連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

結婚にかかるお金は約470万円

20代の多くのサラリーマンにとって、最初の大きなライフイベントは「結婚」でしょう。平均初婚年齢は男性:31.1歳、女性:29.4歳(厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)であることから考えると、社会人になって10年目くらいまでに結婚する人が多いといえるでしょう。

結婚にはお金がかかります。近年結婚に対する考え方が多様化しているため、お金をかけないカップルもいますが、結婚式は相手がいるだけに1人では決められません。相手の意見も参考にする必要があります。また、お互いの親の意向を無視するわけにもいきません。結果として「お金があるけど、あえてお金をかけない」結婚ならいいのですが、「お金がないからお金をかけられない」結婚になってしまうのはいかがなものでしょうか。

早いうちに、結婚にいくら程度のお金がかかるかを把握して、貯蓄目標額の設定に役立ててはどうでしょうか。何事も、理由や目的をはっきりさせるとモチベーションが上がります。目標達成意欲の向上にもつながります。

「ゼクシィ結婚トレンド調査2016」調べによると、結婚にかかるお金の全国平均は、約470万円です。この額は、結納・婚約~新婚旅行までにかかった総額(推計値)です。 地域別では以下の通りです。

結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用

ただ、結婚する2人がこれだけのお金を準備する必要があるか言うと、そうでもありません。なぜなら、披露宴・披露パーティで受け取る祝儀が収入になるからです。

披露宴・披露パーティのご祝儀額総額

また、7割を超える方が、親・親族から資金援助を受けています。

結婚費用に対する親・親族からの援助総額

これらの金額を参考に、新婚旅行までに必要な資金を準備のための貯蓄目標額を設定してみてはいかがでしょうか。なお、結婚資金は結婚する2人で出し合うことになりますが、一方がちゃんと準備していないことも考えられます。また、親の家計の状況によっては、援助を得られない場合もあります。そのため、貯蓄目標額は多めに設定しておいた方がいいでしょう。

結婚すると、新生活の準備にもお金がかかる!

結婚にかかるお金は結婚式や新婚旅行だけではありません。結婚後の夫婦の新生活のために、主に住居関連の費用がかかります。

インテリア・家具の購入総額

上の表の全国平均を単純に合計すると、総額で約102万円になります。親と同居する場合はもっと安くなりそうですが、2人で新たに賃貸住宅での生活をスタートする場合、上の表の額程度をあらかじめ準備しておく必要がありそうです。

最後に、結婚資金としての夫婦の貯蓄額は、以下の通りとなっています。

結婚資金としての夫婦の貯蓄額

「相手が決まっていないのに資金準備を始めるのはリアリティがない」と考える方もいるでしょう。しかし、決まってからスタートしていては遅くなる可能性があります。貯蓄が十分にあれば、実現できることが増えます。将来の選択の幅を広げる意味でも、早くから貯蓄習慣を身につけるようにしたいものです。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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