【コラム】

サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック

68 20代~30代は、2018年からスタートする「積立型NISA」を活用しよう!

68/77

連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

2018年から始まる「積立型NISA」制度は、若者向けの仕組み

少子高齢化などの影響で、将来の老後の公的年金の受給水準は、現在の高齢者よりも低くなると言われています。そんな中、個人の自助努力の財産形成をサポートする制度が国によって推し進められています。昨年まで加入できなかった専業主婦や公務員などに今年から門戸が開かれた「iDeCo(個人型確定拠出年金)」もそのひとつ。そして、2018年からスタートする予定の「積立型NISA」も、自助努力の財産形成をサポートする制度です。

国の本音は、「老後の生活資金を、これまでのように国の年金ばかりに頼ってもらっては困ります。国だって、ない袖は振れないのです。これからは自分自身でもちゃんと老後の準備をしてください。その代わりに、有利な仕組みを作りましたので活用してください」ということなのでしょう。

NISA(少額投資非課税制度)は、2014年にスタートしました。1年間で120万円までの投資資金による収益(儲け)が5年間非課税になる投資優遇制度です。金融機関による積極的な広告宣伝の影響もあり、開設されたNISA口座数は2016年6月末時点で約1,030万口座にも及んでいます。

しかし、この中でこれまで一度でもこの口座を使って投資をした人は50%にも達していません。実に半分超は口座だけ作って何もしない休眠口座になっているのです。また、全口座数に占める年代別比率は、下の表に示す通り、中高年層が高く、20歳代~30歳代が低い偏った状況になっています。これは、年代による投資資金の多寡や投資経験などが影響していると思われます。

NISA口座の開設・利用状況(金融庁)

このようなNISAの現在の課題を解決し、若い人たちにも活用しやすくするために、「積立型NISA」が2018年からスタートすることになりました。なお、この制度のスタートは、現時点で正式に決定している訳ではありません。今年1月に開かれる通常国会の審議、議決を経て、3月くらいまでに正式決定する見込みです。

「分散投資」「長期投資」「タイミング分散」がしやすくなる

資産運用で安定した収益を得る確率を高める有効な方法は、「分散投資」「長期投資」「タイミング分散」の3つのコツを組み合わせて運用することです。これは資産運用の鉄則とも言われています。しかし、これらをしっかり実践できている方はあまりいないのではないでしょうか。その背景には、多くの方にとって過去に資産運用を学習する機会がなかったことや、短期売買を推奨するような金融機関の販売姿勢の影響などがあるでしょう。

現在のNISAでも、工夫すればこれら3つのコツを実践できないことはありません。しかし、自由度が高いだけに「集中投資」「短期投資」「一括投資」になりがちです。そうなると投機的取引の傾向が強まり、安定した収益が上げにくくなります。

「分散投資」について言うと、現在のNISAで購入できる投資商品は、個別株式1銘柄だけでも購入でき、また、ひとつの資産だけを組み入れた投資信託を購入することもできるようになっています。「長期投資」については、現在のNISAの5年間の非課税期間では、10年以上の長期投資をしようという気持ちにはなれません。儲かったら5年以内に一旦売却、解約をしようという気持ちになります。「タイミング分散」については、現在のNISAは、1年間の投資限度額120万円をまとめて一括投資をすることができるようになっています。

一方、2018年にスタートする予定の「積立型NISA」では、「分散投資」「長期投資」「タイミング分散」をせざるを得ない形態に近づきそうです。購入できる金融商品は、複数の銘柄や複数資産に分散投資され、なおかつ長期運用に適した投資信託に限定されたり、非課税期間は20年に延長されて長期運用が可能になったり、まとまった金額での一括投資ができず、定期的に少額ずつ積立投資をすることしかできなくなりそうです。

1年間の投資上限額は40万円、現在のNISAとは併用できない!

「積立型NISA」は、非課税期間が20年に延長される代わりに、非課税になる1年間の投資上限額は40万円に減額されます。上限額いっぱいまで毎月積み立てる場合には、月約3.4万円を積み立てながら投資信託などを購入して運用することになります。

なお、「積立型NISA」がスタートしても、現在のNISAの仕組み(非課税期間:5年間、1年間の投資上限額:120万円)は継続します。ただし、2つの制度を併用することはできません。いずれかを選択しなければなりません。制度の特徴に合わせると、若年層は「積立型NISA」を選び、中高年層は従来のNISAを選択する傾向が強まりそうです。

1年後にスタートする予定の制度ですが、20歳代、30歳代の方々には、「積立型NISA」の活用をおすすめします。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

メルマガ「生活マネー ミニ講座」(平日・毎日配信)
HP「FPオフィス ワーク・ワークス」

68/77

インデックス

連載目次
第77回 「ふるさと納税」の返礼品競争が抑制される!!
第76回 クレジットカードの使い方の基本
第75回 エンゲル係数を計算してみよう!
第74回 後悔しないマイホーム予算の立て方(2)
第73回 後悔しないマイホーム予算の立て方(1)
第72回 サラリーマンもiDeCo(イデコ)に加入することができる?
第71回 2017年4月からも、学資保険や個人年金保険で資金準備をする?
第70回 「結婚にかかるお金」を参考に貯蓄目標額を設定する!
第69回 「セルフメディケーション税制」を使って税金を節約しよう!
第68回 20代~30代は、2018年からスタートする「積立型NISA」を活用しよう!
第67回 年末年始は少し時間をかけて、家計や資産を点検して来年の目標を作る!
第66回 贈与を受けると贈与税がかかる!?
第65回 年末調整の情報を活用し、「ふるさと納税」ができる金額を年内に確認しよう
第64回 住宅ローンの借り換えは、金利だけでなくコストにも注意!
第63回 中途退職時に受け取る退職金、使いすぎに注意!
第62回 年末調整の季節が到来! - サラリーマンもたまには「税金」のことを考えよう
第61回 コンビニATM、時間外でも手数料無料の金融機関は?
第60回 利回り8.3%の「百貨店友の会」、預貯金金利が低い今こそおすすめ
第59回 確定拠出年金で老後資金準備! 2017年からは専業主婦や公務員も対象に
第58回 中古住宅を購入してリフォームなら【フラット35】リノベがおすすめ
第57回 厚生年金、国民年金にはしっかり加入する!
第56回 20代・30代サラリーマンのお小遣い事情
第55回 実際の年齢ではなく「健康年齢」で保険料が決まる保険が登場!
第54回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(2)
第53回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(1)
第52回 子供のできたときに入る生命保険は「収入保障保険」
第51回 新入社員は必読! 給与明細を徹底解剖
第50回 子供の教育費の目安とは? 高校までは毎年の収入の範囲でカバーする!
第49回 正社員なら30歳までに200~300万円貯めよう!
第48回 2016年3月の住宅ローン金利が史上最低を更新!?
第47回 マイナス金利で「個人向け国債」が高利回り商品に!?
第46回 マイナス金利、住宅ローンは「固定金利」への切り替えの絶好機!?
第45回 通勤手当の非課税限度額が月15万円に引き上げられる!?
第44回 1月から医療費の領収書はちゃんと保管! 確定申告をして節税をしよう!
第43回 『ジュニアNISA』がはじまる前に「贈与税」の仕組みを理解しておこう!
第42回 子供や孫ができたら「ジュニアNISA」口座を開設して教育資金の準備をする!?
第41回 新しい年を前に! 一生涯の収支計画を作ってみよう!!
第40回 年末調整の「生命保険料控除」で得する方法
第39回 女性専用の医療保険…普通の医療保険とどこが違う?
第38回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(3)
第37回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(2)
第36回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(1)
第35回 中古住宅を個人から買うときは、「消費税」がかからない!!
第34回 旅に出るときは、スマホで旅行保険に加入して万が一の事態に備える!
第33回 子供の教育費はこうして準備する! (3)
第32回 子供の教育費はこうして準備する! (2)
第31回 子供の教育費はこうして準備する! (1)
第30回 財形貯蓄をしている子育て世帯に朗報! 「財形住宅融資」が金利を▲0.2%優遇
第29回 「結婚・子育て資金」を"非課税"でもらえる制度ができた!
第28回 物価上昇時におススメ! "超短期"の「定期預金」で安全確実にしっかり貯める!
第27回 クレジットカードより家計管理が断然便利!? デビットカードを使いこなす!
第26回 賃金が上昇したら、アップ分を元手に投資で増やす!…「積立投資信託」
第25回 住宅エコポイント制度が2年半ぶりに復活! 最大45万円分のポイントがもらえる!
第24回 がん保険に別途入る必要はない!? - 医療保険の入り方(2)
第23回 病気やけがで入院・手術になったらどうする!? - 医療保険の入り方(1)
第22回 【フラット35】Sが拡充!? 長期固定金利が当初5年、10年が変動金利並みに!
第21回 「ふるさと納税」が拡充! 寄附の上限額が2倍になる!?
第20回 「仕事」だけでなく、「家計」でも"1年の目標"を立てよう!
第19回 "超低金利時代"の住宅ローン、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶ?
第18回 「晩婚夫婦」の家計が、"より慎重で計画的"な運営を求められるワケ
第17回 日本銀行の追加の「超金融緩和政策」に、サラリーマンはどう対処する?
第16回 「財形貯蓄」はサラリーマンの貯蓄の"王道" - どんなメリットがある!?
第15回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(2)
第14回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(1)
第13回 入院・手術するなら年内・年明けどっちが得? 高額療養費制度が2015年に変わる!
第12回 保障を残しつつ、今後の保険料の支払いをストップできる『払済保険』って何?
第11回 近くにカーステーションがあれば、クルマを持たず「カーシェアリング」を使う!
第10回 帰省先でも役立つ! 人のクルマを借りるときは「超短期自動車保険」に入る!
第9回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(2)
第8回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(1)
第7回 生命保険の保険料、「年払い」にするだけで節約できるって知ってた?
第6回 ボーナスの時期こそ! 「住宅ローン」の"繰上返済"は、早ければ早いほど効果大!!
第5回 『ふるさと納税』で地域貢献&美味しい特産品をお得にゲット!
第4回 「インフレ時代」の貯蓄術--少しでも"金利"の高いものを選ぼう!
第3回 おじいちゃん、おばあちゃんから子どもの教育費をもらって家計にゆとりを!
第2回 カードで買い物はいいが、「リボルビング払い」はもったいない。
第1回 確定拠出年金の「マッチング拠出」は、"節税"の観点から積極的にやる!

もっと見る

関連キーワード

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事