今年6月、AMD Fusion APUの本命であるAシリーズがついに発表され、それに対応するマザーボードも一斉に発売された。Aシリーズは、クアッドコアCPUとRadeon HD 6000シリーズクラスをひとつのパッケージに封じたメインストリーム向けAPUだ。CPUとしての性能はほどほどだが、グラフィックス機能に関してはこれまでのチップセット/CPUに統合されたグラフィックス機能を大きく上回り強力。これまで低コストPCというと統合グラフィックスを使う代わりにグラフィックスレスポンスには妥協を強いられてきたわけだが、そうした常識を覆す製品となる。

さて、今回紹介するのはそんなAMD AシリーズAPUをサポートするATXマザーボード「GIGABYTE GA-A75-D3H」だ。統合グラフィックス対応マザーというと、マイクロATXと組み合わせてコンパクトというのを狙いたいところだが、Aシリーズのパフォーマンスクラスでは、そのパフォーマンスを生かして拡張性、発展性を求めるニーズもこれ以上に高まると思われる。そんなユーザーをターゲットにした製品だ。

GIGABYTE GA-A75-D3H

「GIGABYTE GA-A75-D3H」

メーカー GIGABYTE
製品名 GA-A75-D3H
フォームファクタ ATX
対応ソケット Socket FM1
対応CPU AMD Aシリーズ
チップセット AMD A75
対応メモリ DDR3 SDRAMスロット×4基(最大容量64GB)、アンバッファードDDR3 2400(OC)/1866/1600/1333/1066MHz対応
拡張スロット PCI Express (2.0) x16×2(x16+x4)、PCI Express (2.0) x1×2、PCI×3
マルチグラフィックス AMD Dual Graphics、AMD CrossFireX
ストレージ SATA 6Gbps×5ポート、eSATA 6Gbps×1ポート
RAID機能 RAID 0/1/10/JBOD
ネットワーク 10/100/1000BASE-T×1(Realtek RTL8111E)
オーディオ機能 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC889)
インタフェース USB 3.0×4ポート(AMD A75+Etron EJ168、+ピンヘッダにより2ポートの拡張が可能)、USB 2.0×2ポート(+ピンヘッダにより2ポートの拡張が可能)

A75チップセットはUSB 3.0統合など初めてがいっぱい

AMD AシリーズをサポートするチップセットはAMD A75とA55。現在のところA75チップセットを採用する製品が主流で、GA-A75-D3Hもそんな製品のうちのひとつだ。A75、正式名称はAMD A75 FCHとなるが、これはシングルチップ製品。ノースブリッジ機能の主要な機能がCPU側に統合されたことで、残りのノースブリッジ機能に従来のサウスブリッジ機能を統合したチップとなる。GA-A75-D3Hでは従来のマザーボードレイアウトでいうところのサウスブリッジに相当する位置に実装されている。

Socket FM1をサポートするAMD A75チップセット

バックパネルにはUSB 3.0×4ポート。うち2ポートがA75チップセットに統合されたもの。また、ディスプレイ出力はD-Sub、DVI、HDMIの3系統で幅広いディスプレイをサポート

USB 3.0は、バックパネルに4ポート、ピンヘッダから2ポートが利用できる。このうちA75がサポートするのは4ポート。バックパネルに2ポート、ピンヘッダから2ポートという分配で、残るバックパネルの2ポートはEtron EJ168チップの機能によるものだ。また、USBに絡みGIGABYTEのアピールしているポイントとして、「One Fuse per USB Port Design」というものがある。各USBポートをまとめてひとつの電源フューズで制御するのではなく、それぞれのポートに専用のヒューズを用意しているとのこと。予期せぬ過電流から守ってくれる仕組みとされる。そのほかバスパワー供給電力をパワーアップした3倍USB電源やPCの電源オフ時にもバスパワーを供給できるOn/Offチャージ(赤いポート)など従来からの機能も搭載している。

バックパネルのUSB 3.0×4ポートのうち2ポートに利用されているEtron EJ168

フロントパネル用にUSB 3.0ピンヘッダも用意。仕様表によればこれはチップセット側の機能とされる

CPUソケット周辺はかなりスッキリとした印象だ。そもそもリテンション金具が、従来のソケットをぐるりと取り囲む形状から、上下だけの形状のものへと変更されている。コンデンサがソケットのより近い場所まで配置されているのが印象的だ。

従来のAMD向けソケット用リテンションから簡略化された固定具。ずいぶんスッキリするうえにCPUとコンデンサとの位置もぐっと縮まった

3Dグラフィックス、ストレージ、オーディオとマルチな拡張性を備える

ATXの醍醐味である拡張性では、PCIe x16スロットが2本、x1スロットが2本、PCIが3本というレイアウト。x16スロットは16レーン+4レーンという配分で、通常のRadeonグラフィックスカードを用いたCrossFireXをサポートする。また、AシリーズのA8・A6では統合GPUと外部グラフィックスカードを組み合わせDual GraphicsというもうひとつのCrossFireXも利用できる。こうしたオプションに両対応する点は柔軟な発展性と捉えることができるだろう。また、PCIが3スロットと比較的豊富であり、PCIカードユーザーは重宝しそうだ。

2本のx16スロットはCrossFireXもサポート。Dual Graphics、CrossFireXと選択肢が広がる。また、PCIスロットも3本装備し、PCIチューナーカードなどの複数挿し等にも活用できそうだ

ストレージはSATA 6Gbps×5。バックパネルのeSATAも6Gbpsに対応しており、これらでA75の全6ポートが活用されている。PATAは非対応。PS/2ポートやPCIスロットを搭載しつつPATA非対応など、レガシーとレガシーフリーの中間的なポジションといったところだ。なお、GIGABYTEといえば未だBIOSにこだわっているメーカーであるが、本製品もBIOS。DualBIOSに3TB+HDDのサポートを加えたHybrid EFI Technologyを掲げている。

ボード上のSATAポートは5つ。全て6Gbpsに対応しており、メインストリーム、統合グラフィックスという位置づけながらもハイレスポンスなPCが構築できる

物理的にBIOSチップを2つ搭載するDual BIOSは健在

もうひとつ、ボード上で目をひくのがサウンドチップ周辺のコンデンサ群。こうしたレイアウトはオンボードオーディオの音質にもこだわるハイエンドマザーによく見られるもの。その上のシルクにもあるとおり、S/N比108dBの高音質も本製品のアピールポイントとなっている。オーディオチップはRealtekのALC889。ちなみに同社によるとAC97の標準が97dBで、ALC889チップ自体の仕様はDACが108dB、ADCが104dB。

オーディオチップはRealtek ALC889。その周りには多数のコンデンサが配置され、108dBというSN比を示すシルクも誇らしげ

その他の追加チップとしては、1000BASE-T対応LANチップとしてRealtek RTL8111Eが搭載されている。

LANチップはRealtek RTL8111E。1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tに対応している

PCゲーマーを育てる!? そんなエントリーゲーマー向けマザーボード

「D3」はGIGABYTE製品における各チップセットごとの中心モデルの型番だ。GA-A75-D3Hも拡張性に優れるATXレイアウトをベースに、豊富な機能と様々なステップアップの図れる拡張性を備えた定番モデルと呼べるだろう作りとなっている。AシリーズAPUは高い3Dパフォーマンスを持つことからコスト重視のエントリーゲーマーにも最適と思われる。しかし最初はエントリーゲーマーでも、ゲームにのめり込むほどに3Dに対する欲求が高まるだろう。そうした時、Dual-Graphics、そしてCrossFireXとステップが踏める点は大きなポイント。ATXサイズを生かし2スロットの間隔を空けたx16スロットならば、CrossFireX時も2スロットサイズのハイエンドグラフィックスカードが1スロットの間隔を残しつつ搭載でき、エアフローに余裕が見込める。

また、もうひとつゲームに重要な音質についても、オンボードとしては比較的音質を追求した設計で好感が持てる。もちろんATXだからオーディオカードにステップアップしたい場合も余裕があるというわけだ。それだけ発展性があるわけで、AシリーズでゲームPCを組みたくてなお迷っているという方に、「とりあえずこれを選んでおけば将来気分が変わっても大丈夫」的な安心感を与えることができるのではないだろうか。