【コラム】

サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック

71 2017年4月からも、学資保険や個人年金保険で資金準備をする?

71/87

連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

「予定利率」が下がり、生命保険の保険料がアップする!?

2017年4月から、金融庁が決める生命保険の「標準利率」が4年ぶりに引き下げられ、1.0%から0.25%になります。それに伴い、多くの保険会社が契約者に約束する運用利回り「予定利率」を引き下げそうです。既に複数の保険会社が、一部の商品の4月からの予定利率引き下げを発表しています。

この背景には、日本銀行が昨年始めたマイナス金利政策によって、日本国債の利回りが一段と低下したことがあります。国債の利回りを元に金融庁が決める「標準利率」が下がれば、「標準利率」を参考に保険会社が決める「予定利率」も下がります。

生命保険の保険料がアップしてしまう?(画像はイメージ)

「予定利率」は、保険会社が財務基盤や販売戦略にもとづいて独自に決めればよいのですが、契約者から預かった保険料の多くを国債で運用しているため、一般的には国債の運用利回りが低下すると「予定利率」も下げざるを得なくなり、契約者から受け取る保険料を値上げせざるを得なくなります。

この影響を特に受ける保険は貯蓄性の高い商品です。具体的には終身保険、学資保険、個人年金保険など。これらの保険の保険料は、4月以降値上げされる可能性が高いでしょう。なお、掛け捨て型の定期保険や医療保険、がん保険などは、この影響をさほど受けません。

貯蓄のつもりで学資保険や個人年金保険に入るべきではない!?

かねてより、貯蓄の代わりとしてよく活用される生命保険は、学資保険や個人年金保険です。学資保険は子供の教育費の準備、個人年金保険は自分の老後の資金準備を目的に加入するものです。

貯蓄目的での加入であれば、支払う保険料の総額よりも、あとで受け取る保険金の方が多くなければメリットがありません。保険料総額よりも保険金が少なくなると「元本割れ」してしまいます。

今後、学資保険や個人年金保険に入ろうと考えている方は、入る前によく検討していただきたいと思います。加入すればほとんどの場合10年以上の長期契約になります。その間、ずっと契約時の低い利回りで運用されます。保険期間の途中に国債の利回りが上昇して「標準利率」が上がっても、保険の運用利回りは契約時のまま変わりません。途中で解約すると、多くの場合それまで払い込んだ保険料の総額よりも少ない「解約返戻金」しか戻ってきません。

学資保険や個人年金保険は、将来受け取る保険金等を契約時に設定するため、受け取るお金の総額は事前に決まっています。支払う保険料も決まっています。したがって、加入する前に、支払う保険料の総額と、受け取る保険金や年金の総額を必ず比較し、いくら増えるかを確認するようにしましょう。

確認の方法は、例えば、30年間月額保険料を1万円払い続けて(総額360万円)、受け取る保険金等の額が380万円の場合、20万円増えたことになり、累積収益率は約5.6%(=20万円/360万円×100)です。5.6%増えるのに30年かかっているので、1年当たりの平均利回りは0.19%=5.6%/30年)ということになります。 このような計算をして、増える額や利回りが魅力的かどうかを確かめましょう。

「生命保険」と「貯蓄・資産運用」をうまく使い分けることも必要

日本銀行の現在の金融政策は当面続きそうです。したがって、生命保険の「標準利率」も「予定利率」も低い水準がしばらく続くと想定されます。このことは、保険で財産形成をするのが難しい時代が続くことを意味しています。

今後はこれまで以上に、保険に入る目的を生命保険本来の「保障」のみに絞って、必要に応じて掛け捨て型の医療保険やがん保険、定期保険、収入保障保険など、予定利率の影響をあまり受けない保険に限定して加入した方がいいのではないでしょうか。そして、教育費や老後資金の準備などの財産形成には「貯蓄・資産運用」をすることを考えてはいかがでしょうか。

目的に応じて金融商品を使い分けることが、これからは一層重要になりそうです。

※画像は本文とは関係ありません。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

メルマガ「生活マネー ミニ講座」(平日・毎日配信)
HP「FPオフィス ワーク・ワークス」

71/87

インデックス

連載目次
第87回 2018年スタート! 「つみたてNISA」の始め方
第86回 民間の医療保険、加入のポイント
第85回 健康保険の保障は、自己負担3割だけではない!
第84回 投資信託選びは、金融庁の「つみたてNISA」対象商品の要件を参考に!
第83回 疾病特約や介護特約が付いても保険料が無料になる団信生命保険がある!
第82回 銀行のカードローンに注意!
第81回 統計データを見て、平均と自分をくらべてみる!
第80回 サラリーマンが加入している「厚生年金」の機能は老後の年金だけじゃない!!
第79回 9月までに「マイナンバー」を提示しないとNISA口座が使えなくなる!?
第78回 超低コスト投資信託のススメ
第77回 「ふるさと納税」の返礼品競争が抑制される!!
第76回 クレジットカードの使い方の基本
第75回 エンゲル係数を計算してみよう!
第74回 後悔しないマイホーム予算の立て方(2)
第73回 後悔しないマイホーム予算の立て方(1)
第72回 サラリーマンもiDeCo(イデコ)に加入することができる?
第71回 2017年4月からも、学資保険や個人年金保険で資金準備をする?
第70回 「結婚にかかるお金」を参考に貯蓄目標額を設定する!
第69回 「セルフメディケーション税制」を使って税金を節約しよう!
第68回 20代~30代は、2018年からスタートする「積立型NISA」を活用しよう!
第67回 年末年始は少し時間をかけて、家計や資産を点検して来年の目標を作る!
第66回 贈与を受けると贈与税がかかる!?
第65回 年末調整の情報を活用し、「ふるさと納税」ができる金額を年内に確認しよう
第64回 住宅ローンの借り換えは、金利だけでなくコストにも注意!
第63回 中途退職時に受け取る退職金、使いすぎに注意!
第62回 年末調整の季節が到来! - サラリーマンもたまには「税金」のことを考えよう
第61回 コンビニATM、時間外でも手数料無料の金融機関は?
第60回 利回り8.3%の「百貨店友の会」、預貯金金利が低い今こそおすすめ
第59回 確定拠出年金で老後資金準備! 2017年からは専業主婦や公務員も対象に
第58回 中古住宅を購入してリフォームなら【フラット35】リノベがおすすめ
第57回 厚生年金、国民年金にはしっかり加入する!
第56回 20代・30代サラリーマンのお小遣い事情
第55回 実際の年齢ではなく「健康年齢」で保険料が決まる保険が登場!
第54回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(2)
第53回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(1)
第52回 子供のできたときに入る生命保険は「収入保障保険」
第51回 新入社員は必読! 給与明細を徹底解剖
第50回 子供の教育費の目安とは? 高校までは毎年の収入の範囲でカバーする!
第49回 正社員なら30歳までに200~300万円貯めよう!
第48回 2016年3月の住宅ローン金利が史上最低を更新!?
第47回 マイナス金利で「個人向け国債」が高利回り商品に!?
第46回 マイナス金利、住宅ローンは「固定金利」への切り替えの絶好機!?
第45回 通勤手当の非課税限度額が月15万円に引き上げられる!?
第44回 1月から医療費の領収書はちゃんと保管! 確定申告をして節税をしよう!
第43回 『ジュニアNISA』がはじまる前に「贈与税」の仕組みを理解しておこう!
第42回 子供や孫ができたら「ジュニアNISA」口座を開設して教育資金の準備をする!?
第41回 新しい年を前に! 一生涯の収支計画を作ってみよう!!
第40回 年末調整の「生命保険料控除」で得する方法
第39回 女性専用の医療保険…普通の医療保険とどこが違う?
第38回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(3)
第37回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(2)
第36回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(1)
第35回 中古住宅を個人から買うときは、「消費税」がかからない!!
第34回 旅に出るときは、スマホで旅行保険に加入して万が一の事態に備える!
第33回 子供の教育費はこうして準備する! (3)
第32回 子供の教育費はこうして準備する! (2)
第31回 子供の教育費はこうして準備する! (1)
第30回 財形貯蓄をしている子育て世帯に朗報! 「財形住宅融資」が金利を▲0.2%優遇
第29回 「結婚・子育て資金」を"非課税"でもらえる制度ができた!
第28回 物価上昇時におススメ! "超短期"の「定期預金」で安全確実にしっかり貯める!
第27回 クレジットカードより家計管理が断然便利!? デビットカードを使いこなす!
第26回 賃金が上昇したら、アップ分を元手に投資で増やす!…「積立投資信託」
第25回 住宅エコポイント制度が2年半ぶりに復活! 最大45万円分のポイントがもらえる!
第24回 がん保険に別途入る必要はない!? - 医療保険の入り方(2)
第23回 病気やけがで入院・手術になったらどうする!? - 医療保険の入り方(1)
第22回 【フラット35】Sが拡充!? 長期固定金利が当初5年、10年が変動金利並みに!
第21回 「ふるさと納税」が拡充! 寄附の上限額が2倍になる!?
第20回 「仕事」だけでなく、「家計」でも"1年の目標"を立てよう!
第19回 "超低金利時代"の住宅ローン、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶ?
第18回 「晩婚夫婦」の家計が、"より慎重で計画的"な運営を求められるワケ
第17回 日本銀行の追加の「超金融緩和政策」に、サラリーマンはどう対処する?
第16回 「財形貯蓄」はサラリーマンの貯蓄の"王道" - どんなメリットがある!?
第15回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(2)
第14回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(1)
第13回 入院・手術するなら年内・年明けどっちが得? 高額療養費制度が2015年に変わる!
第12回 保障を残しつつ、今後の保険料の支払いをストップできる『払済保険』って何?
第11回 近くにカーステーションがあれば、クルマを持たず「カーシェアリング」を使う!
第10回 帰省先でも役立つ! 人のクルマを借りるときは「超短期自動車保険」に入る!
第9回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(2)
第8回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(1)
第7回 生命保険の保険料、「年払い」にするだけで節約できるって知ってた?
第6回 ボーナスの時期こそ! 「住宅ローン」の"繰上返済"は、早ければ早いほど効果大!!
第5回 『ふるさと納税』で地域貢献&美味しい特産品をお得にゲット!
第4回 「インフレ時代」の貯蓄術--少しでも"金利"の高いものを選ぼう!
第3回 おじいちゃん、おばあちゃんから子どもの教育費をもらって家計にゆとりを!
第2回 カードで買い物はいいが、「リボルビング払い」はもったいない。
第1回 確定拠出年金の「マッチング拠出」は、"節税"の観点から積極的にやる!

もっと見る

関連キーワード

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事