【コラム】

サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック

51 新入社員は必読! 給与明細を徹底解剖

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連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。


新入社員は「給与明細」を確認し、意味を理解しよう!

4月に入社した新入社員にはそろそろ初めての給与が支払われます。最近は銀行振込で支払われるうえに、紙の給与明細も配布されず、会社のイントラネットを自分で照会しないと明細が確認できない仕組みになっているところもあり、初任給の実感を味わいにくくなっています。

給与は、銀行に振り込まれた金額だけを確認するのではなく、明細を見て、基本給の他にどんな手当が支払われているのか、また、どんなお金がいくら差し引かれているのかをしっかり確認したいものです。特に給与天引きで差し引かれる項目の意味や役割を理解することで、自分が社会人の一員になったことを実感してほしいと思います。

給与明細の各項目の意味や役割

給与明細の様式や内容は会社によって異なります。概ね以下のサンプルの項目で構成されています。

給与明細

まずは、「支給額」の部分を見てみましょう。

「基本給」が新入社員にとっての"初任給"です。「ボーナスは●カ月分」などと言われるのは、一般的にこの「基本給」が基準になっています。また、「基本給」は残業代である「時間外手当」を計算する基準にもなっています。

「役職手当」は主に管理職に支給される手当で、責務や役割などに対して払われます。「資格手当」は、社員が資格を取得したり、取得しようとしたりする場合に支払われる手当のことです。

「家族手当」は結婚して扶養家族ができたときに受け取る手当。なお、扶養家族が専業主婦の場合に払われる家族手当は、近年女性の社会進出を阻む要因になっているという声もあり、将来的には縮小、廃止に向かう可能性があります。家族手当は今後、子育て支援の機能に絞り込まれそうです。

「住宅手当」は賃貸住宅の家賃やマイホームの住宅ローンを補助する福利厚生制度です。昔は社員寮や社宅などの"現物"で従業員の住生活を支援する会社が多かったのですが、バブル崩壊後の1990年代から本業以外の資産を整理する流れが強まり、住宅手当という"お金"で支援する動きが強まりました。ただ、従業員個人のライフプランを制約する可能性などもあることから支給しない会社もたくさんあります。

「通勤手当」は通勤時の交通費です。これらを合計した金額が「支給額合計」です。なお、会社によって「手当」の有無や金額はマチマチです。

次に「控除額」の意味や役割を確認しましょう。給与天引きで差し引かれるお金は大きく分けて「社会保険料」と「税金」があります。

社会保険料の中の「健康保険」は公的医療制度の保険料です。健康保険料に加入すると、病院で払う治療費や薬代の自己負担が3割ですみます。また、万が一病気やケガで会社を長期間休まざるを得なくなった場合、生活保障の目的で給料の3分の2にあたる額が約1年半支給される”傷病手当金”も健康保険に加入しているおかげです。その他出産したときの手当金や育児一時金も健康保険から支給されます。

「介護保険」は40歳以上の人が負担する保険料で、一定の条件を満たす要介護状態になったときに公的介護サービスを低い自己負担で受けることができるものです。

「厚生年金」は、原則65歳から受け取る老後の公的年金、障害状態になった場合の公的障害年金など生活保障のための国の仕組みです。少子高齢化の影響で、将来は国の年金の支給水準は今より下がると言われています。「厚生年金保険料を支払っているから自分の老後は大丈夫」と考えるのではなく、自助努力でも老後に向けて財産形成をすることが求められています。

「雇用保険」の役割の代表的なものは、失業した場合に受け取ることができる"失業手当"です。その他雇用保険料は、子供が生まれて育児をするための育児休業給付金、家族の介護のための介護休業給付金などの財源になります。

なお、「健康保険」や「介護保険」、「厚生年金」、「雇用保険」の保険料は、従業員だけでなく会社も従業員の給与額に応じて負担しています。

次に税金を見てみましょう。

「住民税」について、新入社員の場合は空欄になっていると思います。なぜなら、「住民税」は前年の所得にかかるものだからです。

住民税は今年の12月までの所得をもとに計算され、来年の6月から再来年の5月の給与から天引きされることになります。徴収された住民税は、住んでいる都道府県や市区町村の行政サービスの経費として使われます。

「所得税」は初任給から天引きされています。なぜなら、「所得税」は「住民税」と違って、所得を得た年に支払う仕組みになっているからです。「所得税」は国税ですので、徴収された金額は国の予算に反映されることになります。

私たちが働いて得た給与から差し引かれる税金や社会保険料は、国や地方自治体のさまざまな施策の財源になります。これらの使われ方を考えることは、社会や政治のあり方を考えることでもあります。

たまには「給与明細」をじっくり眺めて、社会や政治のことを考えるキッカケにしてみてはいかがでしょうか。

※写真と本文は関係ありません

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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インデックス

連載目次
第87回 2018年スタート! 「つみたてNISA」の始め方
第86回 民間の医療保険、加入のポイント
第85回 健康保険の保障は、自己負担3割だけではない!
第84回 投資信託選びは、金融庁の「つみたてNISA」対象商品の要件を参考に!
第83回 疾病特約や介護特約が付いても保険料が無料になる団信生命保険がある!
第82回 銀行のカードローンに注意!
第81回 統計データを見て、平均と自分をくらべてみる!
第80回 サラリーマンが加入している「厚生年金」の機能は老後の年金だけじゃない!!
第79回 9月までに「マイナンバー」を提示しないとNISA口座が使えなくなる!?
第78回 超低コスト投資信託のススメ
第77回 「ふるさと納税」の返礼品競争が抑制される!!
第76回 クレジットカードの使い方の基本
第75回 エンゲル係数を計算してみよう!
第74回 後悔しないマイホーム予算の立て方(2)
第73回 後悔しないマイホーム予算の立て方(1)
第72回 サラリーマンもiDeCo(イデコ)に加入することができる?
第71回 2017年4月からも、学資保険や個人年金保険で資金準備をする?
第70回 「結婚にかかるお金」を参考に貯蓄目標額を設定する!
第69回 「セルフメディケーション税制」を使って税金を節約しよう!
第68回 20代~30代は、2018年からスタートする「積立型NISA」を活用しよう!
第67回 年末年始は少し時間をかけて、家計や資産を点検して来年の目標を作る!
第66回 贈与を受けると贈与税がかかる!?
第65回 年末調整の情報を活用し、「ふるさと納税」ができる金額を年内に確認しよう
第64回 住宅ローンの借り換えは、金利だけでなくコストにも注意!
第63回 中途退職時に受け取る退職金、使いすぎに注意!
第62回 年末調整の季節が到来! - サラリーマンもたまには「税金」のことを考えよう
第61回 コンビニATM、時間外でも手数料無料の金融機関は?
第60回 利回り8.3%の「百貨店友の会」、預貯金金利が低い今こそおすすめ
第59回 確定拠出年金で老後資金準備! 2017年からは専業主婦や公務員も対象に
第58回 中古住宅を購入してリフォームなら【フラット35】リノベがおすすめ
第57回 厚生年金、国民年金にはしっかり加入する!
第56回 20代・30代サラリーマンのお小遣い事情
第55回 実際の年齢ではなく「健康年齢」で保険料が決まる保険が登場!
第54回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(2)
第53回 おすすめ投資信託は「ノーロード」&「インデックス型」&「バランス型」(1)
第52回 子供のできたときに入る生命保険は「収入保障保険」
第51回 新入社員は必読! 給与明細を徹底解剖
第50回 子供の教育費の目安とは? 高校までは毎年の収入の範囲でカバーする!
第49回 正社員なら30歳までに200~300万円貯めよう!
第48回 2016年3月の住宅ローン金利が史上最低を更新!?
第47回 マイナス金利で「個人向け国債」が高利回り商品に!?
第46回 マイナス金利、住宅ローンは「固定金利」への切り替えの絶好機!?
第45回 通勤手当の非課税限度額が月15万円に引き上げられる!?
第44回 1月から医療費の領収書はちゃんと保管! 確定申告をして節税をしよう!
第43回 『ジュニアNISA』がはじまる前に「贈与税」の仕組みを理解しておこう!
第42回 子供や孫ができたら「ジュニアNISA」口座を開設して教育資金の準備をする!?
第41回 新しい年を前に! 一生涯の収支計画を作ってみよう!!
第40回 年末調整の「生命保険料控除」で得する方法
第39回 女性専用の医療保険…普通の医療保険とどこが違う?
第38回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(3)
第37回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(2)
第36回 「老後破産」に陥らない!!--20代・30代からのライフプランの考え方(1)
第35回 中古住宅を個人から買うときは、「消費税」がかからない!!
第34回 旅に出るときは、スマホで旅行保険に加入して万が一の事態に備える!
第33回 子供の教育費はこうして準備する! (3)
第32回 子供の教育費はこうして準備する! (2)
第31回 子供の教育費はこうして準備する! (1)
第30回 財形貯蓄をしている子育て世帯に朗報! 「財形住宅融資」が金利を▲0.2%優遇
第29回 「結婚・子育て資金」を"非課税"でもらえる制度ができた!
第28回 物価上昇時におススメ! "超短期"の「定期預金」で安全確実にしっかり貯める!
第27回 クレジットカードより家計管理が断然便利!? デビットカードを使いこなす!
第26回 賃金が上昇したら、アップ分を元手に投資で増やす!…「積立投資信託」
第25回 住宅エコポイント制度が2年半ぶりに復活! 最大45万円分のポイントがもらえる!
第24回 がん保険に別途入る必要はない!? - 医療保険の入り方(2)
第23回 病気やけがで入院・手術になったらどうする!? - 医療保険の入り方(1)
第22回 【フラット35】Sが拡充!? 長期固定金利が当初5年、10年が変動金利並みに!
第21回 「ふるさと納税」が拡充! 寄附の上限額が2倍になる!?
第20回 「仕事」だけでなく、「家計」でも"1年の目標"を立てよう!
第19回 "超低金利時代"の住宅ローン、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶ?
第18回 「晩婚夫婦」の家計が、"より慎重で計画的"な運営を求められるワケ
第17回 日本銀行の追加の「超金融緩和政策」に、サラリーマンはどう対処する?
第16回 「財形貯蓄」はサラリーマンの貯蓄の"王道" - どんなメリットがある!?
第15回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(2)
第14回 20代・30代のフルタイム共働きサラリーマンの家計管理術(1)
第13回 入院・手術するなら年内・年明けどっちが得? 高額療養費制度が2015年に変わる!
第12回 保障を残しつつ、今後の保険料の支払いをストップできる『払済保険』って何?
第11回 近くにカーステーションがあれば、クルマを持たず「カーシェアリング」を使う!
第10回 帰省先でも役立つ! 人のクルマを借りるときは「超短期自動車保険」に入る!
第9回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(2)
第8回 金利だけくらべてはダメ! 住宅ローンはコストも含めて比較する!!(1)
第7回 生命保険の保険料、「年払い」にするだけで節約できるって知ってた?
第6回 ボーナスの時期こそ! 「住宅ローン」の"繰上返済"は、早ければ早いほど効果大!!
第5回 『ふるさと納税』で地域貢献&美味しい特産品をお得にゲット!
第4回 「インフレ時代」の貯蓄術--少しでも"金利"の高いものを選ぼう!
第3回 おじいちゃん、おばあちゃんから子どもの教育費をもらって家計にゆとりを!
第2回 カードで買い物はいいが、「リボルビング払い」はもったいない。
第1回 確定拠出年金の「マッチング拠出」は、"節税"の観点から積極的にやる!

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