
iPodの登場は2001年のこと。容量は5GBからスタートした。アップルコンピュータが発売したパソコン以外の製品であるということ、それまでのオーディオプレーヤーとは一線を画すデザインが話題になって爆発的にヒットした。基本デザインそのものは現在のモデルとほぼ同じだが、現在ではすべてタッチセンサーになっているスイッチ類が、機械的なスイッチになっていた程度の違いだ。また、現在では当たり前のようにWindowsでも使用されているが、登場当初はWindowsには対応していなかった(Windowsに対応したのは2002年以降)。初期モデルでは外部インタフェースはIEEE1394インタフェースのみで、充電もIEEE1394経由で行っていた。
いわゆる第3世代iPodからは前面のホイール形状のスイッチが完全にタッチセンサーになり、外部インタフェースはIEEE1934端子が廃止され、底面にドック用の専用端子が用意されるようになった。現在、iPod対応カーオーディオなどでは、この底面のドック用端子にケーブルを接続してカーオーディオと連携する。
現在市販されているのは第5世代といわれるiPodシリーズ。HDDを搭載した「iPod」(30GBと60GB)と、シリコンメモリを搭載した「iPod nano」(2GB/4GB)で、いわゆるiPod対応といわれるカーオーディオに接続できるのはこれらのタイプになる。これ以外に液晶モニターを備えない安価な「iPod shuffle」も販売されているが、iPod shuffleはドック用端子を備えておらず、USB端子のみなので、カーオーディオに接続するには、外部入力などを使用したアナログ接続のみとなる。カーオーディオへの接続を前提として購入するなら、「iPod」か「iPod nano」がオススメだ。
現在は発売されていないが、モノクロ液晶を搭載した「iPod mini」や、カラー液晶を搭載した「iPod photo」などもあった。これらはドック端子を備えているため接続できるようだ。ただし、これらは現行製品ではないためカーオーディオのカタログなどにも書いていない場合が多い。カーオーディオに接続する場合はメーカーに問い合わせてみたほうがいいだろう。
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モノクロ液晶ディスプレイとIEE1394コネクタを備えた初代iPod。基本デザインは今とほとんど同じ |
2.5型液晶ディスプレイを備え、Podcastを初めとしたビデオ再生にも対応した現行の「iPod」 |
アップルコンピュータのホームページでは、iPodに対応を表明した自動車メーカーを公表している。改めて見ると、全車種ではないとはいえ、すでに国内の全乗用車メーカーがiPodに対応していることがわかる。日本以外ではヨーロッパの自動車メーカーが多いようだ。また、このページの下にはカーオーディオメーカーの対応一覧表 あるので、自分の持っているメーカー、またはこれから購入しようとしているメーカーがiPodに対応しているかどうか、チェックするといいだろう。なお、マツダやGMを含むフォードグループでは2007年に米国で発売される乗用車の70%以上をiPod対応にすると発表している 。今後は、こういった自動車メーカーの対応もより進んでいくだろう。
カーオーディオへの接続には2種類ある。カーナビやカーオーディオなどに直接iPod対応ケーブルなどを添付して、すぐに取り付けが可能なものと、オプションとしてiPod接続アダプターなどを用意し、それを経由してiPodをコントロールするものだ。なお、iPodのコントロール内容にかかわらず、多くのiPodアダプターではiPodの充電機能も備えられている。車内ではiPodで音楽を再生し、クルマを降りる時に充電の終わったiPodを一緒に持って降りる、ということも可能なわけだ。
今回、何社かのカーオーディオメーカーに話を伺ったところ、iPod対応には2段階程度の機能差があるようだ。iPodの全てのコントロールを接続したカーオーディオ側から行い、曲名表示なども可能なものと、再生や停止、曲のスキップ程度などの基本操作が可能なものに分かれている。
前者の場合は、カーナビやオーディオの画面にiPodそのものをコントロールしているようなイメージを表示するものや、iPodと同様の検索機能を持つものもある。後者の場合は、外部CDチェンジャーなどのコントロールと同じ仕組みを使うため、古いカーオーディオなどでも「iPod接続アダプター」用の端子さえ持っていれば接続できるのがメリットだ。こういった接続アダプターは接続されるヘッドユニット(カーオーディオやカーナビ)が変わっても共通のため、今は再生やスキップしかできなくても、将来オーディオやナビを買い替えた場合には、曲名表示なども可能になる、というメリットもある。
カロッツェリア(パイオニア)の場合は、多くの機種背面にCDチェンジャーなどの外部機器と接続する専用端子「IP-BUS」を備えている。ここにオプションの「iPodアダプター」を接続し、さらにiPodへの接続を行うが、最新機種の場合は、カーオーディオやカーナビの画面にiPodに似た表示がされる「iPodコントロール」、それ以前の機種の場合には再生・停止などの基本機能をコントロールできる「iPodリンク」という2段階の機能で対応する。対応モデル一覧はホームページに掲載 されている。いずれにしても、全モデルでiPodアダプターが必要となる。
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HDD搭載カーナビゲーションシステム「PIONEER AVIC-VH009」 |
iPodアダプター「CD-IB10II」 |
ケンウッドの場合は、背面に「チェンジャーコントロール端子」があればOK。ここにiPodインタフェースユニット「KCA-iP500」を接続してiPodを利用する。端子を持つ場合でも、タイトル表示に対応したものや、対応していないものなど、ヘッドユニットの世代や機種によって機能制限がある場合がある。詳細はケンウッドのホームページに掲載されているので、参照してみるといいだろう。
2001年に登場したiPodももう5年。その間に発売されたiPod対応周辺機器は数多く、純正やサードパーティ製も含め、街の家電量販店にiPod専用コーナーを設けてしまうほどの勢いだ。アップルコンピュータはiPodの成功で大幅な黒字化を果たしているほど。
かつてソニーの「ウォークマン」がポータブルカセットプレーヤーの代名詞だったように、iPodはいまやポータブルオーディオの代名詞と化している。ここまでiPodが普及してしまうと、次はiPod対応の周辺機器が接続できるiPod互換ポータブルオーディオプレーヤーも登場するかもしれない。
平 雅彦(WINDY Co.)
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