【コラム】

マネーのトリビア

1 「年末調整」って、何を「調整」するの?

馬養雅子  [2011/11/21]

勤務先は12月までの概算の所得税額を源泉徴収

年末調整はサラリーマンにとって年中行事といえます。これによって、12月のお給料がちょっぴり増えたりするのもうれしいもの。でも、年末調整がなんなのか、実はよくわかっていない人も多いかもしれませんね。何を調整するかというと、「支払った所得税額」と「本来払うべき所得税額」です。

サラリーマンが働いて得た給与やボーナスには所得税がかかります。これは、勤務先が給与などから源泉徴収(天引き)して、本人に代わって税務署に納めています。

所得税は、1月から12月までの所得に対して課税されるので、実際には12月になるまで正確な所得税額はわかりません。そこで、勤務先は概算の所得税額を源泉徴収しています。そうすると、実際に支払わなければならない所得税の額と、源泉徴収した額が一致しないのがふつう。そこで、年末の給与支払いのときに、これを「調整」するわけです。

扶養家族や生命保険、地震保険の加入状況を確認

年末調整が必要な理由はもう1つあります。

所得税は、給与やボーナスの全額にかかるわけではありません。そこからさまざまな「控除」を差し引いたあとの金額が課税対象になります。

控除には、

  • 扶養している家族がいる場合の扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除

  • 一定の条件を満たす生命保険や地震保険に加入して保険料を払った場合、その支払い額に応じて受けられる生命保険料控除や地震保険料控除

などがあります。

例えば、結婚して妻が扶養家族になったり、逆に、専業主婦だった妻が就職して扶養家族でなくなったりした場合などは、控除額が変わるため、所得税額も変わります。

年の途中で保険に加入したり、解約したり、保障を見直して保険料が変わったりした場合も同様です。

こうした扶養家族や生命保険、地震保険の加入状況を確認するために、11月に勤務先は従業員に「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を配布し、提出させます。それによって、所得税額を確定させ、源泉徴収した額と「調整」するのです。

医療費控除は年末調整では受けられない

なお、控除のうち、医療費控除は年末調整では受けられないので、翌年、確定申告する必要があります。住宅ローン控除は、1年目は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除が受けられます。

ちなみに2011年1月から、15歳以下の子どもを扶養している場合の年少扶養控除(38万円)は廃止、16歳から18歳までの子どもを扶養している場合の特定扶養親族に対する控除は減額(63万円→38万円)されました。

控除が減ったりなくなったりすると、その分課税対象額が増えるので、高校生以下の子どものいる人は今年から実質増税になっています。

これは、子ども手当ができたことと、高校の授業料無償化によるもの。今年10月から子ども手当の内容が変更され、今後は所得制限も設けられる見込みですが、それによって扶養控除がどうなるのかが気になるところです。

(2011年11月現在の税制をもとにしています)

執筆者プロフィール : 馬養 雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)など著書多数。
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